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2014年7月20日日曜日

小林俊行先生のインタビューページ: インタビュー・井上学術賞受賞・小林俊行教授 無限次元の対称性の数学 ~根源から湧き出す泉の豊かさ~

インタビュー・井上学術賞受賞・小林俊行教授 無限次元の対称性の数学 ~根源から湧き出す泉の豊かさ~ という記事だ.


興味がある人はとりあえず読んでみよう.
極小表現について小林先生がいろいろ話している.


この辺からが本領発揮だ.

これ以上分解できない最小のものと言いましたけれども、
実は、重ね合せによる分解という古典的な考え方だけを用いるのではありません。
より単純なものから複雑なものを構成する、表現のインダクションという仕組みがあります。
その仕組みを逆にたどると、単に分解するだけより、もっと根源的なものに行き着きます。
実は、本当に根源的なものは非常に種類が少ないのです。
実際、対称性のほとんどは一次元のものに端を発していることがわかります。
根源的なのに無限次元のものもごく少数存在します。
この例外的な無限次元の対称性の代表格といえるのが極小表現です。


あとこれ.



教えるのが上手とか字がきれいとかというのと全然違うんだけど、
本物の数学の息吹を感じてもらう手助けなら少しできるかなあと。
一・二年生を教えたいという気持ちは、そういうところにあります。


自分の中のものが人に伝わる、あるいは人のものが自分に伝わるという、
空気中に飛び交うもの、目には見えない何かがあるでしょう。
ぼくは、こういう空気を大切にしたいのです。
ついさっきまで研究していた先生がパッと教室に行って講義する。
研究に没頭していた空気がまだ服にもついてるし、
体の中からも出ているかもしれない、それを伝えて、
また学生さんは学生さんで日々研鑽して伸びている空気を出してそれを一つの教室で共有するっていうのが、
何かすごく素敵なものだなあと思う。
それが教えることが好きな理由の一つかなあと思います。


これが凄く大事で, 私もやってみたいと思うことだ.
大したことができなかろうが何だろうが,
研究する気持ち・挑戦する気持ちを捨てずにいること,
それを示し続けること, それが大事と信じている.


ちなみに小林先生について以前 この記事 でも滅茶苦茶格好いい姿を紹介している.
ぜひ読んでほしい.
あと『数学まなびはじめ』は必読なので買っていない人はさっさと買ってほしい.


2014年7月4日金曜日

数学いい話シリーズ: 数学は体力だ

またもや Paul 筋のいい話だ.



身体を鍛えるといえば こんないい話 もある.


  1. 数学は体力だ (ヴェイユの言葉)
(前略)
1955 年の秋に日光で代数的整数論の国際シンポジウムが開かれたとき,
久賀先生たちは来日したヴェイユ (シモーヌ・ヴェイユの兄で日本の数学に多大な影響を与えた大数学者, 当時 50 才) や
セ一ル (26 才で小平邦彦先生と共にフィールズ賞を受賞. 当時 30 才位) を中禅寺湖へ案内した.
ところがヴェイユは裸になって湖に飛び込み, 泳ぎ出した.
セールもそのあとに続いた.
負けてなるかと何人かの日本人数学者たちも続いて飛び込んたが, 余りの水の冷たさに驚いてすぐ上がってしまった.
やがて湖から上がってきたヴェイユとセールは今度は走り出した.
日本人数学者たちは「陸の上なら我々も出来る」とばかり,
二人のあとに続いて走り出したが, すぐ息切れして走れなくなってしまった.
そのうちヴェイユが戻ってきて休んでいる久賀先生を見て二ヤッと笑って「数学は体力だ」と, 言ったというのです.


3.数学は体力だ (その 2, パリの興番)
数学と体力については, もう一つ印象に残ってる話があります.
あるときパリの喫茶店でコーヒーを飲んでいたら, そこへ若い日本人数学者が 6 人,
興奮しながらやってきて「数学は一に体力, 二に体力, 三, 四なくて五に体力だ」と口々に話していました.
全員, ルレイ先生の講義を聞いてきた直後で,
70 才になるルレイが熊のようにノシノシと教壇を行ったり来たりしながら,
すごい迫力で講義する姿に, すっかり感動して, つくづく数学は体力だと思ったそうです.


数学いい話シリーズ, まとめて Kindle とかに出したい.

2014年6月6日金曜日

みんなで Jean-Pierre に改名していい数学者になろうの会

Paul 筋の情報.



昔, 会話形式で学ぶ「数学者のためのフランス語」という文章を (半ばジョークで) 書きかけていて,
そのときの登場人物が Jean と Pierre と Serre の 3 人だった.


.@nolimbre 現在, フランス科学アカデミー数学部門には,
Demailly, Kahane, Ramis, Serre という「 Jean-Pierre 四天王」がいる.
http://www.academie-sciences.fr/academie/membre/section\_math.htm


@Paul_Painleve IHES の理事 (?) が少し前まで Jean-Pierre Bourguignon でしたね.


@nolimbre みんなで, Jean-Pierre に改名しよう!
いい数学者になれる!!
今日から「 Jean-Pierre のらんぶる」と名乗るんだ!!


Jean-Pierre 相転移.

2014年6月3日火曜日

Paul 筋の情報:教官の招聘

われらが Paul.



@MRken_appmath @Paul_Painleve 万一すっかり逃げられてしまっても少し恩返しができたと思えばいいんじゃないですかね.
学術界も欧米にはさんざんお世話になってきたわけですし.


@wingcloud @MRken_appmath 阪大に招聘された松島与三が数学教室をリードするようになった頃.
若手教授に志村五郎, 佐藤幹夫の二人を呼んだ.
「偉い人を呼ぶとすぐ出ていかれませんか? 」と問われて「少しでもいてくれれば, 阪大のためになる」と答えたそうです.


少し古いツイートなのでもう流れを追うのがつらくて追っていないのだが,
多分外国人教員の招聘とかその辺だろう.
少し話がずれるものの, 記事「東大数理の小林先生があまりに格好よかったのでついでにいくつか話題を紹介する」 で少し書いたが,
こういう形の国際交流こそ大学が頑張ってやってほしい.

2014年6月2日月曜日

kyon_math さん筋の情報:齋藤毅先生の Grothendieck に関する PDF

みんな大好き kyon_math さんからの情報だ.



「エタール・コホモロジーの定義への道を開いたのは, セールによる,
代数幾何におけるファイバー束の定義だったらしい」.
グロタンディーク by 斎藤毅
http://bit.ly/1i7eA2P


前もこの PDF を読んだことがあるのを思い出した.
細かいところ, ほとんど意味がわからないが,
代数幾何でいろいろ凄まじいことが起こったという雑な理解をしている.
代数幾何, 応用含めた守備範囲が尋常ではないくらい広いし,
その空間認識が何より非常に気になるのできちんと勉強してみたいとはずっと思っている.

2014年5月22日木曜日

岡村博「微分方程式序説」の書評が感動的だったので

またしても Paul 筋の情報だ.



岡村博「微分方程式序説」も, 死語すぐに出版された河出書房 (1950) に加え,
森北出版 (1969), と現行の共立出版 (2003) の 3 種ある.
解の一意性に詳しい.
河出書房版には, 岡村博氏の生前の写真がある.
井川さんの書評 http://mathsoc.jp/publication/tushin/1202/ikawa12-2.pdf


書評が非常に感動的で, この本を読んでみたくなる.
ぜひ PDF を読んでほしい.

2014年5月14日水曜日

東大数理の小林俊行先生が紫綬褒章を受賞されるという

坪井先生筋の情報.



小林俊行さんが紫綬褒章を受章されます.
おめでとうございます.
http://www.asahi.com/articles/ASG4R04P9G4QUTFK01J.html


そういう章を取ったからとか取らない, 取れないからどうというのもアレだが,
世間的に数学者が認められるのはやはり素直に嬉しいところがある.

2014年5月11日日曜日

「はるか彼方からの光芒を信じ, 膨大な計算を遂行し尽したときに初めて地平が見えてくるようなハードな解析は解析学の真骨頂であろう」

格好いい.



ここで高橋陽一郎氏によるクッソかっこいいメッセージをお読みください
http://mathsoc.jp/publication/tushin/1204/takahashi12-4.pdf


遥かなるハードアナリシスに対する憧憬を謳っている.
皆, とにかく上記 PDF を読むように.
いくつかウルトラ格好いい文章を引用しておこう.



はるか彼方からの光芒を信じ,
膨大な計算を遂行し尽したときに初めて地平が見えてくるようなハードな解析は解析学の真骨頂であろう.
ハード・アナライザーたちの数ヶ月からときには数年に及び,
岩に穴を穿つような計算を続行するその強靱な精神力と体力には畏敬の念を覚える.
不幸にしてその途上で力尽き果てた人もいた.
畏敬とともに深い哀悼の念を表する.



しかし, 例えば, モーメントの評価や相関関数の評価などのようなわずかな手掛りを頼りに必ず道が拓けるとの信念のもと,
恐ろしいほどのハードな計算を遂行し切って, 数学に新たな地平を切り拓くハードな解析はやはり解析学の真骨頂である.


どれだけハードアナリシス格好いいの, という感じ.


ここで出てくる T. Hara は九大の腹隆さんで,
田崎さんの共同研究者というか知人というか大学時代の友人的なアレだ.
田崎さん, 原さんともに私が所属している分野,
厳密統計力学・構成的場の量子論の先達だ.


この間ブログにもまとめたが, 原さんは 2013 年の Summer School 数理物理で講師になっていて,
そのときの話で提出した D 論は 500 ページ, 証明の細部まで書いた分は 2000 ページになったと言っていた.


今の私としては, ハードでもソフトでも何でもいいから,
とにかくきちんと論文を書いていくことを目標にしたい.

2014年5月8日木曜日

古田彩さんが河東先生の超準解析講演の様子をツイートしていたので

古田さんが河東先生の講演の様子を呟いていたので.



今日の河東泰之先生の超準解析の講座, 90 分を 3 コマ, 計 270 分を,
ノートを一切見ず, スライドも使わず, すべて板書だけで進め, 完璧な時間配分で, 終了時刻を 1 分も違えず着地した.


.@ayafuruta ノートを見ない講義スタイルは, ゲッチンゲンでフロベニウスの講義を高木貞治が見たのが, 日本に伝わったのだと思います.
高木の講義スタイルがどうだったか, 小平さんの自伝などに書いてそうですが私は知りません.
京大では, 園正造がチョーク一本スタイルの講義でした.


@Paul_Painleve @ayafuruta 高木貞二の講義ノートが残ってるようです.
http://gazo.dl.itc.u-tokyo.ac.jp/takagi/takagi.html
でも, 構想を練る時だけ使って講義の時には見てないかもしれないか.


@Paul_Painleve @ayafuruta 「数学まなびはじめ」の弥永先生の所に「大抵の場合原稿をもたれず」と言う記述があります.
現東大の小林俊行先生も基本チョーク一本で講義ですね


@phasetr @ayafuruta ありがとうございます.
フロベニウスの講義は高木貞治にも印象に残って, 自らの講義のスタイルにされたのでしょう.


@gejikeiji @ayafuruta ありがとうございます.
おそらく, 講義によってノートの有無を変えていたかもしれません.
楠さんも, 3 年生向き函数論はチョーク一本でしたが, 擬等角写像の特論ではさすがにノートを見ていました.


そんなのがあるんだったら聞きに行けばよかったなあ
@ayafuruta: 今日の河東泰之先生の超準解析の講座, 90 分を 3 コマ,
計 270 分を, ノートを一切見ず, スライドも使わず, すべて板書だけで進め, 完璧な時間配分で, 終了時刻を 1 分も違えず着地した.


@Historyoflife @ayafuruta 学生に要求していることは当然できるということですね.
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/sem.htm


完璧にするのはすごいですね.
これは数学やってる人には有名なページ.
@mkuze: @H @ayafuruta 学生に要求していることは当然できるということですね.
http://www.ms.u-tokyo.ac.jp/~yasuyuki/sem.htm


@Historyoflife 彼は駒場の同級生 (京大の中島さんも).


浅野さんとおっしゃった頃ですね.
僕も坪井さんが同級生.
数学人間は一味も二味も違うなあ.
@mkuze: @Historyoflife 彼は駒場の同級生 (京大の中島さんも).


@Historyoflife @mkuze ページを見て, 一度読んだことを思い出しました.
「凄いことを要求するなあ」と思いましたが, 講義を聴いて納得.
数学者って皆さんこうなのでしょうか.
物理だとこんな感じで https://twitter.com/ayafuruta/status/460076640161497088
それも許容されてますが


@ayafuruta @Historyoflife @mkuze 学習院の方ではなくて,
数年前に亡くなられた早稲田の田崎先生もノートは準備しつつもあまり見ずにハードな計算までやり遂げる講義スタイルでした.
ブログか何かで早川さんのコメントがあったと思います


@phasetr このページ, そういえばかつて相転移 P さんに教えて頂いたような.


河東さんの講演は何回か聴きましたが, やはりチョークと黒板の数学者スタイルの講演が圧巻.
激烈な印象を受けました (もちろん研究成果も物凄い).
@Historyoflife @mkuze @h @ayafuruta


私は去年の Summer School 数理物理の場の理論回で初めて河東トークを実際に聞いた.
確かにテクニカルな部分は控えつつポイントはおさえて面白いところを
的確に拾っていく腕は並大抵のものではない.

2014年5月3日土曜日

Fibonacci 数列と解析数論の魔界

今回は皆大好き kyon_math さん筋の情報だ.



Wikipedia 役に立つなぁ.
フィボナッチ数列でこんなことが成り立っていたとは...
http://bit.ly/1gSJAOX
http://pic.twitter.com/R4NO5tu3E9


@kyon_math 西岡はデフォルトで (久) なんでしょうね


@Paul_Painleve お母さんですね.


@kyon_math 私, 父と子はよく知ってるけど, 母と話したことがないんですよ


@Paul_Painleve ああ, もしかするとお父さんかも.
今すぐには分かりません.
#すみません>お父さん


@kyon_math そうそう, あの二人の研究は, 最初は違ったのに次第に惹かれ合ってどっちがやったか分らなくなってるから.


Wikipedia というより Fibonacci の魔界ぶりがやばい.

2014年4月29日火曜日

『「わたしはこれからは編み物ブロガーとして生きていく! 」という謎の文章を残して数学者を辞めてて衝撃を受けた.』

tri_iro さん筋の情報だ.



およそ 5 年前にアメリカの某女性数学者と共著論文を書いたことがあって,
彼女は米国アイビーリーグの某校で准教授をしてたはずなんだけど,
久しぶりに彼女のサイトを見てみたら,
「わたしはこれからは編み物ブロガーとして生きていく! 」という謎の文章を残して数学者を辞めてて衝撃を受けた.


世界を感じる.

2014年4月21日月曜日

【その昔, 佐藤幹夫とかいう人がおってな, 黒板に一文字スクリプト体で「 D 」とだけ書いて一時間しゃべり続けたんじゃ. . .】

また Paul 筋の情報だ.



板書もスライドもない「漫談型講演」が待たれる (待たれない)


@nolimbre その昔, 佐藤幹夫とかいう人がおってな, 黒板に一文字スクリプト体で「 D 」とだけ書いて一時間しゃべり続けたんじゃ. . .


@Paul_Painleve かっこいい……!!!!!


.@nolimbre よい子のみんな!
佐藤幹夫とライダーキックはまねをしちゃいけないよ!
どちらも, 特別な訓練をしないでやると危ないからね.


@Paul_Painleve @nolimbre もっと詳しくお願いします.


@fujiwaratks @nolimbre http://repository.kulib.kyoto-u.ac.jp/dspace/handle/2433/83001 に,
当時の講演が再現されています.
どっかにテープがまだあるはずなので, 聞けるうちに電子化したほうがいいかも.
181 ページのスクリプトの D くらいで 1 時間くらいだったと記憶します.


@Paul_Painleve @nolimbre あっ! これ僕も読みました.
京都スクールの雰囲気が伝わってきて良かったです.
蛇足ですが, 河合先生と柏原正樹先生の最終講義を見に行きました.
僕も代数解析やりたいなぁって, 幼児がライダーキックやりたいって感じで思いました.


@fujiwaratks @nolimbre 私, マサキちゃんのは出張で行けなかったんで, 代りに? お酒を贈ったんです.
佐藤さんの講義は普段は 2~3 時間あって, 後半どんどんと数学が展開していきます.
ライダーキックはさすがに大変だから, 一緒に戦闘員でもやりましょう イーーー!


@Paul_Painleve @nolimbre 受けたかったなぁ….
佐藤幹夫先生の講義.
伝説化してますけど!


@fujiwaratks @nolimbre ご存じでしょうが, あとは 梅田亨記「佐藤幹夫講義録」数理解析レクチャーノート が,
講義の雰囲気をよく伝えたものになってますね.
上智の講究録は, 野海さんが数学的に整理された立派なものですが, 元の講義の雰囲気はさほど出てないと思います


@Paul_Painleve @nolimbre はい.
ただ修士のとき眺めただけで, 精読はしてないです.
KP 階層の話は「可積分系の応用数理」や「箱玉系の数理」で見ただけです.
修論の導入部も戸田格子からで KP は触れていません.
いつの日にかノート作りたいんですけど.

2014年3月20日木曜日

「お願いですから憲法の話の時にゲーデルの名前出すのやめてください」

myfavoritescene さんが世界の悲しみを歌っていた.



数学ですら自己完結できないのに穴がないわけはなくて (そんなことはゲーデルが一番分かっていたはず),
その精神を発揮してみたんだろうけど, 周囲の大人の対応がすばらしい w
まあ法の精神 (と言って良いのかしらないが) を根本から認めなければ, いろんなことが法に則って出来てしまうだろう.


お願いですから憲法の話の時にゲーデルの名前出すのやめてください. @myfavoritescene


@ytb_at_twt わかりました. もうしません.


あと これこれ



そういえばこんなエピソードを思い出した.
アメリカ合衆国憲法には論理的矛盾・欠陥があってそれを突くと独裁者が現れる可能性があるということをゲーテルは発見したらしい.
>「憲法自体が"憲法違反の存在"」し #BLOGOS http://blogos.com/outline/81238/



これか http://ytb-logic.blogspot.jp/2012/08/blog-post\_4.html
まあ, さもありなん.


やたべさんのブログは観測していきたい.

2014年3月17日月曜日

数学と第 2 外国語

Ask.fm のをまとめておこう.


こんな質問がきた.



来年度数学科にいく予定なのですが 高校の化学の先生が第二外国語の選択が原因で研究室だかに入れなかったらしいのですが
数学科で第二外国語を考える際に専門との相性があればを教えてください


2 外が原因で研究室入れなかったというのうさんくさいことこの上ないが,
とりあえずこう答えた.



代数幾何・数論幾何はフランス勢が非常に強く,
しかもフランス語で超がつくほど重要な論文・文献を書いてくることがあるので,
フランス語を読み書きできるとかなり便利だと聞いています.
冷戦時代の名残でロシアの文献が引用される分野もあるようで,
その場合はロシア語も必要かもしれません.
私も一度, ロシア語の確率論の教科書が引用されている論文に出会って殺意を抱いたことがあります.


ただ最近はもう大概英語だと思うので必要以上に気にすることは無いのではないか説を提唱しておきます.
気になるならとりあえずフランス語ではないでしょうか.
ちなみに私はドイツ語でしたが, 理由はヘルシングで出てきた「 Freulein 」を言いたかったからです.
そしてそれとは全く関係ないですが, アインシュタインの特殊相対論の論文を原語で読む機会が得られました.


あと追加でこんな質問が来た.



フランス勢が強いという回答がありましたが, 分野によってあそこの国が強い, みたいなのあるのですか?


そしてこう返した.



簡単な話で, その分野のリーダーがいるかどうかということです.
フランスは Weil, Serre, Grothendieck など
代数幾何, 数論幾何のリーダーがいました.
フランス人がイギリス・アメリカに対抗して
自国語で大事な文献を書いてくるとかいうふざけた真似をしてくる
特性があるのが腹立たしいですが.


ロシアは確率論でコルモゴロフ, 表現論でゲルファントなどの巨人がいます.
幾何でグロモフやアーノルドもいます.
ロシアは冷戦終結後, 有名人が各地に散ってしまって
ちょっと悲しいところもあるようですが, 物理でも強いです.
フランス語文献があるかは分かりませんが,
例えば関数解析・微分方程式論でもフランスは強いです.
Lions 親子だとか色々です.


もっと言うなら, 国とかいうよりも大学レベルの話にすらなってきます.
例えば荒木不二洋先生が京都・ RIMS を作用素環の研究センターになるよう
尽力した話とか色々あります.


長くなりましたが, 数学も人がやっていることなので
その範囲ではそんなに特殊なことだと思うことはないですよ, と言う話でした.
「細かい作業は日本のお家芸」とか何とか良く言われるのと
同じような感じだと勝手に思っています.


追記


Paul 筋の情報だ.



元フランス首相として一言「当然フランス語です! 」
ドイツ語は 1970 年代以降競争力を失いました.
ロシア語は主要なものはすぐに英訳がでます.
QT ".@phasetr http://phasetr.blogspot.jp/2014/03/2.html 【 数学と第 2 外国語】よくわからない数学"


ということらしいので関係各位は注目しておくように.

2014年3月9日日曜日

長尾健太郎さんの話と佐々田槙子さん, 權業善範さん, 谷本溶さんの話

立川さんのツイートである.
長尾健太郎君の業績が数学会で紹介されています. http://mathsoc.jp/publication/tushin/1804/2013takebe\_yokogao.pdf
知り合いだったというわけでもないのに呆然と見入ってしまう.

別件だが, PDF に佐々田さん, 權業さん, 谷本さんの名前を見つけた. 少なくとも一方的には顔と名前を両方知っている人なので感慨深い. 谷本さんのコメントははっとさせられる.
作用素環を使って場の量子論を研究しています. 学振の DC1, DC2 ともに不採用になりましたが, イタリアとドイツは奨学金をくれたので留学しました. 修士の時に結果が出ない人にもチャンスが与えられてほしいと思います.
こういうの, 本気でサポートを考えなければいけない. 気合を入れ直した.

2014年2月28日金曜日

ytb_at_twt さんから Tarski 情報のタレコミがあったので

やたべさんからの Tarski 情報があったので.
Tarski についてのお気に入りの逸話はなんですか?
タルスキは, バークレーの木造校舎の教室で講義に熱中するあまり, 紙の詰まったくずかごにタバコを投げ捨て, その結果くずかごが燃えだし, タルスキが燃えるくずかごの上でジャンプして火を消し止めたそうですが, いかにもやりそうな話ですね. 魅力的な人だったのだろうと思います.
沈みいくタイタニックの中で最後まで演奏し続けていた人達のように, バークレーの校舎が全焼しつつも校舎の中で最後まで講義をし続け聴講生もろとも全員死んだとかいう話ならもっと良かった.

2014年2月26日水曜日

黒木さんによる某 S 先生の追憶と量子化された $\tau$ 関数とかけ算と

黒木さんによる某 S 先生の追憶の記録.
学部 3 年~4 年のときに某 S 先生が二年続けて集中講義に来たのだが, \(1,2,...,n\) ではなく常に \(0,1,...,n-1\) とする主義を徹底していることにびっくりした. ぼくは \(1,2,...,n\) がいいと思う. ぼくはいまだに \(\tau\) 函数 (ただし量子化 (←超重要) されたやつ) を研究している.
無限自由度可積分系 (ソリトン系) の \(\tau\) 函数の量子化は場の量子化なのでを現時点では大変過ぎに感じる. しかし, ソリトン系の有限自由度への簡約のいちパターンであるパンルヴェ系の \(\tau\) 函数であればとても綺麗に量子化できる場合がある. (俺しかやっていないのでできていない場合も多い. 謎だらけ!)
現時点で量子化できているパンルヴェ系の \(\tau\) 函数は対称化可能 GCM に付随する野海・山田 arXiv:math/0012028 の \(\tau\) 変数への Weyl 群作用の量子化. \(\tau\) 変数への Weyl 群作用の結果の正則性 (従属変数 \(f_i\) について多項式になること) の量子化も証明できている.
パンルヴェ系のパラメーターはコルート \(\alpha_i^{\vee}\) に, \(\tau\) 変数 \(\tau_i\) は基本ウェイトの指数函数 \(\exp (\Lambda_i)\) に, 従属変数はシュバレー生成元 \(f_i\) に対応している. 量子化するためには全部適切に非可換にしなければいけない. シュバレー生成元の非可換性はセール関係式. 続く
続き. 問題は基本ウェイトの指数函数 \(\exp (\Lambda_i)\) に対応する \(\tau\) 変数 \(\tau_i\) にどのような非可換性を入れるのが正しいのか. これがなかなかわからなかった. わからなかった理由はパラメーター \(\alpha_i{\vee}\) たちがすべてと可換 (中心元) だという先入観である. 続く
続き. 基本ウェイトはコルートの双対基底である: \(\Lambda_i, \alpha_j^{\vee} = \delta_{ij}\). 普通の量子力学ではこういう場合は \(\Lambda_i\) は \(\alpha_i^{\vee}\) の共役運動量だということになる. 素直に考えれば Λ_i の量子化は ∂/ ∂α_i^\vee である. これで正解. 続く 返信 リツイート お気に入りに登録 詳細 黒木玄 Gen Kuroki ‏@genkuroki 5 時間
中略
続き. ある種の \(q\) 差分版の Weyl 群双有理作用の量子化は長谷川さんの http://arxiv.org/abs/math/0703036 で構成されている (\(q\) 差分化と量子化を厳密に区別していることに注意). ぼくの量子展開環版の Weyl 群双有理作用は長谷川さんの作用をそのままでは再現しない. しかし, 続く
中略
続き. なんとなく, ツイッターでするべきではない話をがんがん大量に書いてしまっているような気がしないでもない. ぼくのツイートを掛算順序関係の話題しか読んでいない人は, ぼくが掛算が交換不可能な場合の専門家であることは知っておいた方がいいかも. 分数の計算が死ぬほど大変. 続く
中略
続き. 以上のような話を来週の 2/15 (土) にする予定です. 詳しい情報はリンク先にあります. https://sites.google.com/site/seminaratkomaba/
途中の記述に号泣した.
続き. なんとなく, ツイッターでするべきではない話をがんがん大量に書いてしまっているような気がしないでもない. ぼくのツイートを掛算順序関係の話題しか読んでいない人は, ぼくが掛算が交換不可能な場合の専門家であることは知っておいた方がいいかも. 分数の計算が死ぬほど大変. 続く

2014年2月23日日曜日

江沢洋先生の凶悪なエピソード: 江沢先生の先生に出会った方の話

先日の学習院での江沢先生の講演時に話題になった「江沢先生の先生の話」のブログ記事的なアレだ.
江沢先生の先生に遭遇 : Hard To Make A Stand - 磁性研究者の研究日誌 - http://j.mp/1knPmw6
少しと言っても大部分になってしまったが引用しておこう.
今日研究室に向かう途中, 電車の中で cond-mat に出ていた論文を読んでいたら, 隣の席に座っていたおじいさんから「量子力学の勉強ですか? 」と声をかけられました. なんか感じが良さそうなおじいさんだったので, 僕が磁性の研究をしている事や, 今大学院生である事, そのおじいさんが昔高校の化学の先生だった事等, ぼちぼちと雑談しました.
するとそのおじいさんが, 「僕の教え子に, 今学習院大学で物理の名誉教授をやってる江沢洋というものがいましてね」と, 昔話をしてくれました. この江沢洋という人は物理の量子力学や電磁気学の教科書で有名な先生で, 僕も学部時代はその人の本を買って勉強した事がある人でした.
そのおじいさんが大学を卒業して高校に赴任した時, 最初に持った学年に江沢洋さんがいたそうです. 授業中でもやたらと高度な内容の質問をぶつけてきて, 先生を困らせたそうです. といっても意地悪な質問ではなく, 純粋に核心をついた質問をする生徒だったそうです.
あるとき自由研究か何かで, 当時高校生の江沢さんが「原子の構造について」というレポートを書いて持ってきた事があるそうです. その完成度があまりに高かったので, 当時の江沢青年に 5 コマ分だけ授業時間を与えて, その内容についての授業をやらせたそうです. 秀才だったけど, 休み時間とかはよく騒いでいた明るい学生だったそうです.
確か Connes だった気がするが, Connes は講義中に凶悪な質問をするので有名だったらしい. 引っ掛けのような質問をして「そうですね. そうでないとこんな反例がありますから. 」みたいなことを言っていたとか何とか誰かに聞いた. 竹崎先生だったか富山先生だったか. 凶悪なのは Barry Simon だったか?
よく覚えていないが凶悪な人間もいたものだ, と思ったことをふと想起したので.

2014年2月17日月曜日

確率論と偏微分方程式論: Feynman-Kac, 流体力学極限, Stochastic Loewner equation

ちょっとひさこさんと話したのでせっかくだからメモしておこう. 確率論と PDE という感じのところの話をしたのだ.

Feynman-Kac という伝統的な話題もあるが, 最近は日本だと舟木先生が特に精力的に研究している内容として流体力学極限という話題がある. 慶應理工の佐々田さんによる PDF を張っておこう. これ自体はよく知らないので興味がある向きは色々調べてみてほしい. 舟木
先生が本を書いてもいるので, それを見るのもいいだろう.






起源が流体にあるだけで放物型など色々な PDE との関係があるということくらいは調べた. ちなみに上記 PDF を書いている佐々田さんは 博士を 1 年で終わらせて即ポストも取った優秀な研究者で確率論の若手のホープだ. PDE と確率という話では, SLE と共形場 (Werner の Fields 賞) など, 相対論的場の量子論や統計力学などの物理を絡めた展開もある. 立役者は Werner というよりも Schramm なのかもしれないが, Schramm はとりあえず Fields 時には年齢に引っかかっていたはずだ. Poincare 賞はもらっている. あと, Schramm は山岳事故で亡くなっている.

全然関係ないが, 東大数理で Werner の講演会があったので聞きに行ったことがあり, そのときのエピソードを記録しておこう. 休憩時間にコーヒーを飲んでいたら, たまたま傍に現在京大でその当時東大に行た吉川謙一先生が, 「Werner の書くランダムっぽい曲線は正にランダムっぽくて, さすが確率論の人ですね」と言っていた.

2014年2月14日金曜日

Antonio Cordoba, et. al., All that Math - Portraits of mathematicians as young readers

kai さんが面白そうな本を上げていたので.
"All that Math - Protraits of mathematicians as young readers" おもしろそう. 『この論文に出会えてよかった』みたいな本. http://www.amazon.com/All-That-Math-Portraits-Mathematicians/dp/8461529006
誰が何を書いているのかよく分からない. ただ読んではみたい. そして小市民には高くて泣いている.