ちょっとした地獄を発見してしまったので.
10 万部売れているからというので【語りかける中学数学】を買ってきた. この本というか著者, 「 0 は自然数ではない」と言い切っていたり, 高校数学版の本ではじめのページから素数の定義を間違えていたり循環小数と有理数を明らかに別物と認識しているようだ. 著者の数学理解, 相当やばいのでは追加で少しやりとりしたのでそれも記録しておこう.
@phasetr いまもう少し進んだ箇所を読んだら一応「注:1 は素数ではない」と言う記述があった. 定義そのものにその旨書いておかないとまずいだろう. あと「小数点以下は無限小数ゆえ」みたいな「高校数学方言」どうにかならないのだろうか. この日本語本当に気持ち悪い.
@phasetr こういうのが求められているというのはとりあえず認識した. 折角買ったこともあるしきちんと読もう
@phasetr 高校数学界で暮らしていますが, その方言は聞いたことがありません (私が教科書をほぼ使わないからかも). いずれにせよ, その本はヤバそうですね.
@phasetr ただ「 0 は自然数ではない」の説明, 日本語主観の感覚 (「日本語で鉛筆が 0 本あると言いますか? 」というよくあるアレな説明) でしか説明しておらず, 明らかに認識不足. ここだけは本当に訂正を要求したい
@anbyk 「〜より」とか「〜ゆえ」と言う表現, 私が高校の頃にもよく見かけましたがずっと気持ち悪い言い回しでした. 「〜となることより」くらいなら分かりますが普通の日本語文章では (私は) 見たことがない表現, よく見ます. あと put や set の直訳の「〜とおく」, ずっと気に入らないです
@anbyk かなりやばいと思いますが, 10 万部売れているとのことで数学の本としては相当な売り上げではないでしょうか. これ, 結構怖いです. 10 万部売れているのだからマーケティングの勉強として読んでおけと言われたから買ってみたのですが
@phasetr 何か本当に怖くなってきた. 黒木さんの恐怖の片鱗を味わっていると思って本当に震えている
@phasetr スラムダンクの山王戦で晴子が「何だか怖くなってきた. 今までお兄ちゃんが積み上げてきたものが全部壊れちゃうんじゃないかって」と言いながら泣いている情景を思い出して思わず涙が頬をこぼれた
私, この参考書持ってるけどなんか読みたくなくなってきた. .あとこれ.
@anmitsu_0602 まだはじめの 10 ページ程度までしか読んでいませんが, 問題の解説自体は丁寧なようなので使いようでしょう. 適切に使うにはそれなりにしっかりした人に聞ける環境が必要などと言われたらそれまでなのですが
@phasetr 私もまだ全然読んでないんですよ! 売れてる参考書? だから買ってみたけど…ちょっと目を通してみますね
@anmitsu_0602 恋人の方がそれなりにカバーしてくれるかもしれないようなので, あまり心配しないでも良い環境だと思います. 分からなくても死ぬわけではないのでのんびり適当にやって頂ければ
えっと, 数学苦手な私からしたらこの参考書は非常に丁寧で分かりやすくて面白くて重宝しています. 多分この参考書は数学が得意な人向けではなく苦手な人向けなのだと思うのです だから, 曖昧なところをはっきりとおっしゃっているのではと考えます私も私で頑張ろう.
@sixyakutorimusi 書いた範囲でもおかしいポイントが違う事項がありますが「曖昧なところをはっきり」というのは違います. 特に素数の定義は「はっきりさせるべき所が曖昧」です. 循環小数と有理数は見かけだけが違うのを違うと言い切っている形なのではっきりと間違いです
@sixyakutorimusi 「 0 は自然数ではない」の説明にあった「日本語で鉛筆が 0 本とは言わない」は英語で「 There is a no pen.」と言う表現があり, これは正に 0 本と言う表現です. 英語では地上階 (日本語の 1 階) を 0 階 (ground floor) といいます
@sixyakutorimusi 何から何までまずいと言っているのではありません. 問題の解説は軽く見た限りでも非常に丁寧ですし, 誤答を中心に分析・解説するというのはかなり優れた方法で, 私も実際の講演や作成した教材で使っている手法です
@sixyakutorimusi 表面的な部分では恐らく非常に強力です. だからこそそれでしっかり勉強した人たちが変な部分まで身につけてしまうことを恐れています.
@sixyakutorimusi ついでなので書いておくと, 素数の定義に「 1 以外の自然数とする」というのはかなり本質的です. 「素因数分解の一意性定理」は陰に色々な所で使いますが, 1 を素数にしてしまうとそれが崩れます. もちろん工夫すればきちんと使えますが,
@phasetr さんへ 長文解説ありがとうございます! 私の理解力が足らず完全には理解できてはいないと思いますが, ひとつの参考書を鵜呑みにしたりしないよう心がけたいと思います
@sixyakutorimusi 結局それが凄く大変なので定義レベルで 1 を素数にしないのが普通です. その辺の面倒さを説明するといやがる人もいるだろうから初学者向けには適当に済ませた方がいいかもしれないというのは想像つきますが, 曖昧なので注のレベルではなくやはり明示的に書くべきです
@phasetr さんへ なるほど
@sixyakutorimusi 解説が丁寧な本が少ない (らしい) というのは間違いなく, それを埋める本当に非常に意欲的な本で素晴らしい取り組みだと心から思っています. 実際売れている分それだけ影響も強く, 明らかでしかも根本的な間違いの影響が強くなってしまうのを心配しています
@sixyakutorimusi 1 人でやる (数学は皆嫌いなようなのでおそらく 1 人でやらざるをえない) 状況ではかなり頼りになるはずです. 「それ大丈夫? 」みたいなことがあったときに本ばかり信用しないで自分の感覚の方にも信を置いて確認するようにしてください
@sixyakutorimusi 私も本を持っていますし, 何かあれば出来る範囲でお手伝い橋帯と思っています. そのときの状況によるのですぐに返せるかは分かりませんが, 質問なり何なりして頂いて構いませんので
@phasetr さんへ おかげさまでこの参考書の良い点悪い点が非常によく分かりました! これからはこの参考書をできるだけ自分のためになるように使っていきたいと思います
@phasetr さんへ わかりました!
@phasetr さんへ あ, ありがとうございます!
(ご存じだとは思いますが)
返信削除中学レベルではゼロは自然数に含めずに授業されるのが一般的で、それを前提に入試問題でも問題が作成されて採点がされています。
(大学の授業等での)専門レベルではゼロを含めるのがもはや一般的でしょうが「語りかける中学数学」中学生を対象にした書籍ですのでこの記載で問題はないと思慮します。
全くそうは思いません。
削除本文でも書いていますが、この本では「鉛筆が0本しか無いや」と(日本語で)言うか?とか
「ないものをいちいち表すことは"不自然"と感じませんか?」と
はっきり書いています。
「自然数は自然に存在するものを表す数ゆえ、0 は存在しないのです」とも書いています。
「中学レベルではゼロは自然数に含めずに授業される」とだけ書いておけばいいものを
嘘の理屈付けをしているのが大問題だといっています。
それこそご存知かと思いますが、かけ算の順序問題で
「小学校レベルでは〜」「子供の発達段階にあわせた〜」
とかいって狂っているとしか思えない、訳の分からない破滅的な
ことを言う人が本当にいます。
また、中学レベルというのは(日本の)中学校の教科書では
そう教えられているというだけのことで、
「中学レベル」の内容を教えるときに教科書準拠の
内容にする必然性はとくにありません。
それこそ「両論併記」できちんと「使い分ければいいので
どちらでもいい。この本では 0 を入れない」と書けばいいことです。
私の主眼は「嘘をいうな」ではなく
「単なる規約に対して嘘の説明・理屈付けをするな」というところです。
あと「中学生を対象にした書籍」とありますが、
これは中学数学を復習しようと言う本です。
帯にも「大人から中学生まで」と書いてありますし、
まえがきに「中学時代に出会っていれば数学嫌いにはならなかった」
という非中学生のコメントもあり、成人をも対象にしている
ことは明らかなので、その点では貴方のご指摘も嘘ですね。
そういうのは明らかによくないです。
貴方のご意見、それはそれで構いませんが、私は絶対に嫌です。
>本文でも書いていますが、この本では「鉛筆が0本しか無いや」と(日本語で)言うか?とか
返信削除>「ないものをいちいち表すことは"不自然"と感じませんか?」と
>はっきり書いています。
>「自然数は自然に存在するものを表す数ゆえ、0 は存在しないのです」とも書いています。
ゼロの概念の発見の歴史や日本語の概念からすると間違いではなく、むしろ自然な教え方だと思います。日本も古くは仏教での「数え年」であるようにゼロの概念はありませんでした。
自然数の由来と考えられる「natural number」はまさに数論の世界からのものですから由来としての説明としても「語りかける数学」の説明で全く不味くないです。
語りかける中学数学がちょっとまずそうだというご指摘は、高校世界史で習う四大文明を批判して、これを教科書通りの説明を前提にしている世界史の問題集や参考書の著者の理解がおかしいと批判しているようなもので、まさに為にする批判になっています。
数学を苦手にしている子が克服する機会の芽を摘むようなご指摘なので再度指摘しておきます。
> 数学を苦手にしている子が克服する機会の芽を摘むようなご指摘なので再度指摘しておきます。
削除日本の中学・高校レベルの規約にすぎない話であるにも関わらず,
本の中で「いい加減に理解している人」という記述があります.
世の中, 0 を自然数に含めた方が自然と感じる感じ方, 考え方,
そしてそういう人がいるにも関わらず, 「いい加減な理解」と断じるのが
【数学を苦手にしている子が克服する機会の芽を摘むようなご指摘】とは思いません.
むしろそうした自分の感覚に合わない記述への違和感から
【数学を苦手にしている子】もいるかもしれません.
あなたのご指摘をそのまま受けるなら, 逆に「0 が自然数というのが自然」と
思っている子が克服する機会の芽を摘むことになります.
上でも書いたように, 「流儀は 2 つある.
どちらでもいいがここでは教科書の記述に合わせて 0 は自然数としない」
とだけ書けばよく, 人によって感じ方が変わる「不自然さ」を
理由にする必要は全くありません.
1=0.999…と不完全性定理と掛け順強制が半可通ホイホイであることは知っていましたが、「0は自然数か?」もそうだったのですね。@phasetr さん、対応、お疲れさまです。
返信削除実際に最初の匿名コメントを投稿された方がどう思われたのかはよくわかりませんが,
削除記事タイトルだけを見るなら本を全否定しているようにも読めるので,
その辺が問題だったのだろうと思います.
私の主眼はあくまで売れている本で影響が強いからこそ
細かいところにまで気を配って書いてほしいというところですが,
タイトルは多少煽り気味になってしまったのは反省点です.
あと, この方, 多分この本で救われた人で
それに批判がついたので全否定と取られてしまった部分もあると思っています.
私も激烈に感情的な市民ですぐ視野が狭くなるので,
自分の反省点でもあります.
数学にも種類があってそのいくつも種類のある数学の中で整合性を持たせるために便宜的に0を自然数に含めたり含めなかったりする、と端的に教えたほうが説得は上手くいくかもしれません。
返信削除確かに日本語では自然には0を使わないから自然数に0を含まないなんて説明は大嘘で子供を騙すための方便ですけど、説得するのであればそれが嘘である指摘だけではなく何が本当なのかもはっきり示す必要があるのでは。
>数学にも種類があってそのいくつも種類のある数学の中で整合性を持たせるために便宜的に0を自然数に含めたり含めなかったりする、
削除>と端的に教えたほうが説得は上手くいくかもしれません。
種類とはまた違います.
「整合性を持たせるため」というのも違くて,
状況によってどちらの方が便利か, というだけです.
Twitter で MarriageTheorem さんからご指摘頂いたのですが,
「自然数」という名前もあまり適切ではないのでしょう.
正の整数, 非負整数という言い方があるので, そちらを遣った方がいいのかもしれません.
実際, $\mathbb{Z}_{> 0}$, $\mathbb{Z}_{\geq 0}$ というような記号を使うことがあります.
>確かに日本語では自然には0を使わないから自然数に0を含まないなんて説明は大嘘で子供を騙すための方便ですけど、
>説得するのであればそれが嘘である指摘だけではなく何が本当なのかもはっきり示す必要があるのでは。
これは私に対するコメントでしょうか.
それなら, 上にも書いたとおり,
- 「本当のところ」はどちらでもいい
- 状況に応じて都合のいい方を選んでいい
- ただし適当なまとまりの中では一貫して使おう
- 日本の中高の数学教育では「0 は自然数と思わない」で一貫させているので何の問題もない
としかいいようがありません.
初めまして。Twitterを利用して掛算の順序強制指導を追っかけている者です。
返信削除【「こまった! 鉛筆が 0 本しかないや」と言うでしょうか?】(p 93、引用者註:0 は赤字)のような言い方で自然数から 0 を除外することに比べれば些細なことかもしれませんが、『増補改訂版 語りかける中学数学』第3刷 (2013年3月24日)をもとに、相転移Pさんの指摘した同書の欠陥のうち2つは、すくなくとも他の箇所で緩和されていることをお伝えします。
1. 1が素数でないことを軽視していない、箇所もある
素因数分解を扱う中学3年の内容で、【実は数学で| 1 は素数でないと"定義"|されています。(p 573、引用者註:| |内は黒枠で囲われた太字。定義は赤字)】とあります。これ以外の箇所で【「注:1 は素数ではない」と言う記述があった】ことで読者に軽い印象しか残さないとしても、この強調ぶりを見れば、読者は考え直すことでしょう。
2. 循環小数と有理数を別物とは認識していない、箇所もある
【「循環小数は必ず分数で表せるので有理数である!」】(p 23、引用者註:全体が太字。有理数は赤字)と、本のかなり早い段階で明言し、p 606では実際に必ず分数になることを示しています。
【循環小数と有理数は見かけだけが違うのを違うと言い切っている】という相転移Pさんの指摘に該当する記述はまだ見ていません。よく読めば出てくるのかもしれませんが、私とは別の版を見ているような感じもするので、版とページ数をおしえてくれませんか?
「鉛筆が 0 本」はおかしい、だから 0 は自然数ではないという説明が間違っていることには同意です。これは国語レベルで論外な駄洒落に過ぎません。交番でよく見る掲示に、昨日管内で起きた交通事故は 0 件、というのがあります。この意図が理解できない人はさすがにいないでしょう。他にもいくつか駄洒落か与太話じゃないかと突っ込みたいところがあるのですが、長くなるのでTwitterで検討することにします。
ご指摘ありがとうございます.
削除>この強調ぶりを見れば, 読者は考え直すことでしょう.
よほど大変な内容というならともかく, 定義で明言しないのは
大問題で, あとで書くならはじめから定義にきちんと書け, というのが主眼です.
また, 全読者が隅から隅からきちんと読み込むわけでもなく,
読んだつもりでも読み飛ばしがどうしても出ることを考えると,
やはりはじめから正確に書いてほしいと思っています.
>【循環小数と有理数は見かけだけが違うのを違うと言い切っている】という相転移Pさんの指摘に該当する記述はまだ見ていません
本文にも書いていますが, これは『もう一度高校数学』の方の記述です.
今見たらもっとすごい記述でした.
P12 に数の世界の構造として有理数の下位に分数があり,
その下に有限小数と循環小数があります.
そこから P13 で次のような記述があります.
>ご存知のように, 線とは点の集まり.
>よって, 1 2 3 4 6 だけの数 (注: 自然数, 整数, 分数, 有限小数, 有理数)
>ではこの数直線をすべて埋め尽くすことはできず, 残りの 5 循環小数 7 無理数が
>入ることで, この数直線は完成されます.
私が【循環小数と有理数は見かけだけが違うのを違うと言い切っている】と
判断した理由はこの文章ですが, 本をよく読み返したら
この箇所, 本の記述自体がおかしいですね.
のっけから超混乱させてくるので意味がわかりません.
著者の理解は適切なのかもしれませんが, 本の記述はどう考えてもおかしいです.
時間が取れていなくてまだ読み込むどころか通して読めてもいないのですが,
既に眩暈がしていてつらいです.
なるほど、誤解していましたが、「注:1 は素数ではない」や循環小数 ∉ 有理数は『もう一度高校数学』なのですね。前者は未確認ですが、後者は本当にそうなっていますね。この本は2008年初版がそのまま増刷され続けています。まあ単純ミスかとも思いますが、読者にかなり負担をかけそうです。同じような図が『中学数学』p 92にあり、そこでは説明がばっさり削除されているので、循環小数に関する誤りもなくなっています。新しい本を書くときになって誤りに気づいたのかもしれません。
削除『中学数学』の方で 0 に関する変な話をもう一個見つけたので、関連事項として書かせてください。10のn乗である数を割ると、小数点が左にn移動することの予備的な説明として
[1]と[1.0]は数の意味がまったく違うんですが、ここでは気にせず、
1 = 1.0
と考えますね
とあります(p 37)。新しい本にも目眩の要因がけっこうあるんです。「式の意味」につづいて「数の意味」も要注意ワードとして認定しなければならないと思いました。
あっ つらい
削除本題と関係ない話で恐縮なのですが相転移Pさんがputやsetの意味でどういう日本語を使われているのか気になるのでよろしければ教えてください。「とおく」以外だと私は「とする」くらいしか思いつかないのですがその辺でしょうか。
返信削除put や set、訳としては「とする」がいいです。「とおく」という日本語、数学の put や set の直訳以外で見たこと無くて、単純に何か気持ち悪いと言うアレです。
削除全くもって本質的なことではないのですが、何か無性に気持ち悪いので。
なるほど、ありがとうございます。あんまり気にせず使っていましたが、確かに指摘されてみると気持ち悪い気がしますね。「簡単のため」とかは気持ち悪いので使わないようにしていたのですが。
削除確かに【簡単のため】も気持ち悪いですね。今後はそれも意識していきます。ありがとうございます。
削除