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2014年7月22日火曜日

あなたの街の解析屋さん

むしろスコティッシュカフェみたいな感じで,
解析学徒が厚まる場所にしたい.
スコティッシュカフェについては聖典『無限からの光芒』を読もう.


2014年7月9日水曜日

$\mathbb{Q}$ 上連続だが $\mathbb{R}$ に連続拡張できない関数の例: 指数関数の定義域の拡張に関連して

教育的な非常によい例だと思ったので.



\(\mathbb{Q}\) 上連続になるが \(\mathbb{R}\) に連続拡張できない関数,
DVD で取り上げたにも関わらずこういう場合の例にも使えることを理解していなかった.



実に恥ずかしいが, よい勉強になってしまった.

2014年5月22日木曜日

岡村博「微分方程式序説」の書評が感動的だったので

またしても Paul 筋の情報だ.



岡村博「微分方程式序説」も, 死語すぐに出版された河出書房 (1950) に加え,
森北出版 (1969), と現行の共立出版 (2003) の 3 種ある.
解の一意性に詳しい.
河出書房版には, 岡村博氏の生前の写真がある.
井川さんの書評 http://mathsoc.jp/publication/tushin/1202/ikawa12-2.pdf


書評が非常に感動的で, この本を読んでみたくなる.
ぜひ PDF を読んでほしい.

2014年5月11日日曜日

「はるか彼方からの光芒を信じ, 膨大な計算を遂行し尽したときに初めて地平が見えてくるようなハードな解析は解析学の真骨頂であろう」

格好いい.



ここで高橋陽一郎氏によるクッソかっこいいメッセージをお読みください
http://mathsoc.jp/publication/tushin/1204/takahashi12-4.pdf


遥かなるハードアナリシスに対する憧憬を謳っている.
皆, とにかく上記 PDF を読むように.
いくつかウルトラ格好いい文章を引用しておこう.



はるか彼方からの光芒を信じ,
膨大な計算を遂行し尽したときに初めて地平が見えてくるようなハードな解析は解析学の真骨頂であろう.
ハード・アナライザーたちの数ヶ月からときには数年に及び,
岩に穴を穿つような計算を続行するその強靱な精神力と体力には畏敬の念を覚える.
不幸にしてその途上で力尽き果てた人もいた.
畏敬とともに深い哀悼の念を表する.



しかし, 例えば, モーメントの評価や相関関数の評価などのようなわずかな手掛りを頼りに必ず道が拓けるとの信念のもと,
恐ろしいほどのハードな計算を遂行し切って, 数学に新たな地平を切り拓くハードな解析はやはり解析学の真骨頂である.


どれだけハードアナリシス格好いいの, という感じ.


ここで出てくる T. Hara は九大の腹隆さんで,
田崎さんの共同研究者というか知人というか大学時代の友人的なアレだ.
田崎さん, 原さんともに私が所属している分野,
厳密統計力学・構成的場の量子論の先達だ.


この間ブログにもまとめたが, 原さんは 2013 年の Summer School 数理物理で講師になっていて,
そのときの話で提出した D 論は 500 ページ, 証明の細部まで書いた分は 2000 ページになったと言っていた.


今の私としては, ハードでもソフトでも何でもいいから,
とにかくきちんと論文を書いていくことを目標にしたい.

2014年2月1日土曜日

三角級数は魔界

あるオタクの放った一言から延々と tan (x) を書くはめになっている
@FMbunk すまない \(\tan x= \sin x / (1-(1-\cos x))\) だから初項 \(\sin x\) で公比 \((1- \cos x)\) の無限等比級数と思えばいい
@Junkyo_Sutaro 状況よくわかりませんが, 全ての x でその形でべき級数展開できるわけでもないので結構つらいのでは. あと関数項の級数なのできちんと考えないと結構取り扱い注意感あります
@phasetr 厳密にやろうというわけではなくとりあえず計算してみようと思っただけなので \(|x| < \pi < 2\) までで形式的に展開できればいいかなと. このやり方しか知らないというのもあるので. そこらへんは僕の説明が悪いです, すみません.
@Junkyo_Sutaro 少し話が違うのでアレですが, \(\sum {\cos kx}\) は超関数の意味で Dirac の \(\delta\) 関数に収束するとか三角級数は結構魔界なので気をつけて下さい. 元の話は今言った意味での三角級数ではないのでアレというところですけれども
@phasetr はい
三角級数, 要は Fourier だがかなりの佐藤超関数まで出てくる (出してこられる) かなりの魔界なので恐ろしい. あと上記の展開, きちんと調べていないのだが一様収束してくれるのだろうか. 各点収束している範囲では確かに問題ないだろうが, ベキ級数と思うのならそういうのが気になる.

2013年10月14日月曜日

物理と関数解析: LSZ やら物質の安定性やら

時々話題にするが 物理と数学, とくに関数解析というネタについてまたやりとりしたので, 記録しておく.
ある物理については関数解析の知見が本質的だったとかそういうシーンって何かないのかな
@wr_r LSZ は弱収束が大事で数理物理が先行した, 世にも珍しい例です
@phasetr どういうことでしょう.
@wr_r 場の理論の散乱をみるには演算子の収束ではなく行列要素の収束を見ないと駄目, という話です
@phasetr なるほど, それはおもしろいですね. ちょっと調べてみたら, 相転移 P のブログで今年の 2 月 7 日に取り上げていたんですね. 他に数理物理が先攻したような話ってどんなものがありますか.
@wr_r 最近というか現代的なところではそれ以外ないという理解です. 数理物理勢しかしていないこととしては物質の安定性があるでしょうが, あとはよく分かりません
@phasetr 少なそうとは思っていたのですが, そこまででしたか……. 数理物理は今研究されてる物理の手前の数学をやっているということなのでしょうか. それと, 質問ばかりになりますが, 物質の安定性というのは例えば基底状態がちゃんと存在するかとかそういう話でしょうか.
@wr_r 私が今やっているところだと, 学部三年の量子力学てやるような話をやっています. 物質の安定性は, 多体系のハミルトニアンの基底エネルギーが粒子数で下から抑えられるかという話で, 量子論のはじまり, 電子軌道の安定性の一般版です
@phasetr なるほど〜, それでは物理の人間は数学やる前に物理やってという話になるわけですね. 物質の安定性については, 確かにそういう問題は聞きませんでした. 面白い話をどうもありがとうございます.
@wr_r 物質の安定性はとりあえず http://arxiv.org/abs/1111.0170 である程度様子が掴めます. あと http://arxiv.org/abs/math-ph/0209034 とか
@phasetr リプライに今気付きました. ありがとうございます! 時間見つけて読んでみますね.
物質の安定性については物理的にもとても大事だと思っていて, 研究したいとも思っている. 物理的にはこれ以上ないほど簡潔明瞭な上に fundamental の方の意味で基本的で本当に気にいっている問題だが, 数学面でかなりきつい. 難しい数学を使うというわけではなく, 評価のための不等式の技巧が死ぬ程きついというタイプ. 微積分しか使わないと言い切ってもいい程度ではある. こういうと Lieb や周辺の人達がこう色々と言ってくる可能性はあるが, とりあえずいいだろう. 原さんなどは納得してくれると理解している. arXiv にもあるが, Buchholz の散乱に関するレビューで LSZ の経緯とか色々書いてあった記憶がある. 興味がある向きは探して読んでみよう.

2013年10月10日木曜日

Atiyah の From Quantum Physics to Number Theory という講演が YouTube に上がっていたので



Atiyah の From Quantum Physics to Number Theory という講演が YouTube に上がっていたようなのでとりあえず見てみた.
From Physics to Number Theory http://youtu.be/I1ftUA17MZg
適当に聞いていたこともあり, どの辺からどう Number Theory が噛んでいるのかとか, 何故 Atiyah が幾何ではなく数論の話をしたのかとか全く分かっていないが, Atiyah の講演を聞いたことがなくミーハー根性を満たすためだけに聞いたのでよしとする. 砂田先生の言かと思ったが Atiyah の英語は日本語でいうところの「べらんめぇ口調」に対応するらしい. 分かるような分からないようなアレだが, Atiyah の英語はかなり聞きやすかったので程よい英語の勉強にもなりそう. 去年くらいに撮った映像のようだが, さすがに Atiyah も 84 なので疲れるということか, 座りながらトークしていた.

あまり真面目に聞いていなかったが, 最後の方でおそらく Hilbert-Polya 予想に関するのであろう話が出ていた. 次のように書かれたスライドがあったのだ.
Zeros of Riemann zeta functions are eigenvalues of gravity Hamiltonian?
Hilbert-Polya 予想というのは Riemann の \(\zeta\) が適当な自己共役作用素のスペクトル (固有値の集合) で記述できるという予想だ. 元は重力の Hamiltonian に関する予想だった, ということなのだろうか. あまりきちんと聞いていないので分からないが. 量子力学 (非可換調和振動子) や場の量子論 (Fock 空間からの構成) については, 以前, それぞれ坊ゼミやささくれセミナーで少し触れた. Atiyah もこの辺に期待しているということだろうか.

あと最後に次の一文が出ていたので, 引用しておこう.
Without dreams there is no art, no mathematicians, no life.

2013年10月8日火曜日

解析学とコンパクト性: 特に無限次元空間の単位球の (汎) 弱コンパクト性

ブルブルエンジン兄貴と解析学に関するやりとりをしてきた これ とか これ.
ヒルベルト空間は, 閉単位球体が点列コンパクトなら直交基底を持つらしいのですが, これ選択公理要るのってやばいんですか??
@alg_d 誰も気にしていないのでは. 作用素環だとちょっとした汎関数つくるのに選択公理つかうようですし, 使うものと割り切っているか気にしないか, という印象
@phasetr この命題が成り立たないとしたらやばいんですか??
@alg_d 応用上, 大体可分なところしか考えない (ただ, \(L^{\infty}\) はよく出てくるのに非可分) (作用素環だと普通可分性を仮定) ので, そもそも現行人類が制御できる世界の外側なのでは, という感覚があります
@phasetr やばいと思った
そもそも関数解析で閉単位球体をコンパクトにしたいのってなんかあるんですか
@alg_d 「有界閉集合はコンパクト」の類似が使えてこう色々とはかどるからです. 幾何でよくコンパクト多様体ばかり出てくるのと似たような感じ
@phasetr なんかはかどるイメージがあまりわかないレベルで雑魚でした
@alg_d 解析学だと何かしら収束させないと話が進まないわけですが, 有界列であれば部分列くらいは収束してくれるのでうれしいわけです. そういう感じ
@phasetr はー, なるほど!!

2013年9月30日月曜日

Twitter で辻元先生の複素多様体論講義の言及があったので

Twitter で辻元先生の複素多様体論講義の言及があったのでちょっと呟いてみた.
辻先生の複素多様体論講義, 進度自体もめちゃくちゃだが話題の豊富さもやばい. きちんと読んではいないが. 勉強する本ではなくこんな進展があるのか, という感じで概観するのにはよさそうなというかそれしかない感. 引用されている Demaily の PDF とか読んだ方がいいのでは説
@phasetr なんのシリーズですか…??
@waheyhey サイエンス社のやつです http://www.amazon.co.jp/dp/B009M8UX94 Demaily のはこれ http://www-fourier.ujf-grenoble.fr/~demailly/manuscripts/agbook.pdf
@eszett66 @phasetr 小林複素幾何とはまた別のことが書いてある感じですか?
@waheyhey @eszett66 アレよりももっと解析的です. たとえば調和積分の楕円型作用素の話が書いてあったり L^2 評価式とか書いてあります
@eszett66 なるほどー. 今度書店か図書館でみてみます!
@phasetr か, 解析…
@eszett66 よ, 読んでみます
この本は複素幾何のトピック集みたいな感じもある. 分量の割にトピックが豊富なのでその分 1 つ 1 つの記述は薄いのでこれで勉強するのはかなりつらそう.

2013年8月17日土曜日

Hahn-Banach を使った Markov-Kakutani の不動点定理の簡単な証明

チャーハニスト鈴木と次のようなやりとりをした のでその記録をしておきたい.
あそうだ, セミナーのノート整理してて思い出した. 【ゆるぼ】 Markov-Kakutani の不動点定理の主張が書いてある pdf (和洋文問わず) 
@mszk_p きちんと読んでおらずさっと見つけただけですが http://page.mi.fu-berlin.de/werner99/preprints/markkaku.pdf などはどうでしょうか. ちなみに filetype:pdf として検索すると pdf だけ引っかかるようになります 
@phasetr そのオプション知りませんでした. どうもありがとうございます.
PDF は Dirk Werner による 『A proof of the Markov-Kakutani fixed point theorem via the Hahn-Banach theorem』というタイトルの文章だ. 2 ページしかなく難しくもないので興味がある向きは読んでみてほしい. 定理も引用しておこう.
Theorem
Let \(K\) be a compact convex set in a locally convex Hausdorff space \(E\). Then every commuting family \((T_i)_{i \in I}\) of continuous affine endomorphisms on \(K\) has a common fixed point.
次の補題を挟んで証明する. この補題を Hahn-Banach を使って鮮やかに示すというのがポイントだ.
Lemma
Let \(K\) be a compact convex set in a locally convex Hausdorff space \(E\), and let \(T \colon K \to K\) be a continuous affine transformation. Then \(T\) has a fixed point.
不動点定理, 楽しい.

2013年6月18日火曜日

よぬすさんとやりとりしていて気になったので自分で証明つけてみた

今よぬすさんとやりとりしていて, 細かいところが気になったので自分で証明書いてみた. 使っている本を正確に確認していないので, 実数の完備性に関わる公理のうちどれを使っていいか分からないため, この証明は暫定版. 必要があればまた書き直すなり追記するなりする.

定理 \(I\) を有界閉区間とし, 関数 \(f \colon I \to \mathbb{R}\) は連続と仮定する. このとき \(f\) は有界になる.

証明 \(f\) が非有界だとする. このとき任意の正数 \(M > 0\) に対して \(x \in I\) が存在して \(|f(x)| > M\) が成り立つ. 特に十分大きい \(n \in \mathbb{N}\) に対して \(x_n \in I\) があり, \(|f(x_n)| > n\) となる. 数列 \((x_n)\) は収束する部分列を持つ (これ使ってもいい?) が, \((x_n)\) 自身が収束するとしてよい. \(n \to \infty\) の極限が取れて \(\lim_{n \to \infty} |f(x_n)| = \infty\) となるが, \(f\) が連続で全ての \(x \in I\) について有限確定値を取ることに反する. したがって \(f\) は有界になる.  \(\blacksquare\)

追記 「数列 \((x_n)\) は収束する部分列を持つ」は使ってよかったようだ.

2013年6月3日月曜日

1 文字 1 文字に万感の思いを込めて式を書こう:不等式の記号に思いを寄せて

高校までは不等号というと \(\leqq\) 一択だったが, 大学に入ると \(\leq\) や \(\leqslant\) という不等号が出てくる. 特に \(\leqslant\) は大 2 病的な感じで使いはじめる者もいたことだろう.

また書く量が減るから, ということで \(\leq\) を使う人もいる. \(\leqslant\) も斜めにシャシャッと書く感じで書きやすそうだし, そういう意味で \(\leqslant\) を使う人もいそうだ.

だからどうということも特にないのだが, 私は \(\leqq\) を愛用している. ご多分に漏れず \(\leqslant\) を使ってみようと思ったこともあるのだが, 癖でずっと \(\leqq\) を使い続け, 結局そのままだ.

今になって思うと画数も多いこの不等号 \(\leqq\) がとても気に入っている. 基本的に記号や式は万感の思いを込めて書くものだ. 苦闘の末得られた結果を綺麗にまとめているときにはなおさら. わざわざ下に棒を 2 本つける感じが, 私の心の底に深くたゆたう不等号への愛情を表現しているような気さえしてくる.

あと, 少なくとも物理と数学では 1 つ 1 つの記号をとても大事にする. 記号 1 つとってもそこから読み取れるメッセージというのがある. 例えば物理で \(E\) と出てきたらエネルギーなり電場なりに良く使うが, そこから一気に関連する諸概念, Hamiltonian や Lagrangian, 磁場や Maxwell 方程式やらが頭の中を駆け巡る. 数学でも同じ \(E\) で射影なりベクトルバンドルなり, 色々ある.

関連性を意識させるべく, 何となく似ている概念には同じ (ような) 文字を使うことだってある. あまりいい例ではないが, 時間を表す変数 \(t\) に対し, 量子力学では虚時間 \(it\) に \(\tau\) を使ったりする.

記号 1 つで簡単に聴衆を混乱させることだってできる. 1 文字 1 文字に万感の思いを込めて文章を書こう.

最後に解析学徒の心の故郷, 不等式の園への誘いとして我等が Hardy-Littlewood の『不等式』を紹介して終わろう.


追記

黒木さんからコメントをもらった. せっかくなのでこちらにも転記しておこう.
@phasetr http://phasetr.blogspot.jp/2013/06/1-1.html ぼくも「≦」派 (「<」の下に「=」をしっかり書く派) です。 手が勝手に書いてくれるのに無理して略す必要はない感じ。

2013年5月11日土曜日

(楕円型) 非線型偏微分方程式という言葉が通じずに衝撃を覚えた記録

ここ で次のようなしょうもないことを呟いたら RT 経由で個人的に衝撃的なリアクションを頂いた.
図解雑学 楕円型非線型偏微分方程式
リアクションというのは これ だ.
非線形楕円型偏微分方程式とは
語順が変えられている上に線型の字も変わっているが, とりあえず次のやり取りをした.
@_handyfox 楕円型の偏微分方程式と非線型偏微分方程式を両方調べて頂ければ良いのですが, とりあえずhttp://www.encyclopediaofmath.org/index.php/Non-linear_partial_differential_equation とか 
@phasetr ありがとうございます。 何だかとっても特殊なものかと思ってました^^; 組み合わせなのですね、こんなサイトがあるのも、知りませんでしたヽ(´∀`) 
@_handyfox 楕円型はともかく,非線型の「線型」は線型代数の線型なので, 特に難しいことないと思ったのですがそれはともかく,流体のナビエストークスだとか応用上大事な方程式がたくさんあります. 学部くらいで出る方程式は,非線型だと扱うのが大変なので線型化した物を扱うのが主です 
@phasetr はい、私ら電気系学科の出身だと、電磁気学で習うような代物だと思います。 非線形は記憶にないだけかもしれませんが、やらなかったような気がいたします。 「楕円形」がよくわかりませんでしたが、式でわかりましたw 
@_handyfox 一応書いておくと,楕円型(楕円形だと意味が変わってしまいます.formではなくtypeの意味なので) というのはラプラシアンみたいなものです 
@phasetr メモメモφ(^ )気を付けます。 ラプラシアンですか、感覚的になんとなくつかめます。
正直, ありとあらゆる意味で分かってもらえていないと思っているのだが, それはともかく, 電気系の方に楕円型はともかく「非線型」が通じないというのは衝撃的だった. 楕円型も勝手に字を変えられていること, それはそれで衝撃なのだが.

非線型光学というのがあり, レーザー, 結晶や光ファイバーなども関係があるし, 非線型素子という言葉もあるくらいなので電気の人なら馴染みがあると勝手に思っていたのだが, そうでもないようだ.

別にリプライ先の方が不勉強だとか愚かだとか言いたいのではなく, 他学科における (非線型の裏にある) 線型性に関する認識, 想像以上に低いのでは, という危惧を抱いたからだ. 例えば機械工学周りの人なら流体などで非線型の方程式をがんがんぶん回すので, 同じ感じで線型・非線型という言葉はある範囲の工学系の人にはかなり自由に使ってよさそうと思っていたが, 結構まずそうだ. ある範囲には電気系も入っていると思っていたので想定外である. 電気系と言っても広いと言ってしまえばそれまで, とも言える.

だからどう, というのもあまりないのだが, 何かどこかでやるときの参考になるかもしれないと思い, メモを残しておきたい.

2013年5月4日土曜日

経済や物理で必要な数学についてのやりとりまとめ:微積分と線型代数をきちんとやろう


Twitter で これ とか これ みたいな呟きしたら教官含めいくつか反応があったので, 折角だから記録しておく. まず上の元呟きを転記しておこう.
https://twitter.com/gametheory4/status/324829386643763200 よく分からないのだが経済,本当に数学必要なの 
数学関係者, 経済の数学というと無駄に確率微分方程式を押してくるが, そんなのを使っている経済の人, 実は経済学内部では異常者だったりしないの
適当にやりとりをまとめておこう.
https://twitter.com/gametheory4/status/324829386643763200 よく分からないのだが経済,本当に数学必要なの
【経済学部生間の数学力格差についてっていう論文かきたい((o(^)o))】 
@phasetr ゲーム理論とか必要では. 
@phasetr 勉強するのにも高校+αの微積分と線形代数は必要なのでは? 後、確率微分方程式とかゲーム理論とか使う分野もありますし。 
@functional_yy ゲーム理論の難しさ, 数学の難しさというより現実とすりあわせた仮定を設定する難しさという印象ですが素人なのでよく知らないというアレ. あと皆が皆ゲーム理論必要なのでしょうか. これもよく知らないので 
@hymathlogic 統計学ができる程度の能力を持たない大学生は一人残らず射殺すべきという見解です 
@hymathlogic 正確には統計学が必要な学部学科,という条件下で 
@phasetr 統計学ができる程度の数学力,と書いた方が良かった 
@phasetr 分野により使う数学も変わってきますね. 統計, 確率, 微分方程式, ゲーム理論, 認識論理(論理学)など.
やりとりその2.
@hymathlogic 統計学ができる程度の能力を持たない大学生は一人残らず射殺すべきという見解です 
@phasetr 統計学ができる程度の数学力 #とは 
@greengrimghost 教養程度の微分積分と線型代数が使える.「理解」は問わない
@phasetr なるほどその程度なら
やりとりその3:教官陣と.
@phasetr https://twitter.com/phasetr/status/324845187148943361 とhttps://twitter.com/phasetr/status/324838051627032576 と見比べると, 相転移Pさんは,物理学も経済学も異常な一部を除けば数学はいらん,という主張(もしくはそういう数学の定義)という理解で良い? 
@tetshattori 経済の方は確率微分方程式とか無茶なのばかりよく出てきますがそこまで無茶なことしないと経済できないの,という話です. 物理に関しては微分積分と線型代数の守備範囲なめてんのか,という話です. この辺を極端な形で表現しました 
数学以外の数学はとても難しいのです。(^^;; RT @phasetr: @tetshattori 経済の方は確率微分方程式とか無茶なのばかりよく出てきますが そこまで無茶なことしないと経済できないの,という話です 
@tetshattori 社会学にとって最低限必要な範囲の統計学が処理できる程度の数学力を持っていない学生は 問答無用で殴り倒すことを前提にしています 
@phasetr つまんないこといっちゃうけど,「何が数学か」とか「どのように使ったら使ったと言えるか」とか, その手の問いは(研究においては)してもしゃあない気がします @kyon_math 
@tetshattori @kyon_math 一応,背景としては新入生が線型代数は何に使うの, という感じで苦しんでいるのでとりあえず物理(と物理を使う工学)では大事だし, 教養の線型代数と微積分できれば相当範囲の物理できますよ,みたいなことを言っておこう,という感じです 
@tetshattori @kyon_math 細かいこといえばきりがないというのはいつもの話で, 細かい話が気になる人たちから突っ込みが来るのは当然として, そういう層に向けたメッセージではないので,今回のような分かっている人からの突っ込みは別途処理ということで 
@tetshattori @phasetr 「数学をどのように使ったら」と言うのはとても大切で、そのような視点からの発言です。 誤解のないように。 
@phasetr その文脈ならば経済学は,微積線形に凸解析(分離定理)を加えておけばかなり,かと (それでゲームとファイナンスが少しやりやすくなる)
余談として これ とか これ も足しておこう.
数学から工学に移ったときは都落ちしたような悲哀を少し感じていたものですが 「工学の問題にどうやって数学を使うか」という問題はやってみると中々面白いです。 ノイズ、精度、計算コストの制約があるので単に数学的に解けば良いわけでもない。 そういう事がわからず、最初はかなり空回りしました。 
@各位 Twitterで極端な話をすると教官陣から突っ込みを受けるし現在進行形で私が突っ込みを受けているので, それが怖い向きは十分に注意するように. あとRTで回ることまで念頭に置くように

2013年5月3日金曜日

Twitter まとめ:高校生との対話 物理に必要な数学的なアレ


いつもの通り, 数学がどこで必要なのか分からないとなかなかつらいだろうから, まずは物理をやったら, という話をしてきた. あと, 自分の手持ちでどこまで戦えるか挑戦してみる機会でもある. 人によっては既存の数学で解決できないなら自分で数学を作る必要だってあるから. また, 大学に行くと嫌でも先に数学やらされる羽目になる (こともある) ので, 見られる部分は見ておいたら, というのもある. この辺 からはじまる.
テンソル解析って数学的にはどこに繋がっていくんだろう 
@qpnv 多様体上の解析学,微分方程式とかでは 
@phasetr そうなのですか。 物理への応用みたいな本をパラパラ見ていただけなので数学的な繋がりがよく分かっていませんでした。 
@qpnv 解析力学や一般相対論方面だと正に多様体上の解析学という感じになるでしょう. その辺あまり詳しくないのですが. 流体とか言う方なら単純に(非線型の)偏微分方程式かと思いますけれども 
@phasetr 一般相対性理論も興味があるのですが、多様体も学ぶ必要があるのですね。 多様体についても調べてみます。 
@qpnv いわゆる曲がった時空というのが擬リーマン多様体という多様体なのですが, 少なくとも入門段階ではその辺の数学的なことはいりません. あまり数学に気を取られずに,必要になったらその都度やって行く方がいいです. 物理に興味があるならまずは物理からやりましょう 
@phasetr 必要になったら学ぶ、というスタンスの方がいいのですね。 分かりました。バリバリ物理をやっていきます。

2013年4月30日火曜日

表現論 (文学ではない) と解析学:入門的なアレ

解析系の学生が表現論をちょっとやってみたいとかいうので, いくつかアタックしやすそうなラインを勧めておいた. この辺 だ.
@yukimi_go まずはストーンの定理とか半群理論とかやるといいのでは 
@yukimi_go フーリエ解析も表現論なのでその辺からやって行く手もある説 
@yukimi_go 色々ありますが,PDFだとhttp://web.sfc.keio.ac.jp/~kawazoe/SK%20awazoe.pdf とか http://krishna.th.phy.saitama-u.ac.jp/joe/sotsu/Yoshnaga2009.pdf. はじめから調和解析と言えばよかった説. あとこれも参考にhttp://blog.goo.ne.jp/ktonegaw/e/c147f6ab740cf0c0968882d347f3bb0
表現論は私自身もよく知らないのだが, 専門は \(C^*\) 環論の表現論と強弁することがある. また対称群周りの表現論はボソン, フェルミオンとの関係で使うし, \(\mathbb{R}\) のユニタリ表現は時間発展との関係で出てくる. Lorenz 群や Poincare 群も相対論的場の量子論で使う. Haar 測度などもまともに勉強したことないが, 勝手に使っている. どこかで勉強したいとはずっと思っているのだが.

     

小林, 大島先生のは東大数理でも使うレベルの本格的な本だ. 第一分厚い. 色々書いてあるので眺めていて面白いのは間違いない. 杉浦, 山ノ内本は数学というより物理向けの本だろう. 数学的にきちんとした本だが, 山ノ内先生が物理の人で, 表現論周りのことをしていて物理の人でも読める本を, ということで書かれた本だった気がする. 読んだことはないのだが, 読んでみたいということで入れておいた. あとは新井先生の本で, 量子力学, 場の理論周りの話が書いてあるので入れておいた.


2013年4月26日金曜日

Twitter まとめ:微分積分と線型代数からの突然の幾何学と解析力学

「自然な~」「自然に~が定義できる」というのは本などでよく見かける言葉だが, 初学の段階では何がどう自然なのか全く分からないこともよくあり, 大変腹立たしい. 今回, ここ で「自然な直交座標」というので悩む若人がいたので, 図々しくも老人が出しゃばった話をまとめたい. 今見たら流れを把握せずに変なことを言っている部分があったので猛省している.
自然な直交座標っていうけど逆に不自然な直交座標ってなに?私の発想力じゃ思いつかん 
@dream_taro 正規じゃない場合とか? 
@zomi1202 あー、なるほど。でもそれだったら正規直交座標って書いてくれればいいのにね 
@dream_taro あるいは違うかも。どういう文脈? 
@zomi1202 重積分するよー、暗黙のうちに自然な直交座標が入ってるのを仮定してるよー。って感じ 
@dream_taro んん?? 座標入ってるってベクトル空間に入れる、ということを想定してるのかな?? 
@zomi1202 文脈みたらやっぱり正規直交座標ってことっぽいと解決した 
@dream_taro @zomi1202 微妙なところですが,普通(1,1)/√2,(1,-1)/√2 みたいなのが「自然でない直交座標」ですね. むしろ(1,0),(0,1)みたいなのを指して「自然な」というのであって,それ以外が全部「不自然」ですが,微妙な点があってアレです 
@phasetr @dream_taro んーと、よく理解できてないのですけど、 その"不自然"という用語は既に別の座標(基底)が定まってる事を前提としてるのでしょうか? 
@zomi1202 そうです.既に基底を取っているところに別のを取ってくるから不自然に見える,という感じ. 基底を取り替えれば不自然だった方が自然になるので「微妙なところ」と表現しました. はじめから座標を入れていなければ出てこない話です. きちんとやると幾何の話になって大変で面白い 
@phasetr 幾何というと全然分からないのですが、微分形式の周辺のお話ですか? 
@zomi1202 座標に依存しないで議論を展開するという根本的なところです. 微分法に関しては,直接的には微分形式というよりベクトル場かと思いますが
@phasetr ふむふむ。 ベクトルって早々と座標導入しちゃう本多いですけど、あえて入れずに論じるの楽しいですね。 (今読んでるベクトル解析の本がちょうどそういうのでした) 
@zomi1202 座標に依存したくない、という気持ちが分からないとつらいので難しいところです。 物理でも大事な話ですが
自然な直交座標系については上で書いた通りだ. 線型代数の話になる. この辺で既に微分積分と線型代数の根本的な結び付きが出てきているのだが, その辺は適宜勉強されたい.

それはそれとして, 座標系に依存しないで解析学を展開しようと思うと幾何学が出てくる, という話だ. 初学者にとっては出てきた結果が取った座標系に依存するかどうか, という話そのものがよく分からないと思う. 具体的に考えてみるとこういう感じだ. 3 次元の Laplacian を自然な直交座標系と極座標系で書いてみると次のようになる. \begin{align} \triangle_{\mathrm{o}} &= \frac{\partial^2}{\partial x^2} + \frac{\partial^2}{\partial y^2} + \frac{\partial^2}{\partial z^2}, \\ \triangle_{\mathrm{p}} &= \frac{\partial^2}{\partial r^2} + \frac{2}{r} \frac{\partial^2}{\partial \theta^2} + \frac{\cos \theta}{r^2 \sin \theta} \frac{\partial}{\partial \theta} + \frac{1}{r^2 \sin^2 \theta} \frac{\partial^2}{\partial \phi^2} . ORG-LIST-END-MARKER \end{align} 引用のために添字をつけたが, 当然同じ作用素だ. 何も知らずに \(\triangle_{\mathrm{o}}\) と \(\triangle_{\mathrm{p}}\) を見て同じ作用素と思えるか, という話. 化け物ならいざ知らず, 普通は無理だろう. 「見かけに騙されずに同じものは同じと思いたい」という欲求が「出てきた結果が取った座標系に依存するかどうか」という問題だと思ってほしい. Laplacian の定義については Riemann 多様体上での定義を参照されたい. Riemann 多様体自体の定義を把握するだけでも死ぬ程辛いだろうから初学者にはお勧めしないが.

上で微分作用素の話にしたが, 当然微分方程式も関係してくる. 物理でも同じような要求は出てきていて, それが解析力学の基本的な発想にもなっている. 「見かけに騙されずに大事なことを見抜く」というのも大事だが, もう 1 つ, 面倒くさそうな (見かけの) 方程式を上手く変換していって解きやすくする, という方向もある. 変換していった先と元の方程式が同じなら簡単な方で解けばいい, となって無事に話が終わるのだが, 本当にそうやっても大丈夫か, という保証を与えるのが解析力学の要点で幾何学的に大事なことでもある.

詳しくは解析力学で学んでほしいが, 量子力学で簡単な例を出そう. 水素原子の Schrodinger 方程式を考える. \begin{align} H = \triangle - \frac{e}{r}. \end{align} 詳しい部分は省くが, Coulomb ポテンシャルは球対称性を持っているし, Laplacian も球対称性を持っている. (本当は考えている空間の対称性も大事だが, 今は \(\mathbb{R}^3\) 全体で考えていることにしてとりあえず不問にする.) したがって球対称性を重視した座標系で書いた方が記述がすっきりする (だろうと思える). そこで Laplacian は極座標系で書いた方がいいのではないの, という発想が出てくる. これをやっても大丈夫, という保証をつけるのが解析力学・幾何学的発想だ. 解析力学は機械工学などでも大事になると聞いているので, 関係各位は頑張って勉強されたい.

工学の人でも読めるような本は知らないので, 関係各位はお勧めがあれば教えてほしいのだが, とりあえず物理の理論系や数学の人向けに読んで面白い本だけは紹介しておこう. どの本だったか忘れたし内容も忘れたのだが, 坪井先生の本のどれかに, 「現代的な幾何学ではベクトル場と微分形式を概念的に分離したことが画期的な成果だ」という一文があった記憶がある. どう大事なのかいまだに全く把握できていないので分かる人は教えてほしい.

         
新井先生の本は物理を元ネタに対称性の数学を議論している. 最後に超対称性まで出てきて無茶苦茶と言えば無茶苦茶だが, かなりアドバンストな所まで扱っているとも言えるので, 読んでいて楽しい本ではなかろうか.

山本義隆本は物理の人から見た解析力学の本だが, 数学的にもある程度のレベルまできちんと書いた本だ. 多様体論をきちんと使っているので, 物理の人の多様体論入門にもいいかもしれない. はじめて解析力学を学ぶのには死ぬ程きついと思うが, 私が幾何学できなさすぎるだけかもしれない.

読んだことはないが評判はいいので深谷先生のベクトル解析と解析力学の本を入れておいた. 読んだ人は感想教えてほしい.

上で少し書いた坪井先生の本, どれだか忘れてしまったので, それっぽいのを全部挙げておいた. 前書きに書いてあったはずなのだが, 本を持っていないし近くに置いてあるところもないので確認できていない.

多様体論自体でも丁寧な本として松本先生のも挙げておこう. まだるっこしいと言えばまだるっこしいと言える. 以前宇宙賢者とも少し話したが, 実多様体論は 1 の分割だとかで技術的なところがとても面倒くさい. 複素多様体をやった方がストレートに幾何幾何したところに行ける感じはあるが, よく分からない. ただ, 複素多様体だと多変数関数論がはじめに出てきて, そこでちょっとアレ感がないでもない. あと層係数のコホモロジーも微妙にアレ, という気もする. 結局何にしろつらかった.

Riemann 多様体のいい本, よく知らないのだが, 幾何学的変分問題はかなり読みやすい本なのでこれはお勧めしておこう. Riemann 多様体の勉強にもなるだろう, と前書き的なところにも書いてあったので, Riemann 多様体の基本的なところは多分おさえてあると思っている. 変分は解析力学でも出てくるし, 変分自体, 物理でとても大事な切り口なので, 数学的にきちんとやってみたいと思ってしまった人はやってみると面白いかもしれない.

2013年3月7日木曜日

数学科および物理学科での数学教育についての雑感:数学者 Hans Freudenthal (1905 - 1990) の紹介文を見て


Twitter を色々見ていたらこんなの を見つけた.
@yujitach やはり「線形」には違和感が(違う)。 ちなみにFreudenthalは1990年に普段散歩してる公園のベンチで死んでいるのを子どもに発見されたそうです。 http://www.fisme.science.uu.nl/en/freudenthal.html
Freudenthal, 名前だけは聞いたことがあるので Wikipedia で少し調べてみたが何をやっていたのか正直なところよく分からなかった. 20 世紀前半の仕事だというのに今一つよく分からないというの, 何となく衝撃的だったが, 例えば量子力学も一応成立は 1925 年と 20 世紀前半の話なので, 20 世紀前半の話が既に破滅的に難しいというのを再認識した. 最近『数学まなびはじめ』を読んで時代的に数学者に落ちる戦争の影を見たので, 上記 URL にはその点からも感慨深い文がある.
面白かったのはむしろ教育に関わる部分だ.
As a teacher he acquired international fame and significance as the founder of realistic mathematics education, which is based on problems taken from day-to-day experiences rather than on abstract math rules. Single-handedly Freudenthal saved Dutch education from the American teaching method of New Math, which was introduced in many countries from 1960 onwards. This formal, logic-based method turned out to be unsuitable for most students.
Freudenthal preferred to send his students on a tour of discovery. His motto was that you learn mathematics best by re-inventing it. His students were not given abstract bare problems to do but well chosen practical problems from daily life, and in solving these they gradually developed mathematical understanding. In addition, Freudenthal thought the recognizability of the problems would lead to the students automatically becoming more interested in mathematics.
独力でアメリカの New Math 運動からオランダの教育を救ったという猛烈に格好いい話に目が向く. 何の本だったか忘れたが, 小平先生は娘さんが New Math に巻き込まれて酷い目にあったとかで批判的な文章を書かれていた覚えがある.
学部は物理学科であって正規の数学教育 (?) を受けたのは修士からであり, 修士ではある程度具体的な問題を念頭に置いて勉強していたので, 学部レベルの数学科の数学についてはよく分からないこともあるが, 物理学科で数学を学ぶときの苦労ぐらいは書いておきたい.
物理学科はあくまで物理をやるところなので, カリキュラムに組み込まれた数学も物理のための数学に集中する. (歴史的な経緯もあり私の大学の物理学科では実数論, 集合論, 位相空間が必修だったが, とりあえずこれは抜かす.) 物理のための数学とはいうが, 正直, 具体的にどういう数学をどこでどう使うという話はあまりされず, 結構雑だった気がする. 私が単純に聞き落としていた, 聞いてはいたが全く実感が持てなかった, 本当に話されていなかった, 物理で出てくる数学的問題を解決するための数学なのでその元の数学の話が分かっていないといけないためそもそも物理・数学ともにある程度まで進まないと話すのは不可能, などいくつか原因はあろうが, 今になって考えるとかなりつらい思いをした学生もいたのではないかと思う. 私に関していうなら, 数学を数学として楽しめたという理由以上に毎日訳が分からず目の前の勉強を必死になってやっていて, そんなことを考える余裕もなかった, というのが実情という感じがある.
通じづらいと思うので「物理で出てくる数学的問題を解決するための数学~」という部分について簡単に触れておこう. いくらでもあるのだが, 一つは私の専門でもある線型代数だ. 大雑把過ぎるので, さらに具体的なものとして線型空間論を挙げておこう. 少なくとも初等物理では線型の微分方程式がたくさん出てくる. 「線型の」と言っているくらいなのだから当然線型代数が関係しているのだが, これに気付いたのは学部 3 年くらいだった気がする. 量子力学でも重要なので講義でも多少触れたのではないかと思うが, 全く記憶にない. 量子力学は学部 3 年のとき本当にやばいくらいに何も分からず, 学部 4 年で新井先生の本で数学的に復習しつつ整理してやり直したという感じであって, 講義で何かを身に付けたという覚えすらない.
話がずれたが, 線型代数だ. 力学の講義でも出てくる方程式 (運動方程式) は大体線型で重ね合わせが成り立つことを使っているので, その時点で死ぬ程線型代数を使っているのだが, これも気付いたのは大分あとのはずだ. 無論線型代数の講義で学んだ記憶はない. ちなみに多体系の安定性みたいな話をするときにポテンシャルを Taylor 展開して Jacobian の行列の正値性に帰着させる話も線型代数だが, これも学部 1 年当時に本当に線型代数だと認識できていた自信はない.
話がずれっぱなしなのでさらに戻して「物理で出てくる数学的問題を解決するための数学~」のところだ. 上記の例では (偏) 微分方程式の線型性という話をしている. 微分方程式自体あまり馴染みがないので, 微分方程式と言われてもあまりピンと来ない. 運動方程式は学部 1 年の力学でも嫌でも出てくるのでまだいいが, 偏微分方程式となるとつらい. 物理で偏微分方程式を使うというと当然色々あるが, 電磁気学を例に, と言ってもその電磁気 (の数学的取り扱い) が分からない. 電磁気となるとベクトル解析も必要だが, こうやって線型代数の必要性を感じるために他の数学, さらには物理 (の数学的取り扱い) まで知っていないといけない (ご利益が感じられない) ので, 結局学び始めの段階で具体的な応用の話がしづらくて困る, という話がしたかった.
他の大学は知らないが, 私の大学では学部 1 年次に物理学演習だか何か (講義名を忘れた) という名の数学の演習の講義が必修であり, そこで通年の (教養の) 線型代数や微分積分の講義とは別に必要な数学をトピックごとにやっていた. そこでも実際の応用はあまり話された覚えはない. ただ「とにかく使うことだけははっきりしているから, 泣こうが喚こうがやれ」という雰囲気はあった覚えがある.
色々書いていたら何が書きたかったのか分からなくなってきたのだが, 数学を学ぶことに具体的なモチベーションがあるはずの物理学科ですら, 「必要だからやりなさい」という感じで学習段階であまり具体的な応用の仕方を伝えられることはなく, 結構つらかったという感じのことが言いたかった. Twitter で言ったのだかブログにも書いたのか忘れたが, 物理ですら道具とする工学部だともっとつらいのだろうな, と思っている.
そして更に元に戻ると, 学部の数学科ではどういう問題意識で進めていくのかよく分からないという話になる. Freudenthal は抽象的な問題よりも日々出くわす実際的な問題を出題し, それを解くことで数学に慣れ親しませたとあるが, これはどういうことなのだろう. この辺, 数学者は数学的自然の中に生きている感があって何となく羨しく感じた.
もちろん今となっては「日々出くわす実際的な問題」みたいな感じはある程度分かる気はするのだが, 必ずしも大学の数学に親しんでいない, 特に学部 1 年生をどう励ましていくのかというところに興味がある. ある程度慣れた学部 3 年とか, 研究を目指す修士の学生にそういう感じで学ばせていくところにはイメージが湧くのだが. 数学科の修士を出たにも関わらず, (学部の) 数学科は不思議なところだという感覚がいまだにある.
あとこれも前から思っているのだが, 微積分やベクトル解析に関し, 純粋な数学の人の物理抜きの理解の仕方というのがとても気になる. ベクトル解析だと多様体上の解析というか, Stokes の定理とそこからの展開というイメージの仕方はあると思うが, 私は 2-3 次元でのベクトル解析は物理というか電磁気のイメージなしには最早理解できない. 理解できないというか, 真っ先に電磁気的なイメージが広がってしまうので, 何というか「純粋な数学」として感知できない. こういうの, 数学の人はどう思っているのだろう.
それはそうと, 3/16-17 の関西すうがく徒のつどいでは正にこの辺の「具体的な問題を通した数学学習」というイメージで, 色々な (反) 例を紹介する講演をする. それで Freudenthal の話が気になった次第であった.
ついでにいえば, 数学科に限らず, 物理でも結構「具体的な数学」というのが結構穴になっている感じがあるので, その間隙を縫うことがしたいなとはずっと思っている. ニコニコでの動画での目的の一つはそこにあるのだが, 数学的に極端過ぎるので, もう少しクッションになれるのを作りたい.

2013年2月15日金曜日

不等式, 代数的不等式


Twitter でこのような呟きを見つけた.
不等式、極めるためにはHölderやらKaramataやらMinkowskiやらShapiroやらYoungやら 全部ある程度知っておいた方が良さそうだしそれでも変な問題は解けない感じがあるので死
彼/彼女 (以下では「彼」で統一) は高校生 (のはず) なのだがなかなかマニアックなことを知っている. Young, Holder, Minkowski は解析学を学んだ者なら誰でも知っているが, 少なくとも他の 2 つは私は本当につい最近知った. 上記不等式群は例えば次の本に書いてある.



最近「数学で遊ぶ」をコンセプトに, 不等式 (の証明) に関する動画を作ろうと思ったので参考のために買ったのだが, まだ一度ざっと目を通しただけだ.

彼は受験に関して言っているのだと思うが, 受験にはあまり関係ないだろう. 動画を作ろうといったことにも関係するが, 証明の技術的にも大事だし何より面白いので勉強しておいて損はない. 遠い受験の記憶を掘り起こすと, 東工大だかどこかで Minkowski の等号成立条件を調べる問題はあった気がするので, 受験的にも出てくることがないわけでもないはず.

念の為に書いておくと, Holder と Minkowski は Lp (または p) に関する三角不等式を示すのに使う. Young も実解析的な方向で基本的な不等式だ. Karamata や Shapiro は代数的不等式 (あえて言えば有限集合上の p に関する不等式) では基本的で大事な不等式のようだ. 彼のツイートを見てから上記の本が気になって仕方がない.

2013年2月13日水曜日

Riemann 積分と Lebesgue 積分:特に定義


先日, Twitter で次のようなやり取りをした.
@kenkonD リーマン積分は定義は分かりやすく技術的にも簡単ですが、そのあとの議論が恐ろしく面倒です。 ルベーグは定義からして面倒ですが、定義したあとの議論がクリアです。 何かリーマン積分をやらなければいけない理由がない限り直接ルベーグでも良いと思っています
リーマン積分とルベーグ積分、勉強について色々思うところはあるが、うまくまとまらない。 定義の簡明さと関連する定理の議論の簡明さが恐ろしいくらいに反転するので、どうするといいものかがとても悩ましい。 使うならルベーグがやはり楽で、具体的な計算練習にはリーマンの「本」が参考になる
@crobertz わたしもまさにそれを思っているのですが、具体的な計算は別途関連する計算のところだけ読めば良くて、 理論はそんなに頑張ってやることないな、という感じ。 問題は初学者が自分でそこの切り分けができるかというところで、それが悩ましい
一応言っておくと広義積分に関するところでリーマン積分とルベーグ積分の違いがあるのでそこは注意する必要がある。
やはりあれだ、ルベーグの定義までの面倒くささが初学者に勧めるときのハードルになるので、そこを埋めるコンテンツを何か作るしかない。 厳密なのはいくらでもあるから、気分だけきっちり感じられるものを
色々と思うところもやりたいこともあるが, とりあえず今回は Riemann 積分と Lebesgue 積分の定義について考えたい. 一言でいうと, Riemann 積分は定義が簡単だが後の議論が煩雑で, Lebesgue 積分は定義が面倒だが後の議論がクリアになる. まず技術的にいえば, これは面倒な部分を定義に押しつけるかその後の議論に押しつけるかの差にあたる.

Lebesgue 積分がすぐれているというか応用上便利なのは, 面倒な部分を事前に定義に押しつけているからだ. 具体的にどう便利かというと, 極限に関する議論, 特に関数列が扱いやすい. 
Lebesgue の単調収束定理と Lebesgue の優収束定理が魂といっていい. この 2 定理の簡明な定式化が許されることがとても大事. Riemann 積分で対応する定理を見てみると良く分かる.

Lebesgue 積分のモチベーションを考える上では応用から入るのがいい. そこで具体的な状況を考えよう. 一番シンプルで直接的な応用はおそらく微分方程式だろう. このとき定義とも合わせて鍵になるのは「真の解」を近似する関数列だ. さらに数値計算など実際問題としても大事だ.

折れ線近似でも何でもいいが, とにかく適当な手段で近似関数列を作り, その収束を議論することになる. つまり関数列の極限を扱いやすくしたい. 積分の定義自体もここに照準を合わせて改良すると Lebesgue 積分になると思えばいい.

適当な本で Lebesgue 積分の定義を確認してほしいが, 実際に積分したい関数を (単関数の) 関数列で近似し, それの極限として積分を定義している. つまり定義そのものから関数列を導入している. 分かりづらさもまずここからはじまる.

Riemann 積分は関数それ自身とその値だけで定義できるので, 面倒がないが, Lebesgue 積分では関数列という余計な概念が出てくる.

また, Riemann 積分 (の定義) では本質的に区間しか出てこないが, Lebesgue 積分だと極限の取り方を柔軟にするため区間の極限を始めから考えておかないといけない. それが可測集合だ. ここで, 集合の演算は可算なところでおさえておかないとまた変なことが起きる, とかいう話もある. 技術面で面倒なことだけならまだいいのだが, 非可測集合など数学として本質的に問題になることも出てきてしまうため, 何となくきちんと勉強しなければいけない気にさせるあたりがまた鬱陶しい. もちろん数学科の学生ならきちんとやってほしいけれども.

まだあまり整理できていないが, そのうちもう少し膨らませて何か作ろう.