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2014年6月2日月曜日

kyon_math さん筋の情報:齋藤毅先生の Grothendieck に関する PDF

みんな大好き kyon_math さんからの情報だ.



「エタール・コホモロジーの定義への道を開いたのは, セールによる,
代数幾何におけるファイバー束の定義だったらしい」.
グロタンディーク by 斎藤毅
http://bit.ly/1i7eA2P


前もこの PDF を読んだことがあるのを思い出した.
細かいところ, ほとんど意味がわからないが,
代数幾何でいろいろ凄まじいことが起こったという雑な理解をしている.
代数幾何, 応用含めた守備範囲が尋常ではないくらい広いし,
その空間認識が何より非常に気になるのできちんと勉強してみたいとはずっと思っている.

2014年5月27日火曜日

単位的環とその部分群に関する命題の (反) 例を作ろう

やりとりが面白かったので.



去年の環論の演習で「単位的環 \(R\) とその加法についての部分群 \(S\) で,
\(S\) が \(R\) の乗法で閉じていて単位的環となるが \(R\) と \(S\) の単位元が異なる例を挙げよ」という
問題を考えて少し悦に入っていたが零環でない環 \(R\) と \(S=\{0\}\) をとれば明らかだった.


(昔, \(R \to R \times R\), \(x \mapsto (x, 0)\) について \(\mathrm{Spec} \, (R \times R) \to \mathrm{Spec} \, R\) を
とってしまうような間違いを 1 時間くらいしていて悩んだことがあったので……)


@nolimbre 2 次正方行列の環 \(R\) と, \((1, 1)\) 成分以外 0 な部分加群 \(S\) とか.


@nolimbre 「単位的環においては単位元と零元は異なるものとする」と
断ってあるのをなんかの教科書で見たような気がします.


@kyon_math @nolimbre そういう流儀もあると思いますが,
零環を許さないと, 空集合が affine scheme で無くなってしまう気もするのです.


@atomotheart @nolimbre いや, 単に「呼び方の便宜上の話」だと思います.
「本書では環と言えば単位的な可換環のことをさす」とか,
その手の類いで, 定義として採用しているわけではない.
#誤解を招くつぶやきだった


@kyon_math @atomotheart 零環を排除すれば一見楽に見えますが, 終対象なので, ないといろいろ不便ですよね.
(テンソル積が一般にとれなくなる, それに伴ってスキームのファイバー積がとれなくなるなど)
僕は以前零環を軽視していて総ツッコミを受けました


@iwaokimura そういうのもありますね.
(あまり関係ないですが, 初めて代数群の定義を見たとき「なるほど, 体を加法群とみたものなんかは代数群ではないんだな」と思ってしまいました).


@nolimbre @atomotheart 私が勤めはじめた頃,
かなりお年を召した代数学の教授が 「零次元のベクトル空間なんて, そんなものありゃあせん」と主張して,
困ったことを思い出しました.
#いまは何もかも懐かしい


@kyon_math @atomotheart そ, それは過激ですね…… ww


名前しか知らないが, 代数群恐るべし.

2014年5月9日金曜日

第 2 可算公理を満たさない多様体の例を教えて頂いたので

呟いたら教えて頂いたので.



パラコンパクトでない多様体の例とか第2加算公理を満たさない多様体の例とか知りたい


@phasetr http://www.ams.org/journals/proc/1953-004-03/S0002-9939-1953-0058293-X/S0002-9939-1953-0058293-X.pdf


@eszett66 代数幾何恐るべし


代数幾何のかなりシンプルな構成で第 2 可算公理を満たさない例が作れるというの,
かなりリアルに戦慄した.
代数幾何, もうすこしきちんと勉強した方がいい感ある.
 
あと今回の例に限らず, ちょっとした例を例の本に入れてためていく.
https://github.com/phasetr/math-textbook
今回のももちろん文献と共に突っ込んでおいた.
いろいろな例を充実させるというの, 前からやりたかったことなので
今回のように教えて頂けるととても助かる.
実にありがたい.

2014年4月10日木曜日

魔人 Milnor

Milnor 強い.



衝撃 http://pic.twitter.com/e0ax6A6g0a


@waheyhey この本, 何という本でしょうか


@phasetr 一次元代数的特異点とディンキン図形という本だったと思います.
難しい基礎付けをせずに初等的に特異点の紹介をしているので, 某サークルの発表の参考にしようかと.


本はこれか.

2014年3月4日火曜日

ちょまどさんが出した乱数の数理ネタをひさこさんに教えてもらおう

美少女のちょまどさんが何やら呟いていたので.
http://chomado.ciao.jp/blog/programming/randomseed/ 初学者丸出しで恥ずかしいけど日記を書きました
@chomado 線形合同法とか疑似乱数を生成する方法とかで関数とか作ってみると入れる値の必要性が良く分るのかにゃ?
@emaxser ! なんだか高度そうな話ですね
@chomado ぜんぜん, 普通に作れちゃうので作っちゃえば良いと思います!w
@emaxser 「擬似乱数を生成する方法で関数を作る」とは, つまり rand () のようなものを自作する, ということですか?
@chomado そうそう, 線形合同法って漸化式一個だけだから簡単に関数作くれるお
@emaxser 調べてみます…ありがとうございます!
@chomado 詳しい人に聞いてみてもらいたいのですが, 「熱雑音」を利用した現実的な乱数生成法とかいうのもあるようです http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%86%B1%E9%9B%91%E9%9F%B3
@chomado また疑似乱数生成アルゴリズムとしてメルセンヌツイスターというのがあります http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%A1%E3%83%AB%E3%82%BB%E3%83%B3%E3%83%8C%E3%83%BB%E3%83%84%E3%82%A4%E3%82%B9%E3%82%BF これにはそこそこ大変な数学を使っていますがひさこさんに聞けばきっと教えてくれるはず
@phasetr !! さすが数学にお詳しい…! ありがとうございます!
@chomado 「数学が何の役に立つ」と言われるのが本当に頭に来るので色々な役に立つ場面を調べてきたと言うアレです. 以前受験生にページランクの話をしたら「私は Google のページなんて使わない」と恐ろしく愚かな返事をもらって「あっこんなの調べても意味なかったのか」と気づきました
@phasetr かなしみ
@ka9e これが社会です
@chomado 逆に, seed を保存しとけば, 何度も同じ乱数を得られますね. また, seed がバレたら, 乱数じゃんけん必勝プログラムを作られる可能性もあります.
@dempacat !! たしかに! それはとても興味深いです!! ありがとうございます!
ひさこさんにぶっこんでおいたので後でメルセンヌ・ツイスター教えてもらおう.

2014年1月11日土曜日

特異点解消についてちょっとやりとりしたので

特異点解消関係の話が出ていて廣中先生のことを思い出したので.
特異点解消とかってどういうモチベーションでやってんだろ. 全然知らないけど.
@Maleic1618 私が知る限りでは, 特異点には大事な情報がたくさんあるものの, 特異点はその名の通り特異性があって扱いづらいので扱いやすくするためにやる処理が特異点解消です. 例えば筆跡鑑定で大事になるのは尖った所だったりするようですが, そういう所をきちんと調べる的な
@Maleic1618 ちなみに筆跡鑑定の話は実際に廣中先生の話で例として出てきました
@phasetr なるほどです. その話は関数論の方とも関係があるのでしょうか? 多変数の関数論では極や不定点が孤立しなくて 1 変数と同じ議論が出来ないので, 特異点を扱う話とつながるのかなと勝手に想像しているのですが.
@Maleic1618 私も私で専門外もいいところなので専門の人にあとできちんと確認した方が良いとは思いますが, 関数論は複素係数の代数幾何は含むはずで, 解析空間関係の話で処理するのだとおもいます
@Maleic1618 廣中先生自身, 解析空間の本を書いていますし http://www.amazon.co.jp/dp/4254111347 大雑把に言って「特異点を含む複素多様体」が解析空間だったはずなので, 当然色々関係する話があるだろうと
@phasetr なるほどです. 近いうちに図書館でのぞいてみますね. ご丁寧にありがとうございます.
修士修了近くに廣中先生の話を聞く機会があって, そのときたまたまもう一人筑波かどこかの大学の方が, 「自分はこれから博士を出て数学とは関係ない仕事につく. それでも研究は続けたいのだが出来るだろうか」みたいなことを質問していた. そのときに「研究? 続けたらいいじゃないか」と廣中先生が超気楽に笑顔で言っていたので, それなら自分も続けてみるか, と私も超お気楽に思ったことを思い出した.

あとそのときに廣中先生からサインもらった.

2013年12月21日土曜日

Euler の公式と関数論: 1 変数関数論と多変数関数論の深い溝の狭間で

こんな会話をしたのでメモ代わりも込めて記録しておく.
TLがおおかみこどもだけでなんかつまんね
@1112345678999 そんなときこそ数学
@phasetr あまり詳しくないので大きな声で言えませんが、オイラーの公式は三角指数が絶妙に組合わさっているこの世で一番綺麗な数式だと思ってます
@1112345678999 オイラーはむしろ、指数関数を複素領域にまで拡張する時のキーである一致の定理の破壊力に思いを馳せます。 また、一変数での一致の定理は集積点を含む集合上の一致だけみればいいのですが、これは多変数では成立しないので一変数と多変数の差異も際立つ深い定理です
@phasetr (理系学院生なのにピンとこないヤバイ……)
@1112345678999 この間で早稲田で数学科学生向けに関数論セミナーをしたときからずっと書こうと思っていた話なので後でブログにまとめます。 そしてDVDにもする予定がある方の市民
まず 1 変数の一致の定理を書いておこう.
一致の定理 (1 変数)
\(U \subset \mathbb{C}\) を領域とする. 関数 \(f, g \colon U \to \mathbb{C}\) が正則で \(C \subset U\) が \(U\) の中に集積点を持つとする. このとき \(C\) 上で \(f = g\) なら \(U\) 上で \(f=g\) となる.
この定理は次の 1 変数関数の零点の振る舞いによっている.
定理 (1 変数での零点の孤立性)
関数 \(f \colon U \to \mathbb{C}\) が正則で恒等的には 0 でないとする. このとき \(f\) の零点は孤立している.
1 変数での一致の定理の証明は次の通り.
\(h = f - g\) を定義したとき, \(h\) はもちろん正則だが \(C\) 上 \(h = 0\) となるが, \(C\) は \(U\) 内に集積点を持つため零点は孤立しない. したがって \(U\) 上全体で \(h = 0\) となる必要がある.
孤立性さえ認めるなら証明は簡単だが, 当然零点の孤立性に強く依存している.
これが多変数でどうなるか. 次のように変わるのだ.
定理 (多変数. 零点集合の性質. )
\(n \geq 2\) とし, \(U \subset \mathbb{C}^n\) を領域とする. 関数 \(f \colon U \to \mathbb{C}\) が正則なとき, \(U\) のある開部分集合上 \(C\) で \(f\) が恒等的に 0 になるなら, \(f\) は \(U\) 内で恒等的に 0 になる.
1 変数のときは \(C\) が閉集合でも良かったのだが, 多変数では開集合に限定される. これがポイントで, 一致の定理の \(C\) の条件として決定的に効いてくる.

1 変数のとき, 閉集合でもいいというのは決定的に大事だ. 上にも書いたとおり, 閉集合上での一致さえ言えればいいのだが, 複素平面の中で実数全体は閉集合にはなるが開集合にはならないことに注意しよう. 実数上での一致から全体の一致が結論でき, これが指数関数の複素拡張の一意性を生み出す. これが Euler の公式に正当性を持たせる根拠になっている.

また, 多変数の場合は多変数の場合で開集合に限定した一致の定理というか, 零点の振る舞いが決定的だ. セミナーのとき, ヘイヘイにも問題を出し (て即答が得られ) たのだが, 閉集合上で \(f=g\) になったとしても全体で \(f \neq g\) という例が簡単に作れる. これは (1 変数のときの) 一致の定理の証明からも反例が作れるし, もっと大事なこととして代数幾何から反例が作れる. だからこそヘイヘイに問題を出したのだが.

もっと強くいうと, 代数幾何から反例が作れるというより, 代数幾何学の成立そのものが反例となっているといっていい. (Affine) 代数多様体は複数の多項式の共通零点として定義されるが, 多項式は連続で零点集合なので, 代数多様体は (\(\mathbb{C}^n\) の Euclid 位相で) 閉になる. このとき, 多変数でも 1 変数のときと同じく閉集合上の一致で全体が一致を導いてしまったら, 上述の定義多項式は全て 0 にならねばならず, 代数多様体が \(\mathbb{C}^n\) 全体にしかなりえない. 当然こんなことは起きない.

1 変数と多変数の関数論の決定的な違いになっているし, 1 変数の時の特殊事情はそれはそれで圧倒的な結果を生み出す. こうした背景があるからこその Euler であり, ただ式だけ見て美しいというのはそれはそれで構わないが, 私の興味関心はそこで終わらないしここまで詳しく喋らせろ, という話になるが, これはこれで鬱陶しいと思われるから Euler は原義マスハラである, という主張をしているという話だった.
日付: 2013-12-21T09:28+0900

2013年12月7日土曜日

Cox, Hyde の『THE GALOIS THEORY OF THE LEMNISCATE』

誰が話していたのか忘れたが, Cox, Hyde の『THE GALOIS THEORY OF THE LEMNISCATE』という論文が出ていたのでメモしておく.
Abstract を引用しておく.
This article studies the Galois groups that arise from division points of the lemniscate. We compute these Galois groups two ways: first, by class field theory, and second, by proving the irreducibility of lemnatomic polynomials, which are analogs of cyclotomic polynomials. We also discuss Abel's theorem on the lemniscate and explain how lemnatomic polynomials relate to Chebyshev polynomials.
題名にある通りの Galois 理論は当然として, 類体論との関係とかも色々あるようなので面白そう. Cox は結構有名な (和訳もある) 代数幾何の入門書を書いている人で, 共形場とかもやっている人だったという記憶. 前, 符号理論と代数幾何の動画を作ったとき, 代数幾何自体にはほぼ触れなかったが, さすがに勉強しないとまずいと思って, Cox らによる代数幾何の本を買って一応一通り眺めた. 全く身についていないが, いくつかあった誤植を報告した. 誤植を報告すると, それが新たに見つかった誤植の場合, 1 箇所 1 ドルくれるとか何とかいう話があって, それでいくらか送ってもらった覚えがある.
ちなみに, 特に自分が専門とするところの本なら, 一生懸命読んで誤植を報告したりすると, 名前とか覚えてもられる可能性が高い. 色々な研究者と仲良くなっていて損なことはないと思うので, 興味のあるところなら特にその辺を意識してやってみるといいかもしれない. 私の場合, 新井先生の本の誤植をたくさん指摘して興味があるという姿勢を示しておいたので, 修士くらいで研究に関して聞きたいことなどあったとき, (メールで) 色々相談に乗ってもらえたりした. 最近特に, 教官は研究と関係ない雑務で無駄に忙しいのであまり無茶なことを期待するのはアレだが, やっておくといいことがないでもないので, 興味がある向きはそういうのも考えてみよう.

2013年9月4日水曜日

加藤文元さんの Foundations of Rigid Geometry Vol.I が arXiv で出たので

加藤文元さんがご自身の Foundations of Rigid Geometry を宣伝していた.
『 Foundations of Rigid Geometry 』 (Vol. I) がついに arXiv からリリースされました. ここまで来るのに 10 年かかりました.http://arxiv.org/abs/1308.4734
今の代数幾何…数論界隈で 10 年もかかったら基礎の部分から大きく書き直しが発生したことも何度かあるだろうし, 凄まじい. さらに Vol. I というのがやばい. これ, あと何巻続く予定なのだろう.

2013年8月19日月曜日

満渊俊樹先生の『Kahler-Einstein 幾何の問題; Donaldson-Tian-Yau の予想の解決に向けて』という PDF が流れてきたので

Twitter で 満渊俊樹先生の Kahler-Einstein 幾何の問題; Donaldson-Tian-Yau の予想の解決に向けて という PDF が流れてきた. Kahler 幾何はスーパー格好いいと思っているのでとりあえず読んだ. 意味は良く分からない.

我らが小林昭七先生も深く関与している Kobayashi-Hitchin 対応, コンパクト Kahler というかなり限定された状況の話だろうにいまだによく分かっていない部分があるというの, かなり凄まじいと思う.

Ricci 曲率が正の場合の Calabi 予想が未解決というのも結構凄い. もちろん詳しいことは全く知らないのだが, 非負のところが比較的簡単 (解決済み) なのに正ができていないというの, どこが難しいのだろう.

Donaldson-Tian-Yau 予想, (偏極) 代数多様体なのに幾何解析系の人間の名前がついているというの, 代数幾何の闇を感じる.

幾何を全然知らないので何でも格好よく見えた, という感想を抱いて今回の記事を終える.

2013年8月9日金曜日

加藤和也, 『$p$ 進 Hodge 理論とゼータの値』

我らが加藤先生の PDF があった ので共有しておきたい. 『\(p\) 進 Hodge 理論とゼータの値』と題された文章だ. 手書きで味わい深い.

1 章 城崎と宇宙

1 章がいきなり「城崎と宇宙」となっていて攻撃力高い.
P.1
仏教の法のことは全く理解していない筆者であるが, \(p\) 進 Hodge 理論のような数学の深い法もまた, この温泉寺の大気の中に, 千年も億年もきらきらまじり入って, 人間や生物の生活とともにあったにちがいない.
このあとにも破壊力の高い文言が並ぶ. 是非読んでみてほしい.
P.1-2
筆者は 1 において, 鶴の恩返しの鶴の思いが, 宇宙の期限を考える鍵であることを書いた. そこには, 鶴女房のみならず, 蛇女房や雪女もあらわれたのであった. (その後こぶとりじいさんまであらわれた時は筆者もさすがにうろたえたが, こぶとりじいさんについてはまだ論ずるに至っていない. ) それらを書きながら, 当時の筆者は自分でもちょっとついてゆけないものを感じたが, 今はちゃんとついてゆけるし, 実に自然なことのように思える.
もうどうしたらいいのか分からない. 上記引用後も実に味わい深い一文があるのだが, 書き写すのが面倒なため省略する.
P.2
筆者は狂ってしまったのであろうか. いまだ狂い足らざることを恥ずるのみである.
15 ページある中の 2 ページ真ん中あたりなのだが, もう全文引用したい気分にかられる. Fontaine が「グルノーブルの狂人」と言われていたらしいことを知る夏だった.
最近, 息子とディズニー映画「美女と野獣」を見た. この漫画映画を「原作の味をそこなった」と嫌うかたもおられるけれども, 私はすばらしいと思う理由は, 主人公の娘さんもその父親もいかれていて, 映画はそれを力強く支持していることである.
城崎がどこにいったのかよく分からないし大宇宙を感じた.

2 章 \(p\) 進 Hodge 理論とゼータの値

P.3
数論は, ある数が有理数か無理数か, ある素数で割り切れるかどうか, とか, 非常に微妙な話をとうとぶのであるが, \(p\) 進 Hodge 理論の方は, 代数多様体なら何でも持ってこいという, 細かい所は気にしない性格である.
だそうだ.

3 章 宇宙は心?

タイトルからしてパンチ力が高すぎてすごい.
複素関数として定義されるゼータにとって, 大変苦手な, \(p\) 進 Hodge の山道を, ゼータは与ひょうに会うために切ない思いをもって, 必ず越えてくる. (鶴が娘に姿を変えたように) \(K_2\) の中の「ゼータの化身」に姿を変えて.
ゼータに心を感ずるのは, 単に我々の心を投影しているだけだという人もあるかもしれないが, 実は逆に我々の心が, ゼータの心の投影かもしれないことはいうまでもない.
いうまでもなかった.
上野健爾さんに, 「宇宙は物質だから…」と筆者が話しかけたとき, 「宇宙は物質ですか?」と疑問を投げかけられてしまったことがあった. 上野さんのお考えは, 筆者ごときの推しはかれるところではないが, すると宇宙は「心」なのであろうか.
数学を学ぶとこんなに論理的になれるので, 論理力の涵養に役立つ.
P.5
宇宙 = 心 = ゼータ
なのであろうか.
中略
………… = モスラ
とさっきの等式は続くのであろうか.
ちょっともう全文引用になってしまって色々とアレなのだが, とにかく胸を打つ言葉, 文章が並び続ける.

4 章 ワープ航法の発見

各位は P.7 のワープ航法の図を見ておくように. もう記録しながら読むような精神状態にないゆえ.
P.7
この, 複素平面の中を通っていかない \(s=0\) から \(s=1\) への移動こそは, explicit reciprocity law によるワープ航法であり, 千年のうちには宇宙旅行に実用化されるように思える.
宇宙工学を学んでおくべきだったと悔やまれてならない.

引用文献にモスラの歌がある文献をはじめて見た.

最後に童話が引用されて終わる.
少し余白があるので, 小学校 1 年の息子の国語の教科書にある, 感銘を受けた童話のあらすじを紹介する. (松谷みよ子作. )
中略
(原文はとても美しい. 昔の国語の教科書には, こんな良い話はのってなかったような気がする. )


これが数学だった.

2013年8月1日木曜日

講談社が大栗博司さんの新刊『超弦理論入門』のモニターを募集しているのでここでも宣伝しておく

時間的にかなり厳しくなっているが, 大栗さんがまた本を出すようでそのモニターを募集している.
8月20日にブルーバックスから『超弦理論入門』を出版することになりました。 これに先立ち、講談社では読者モニターを募集しているそうです。 募集締め切りは日本時間で今週の8月2日正午で、感想文の締め切りは8月18日だそうです。 https://eq.kds.jp/bookclub/3526/
とりあえず私も応募してきた. 大栗さん, 村山さんが最近頑張っているので, 超弦周りは色々本があるが, 物性周りで何かこういう動きないだろうか. 数学でももっとやってほしい.

例えば秋月康夫の『輓近代数学の展望』などがある.



古い本だが, 一般向け書籍なのに付値論やら調和積分やらで全力で殴りかかってくる. こういう無茶をしてほしい.

無茶してもある程度売れることを示すべく, 私も動画などでどんどん実績作りしていきたい. 早く色々動かないと.

2013年5月5日日曜日

応用数学だとか数理工学だとかの何かアレ


経済とか物理について Twitter で これ とか これ みたいな呟きしていたら, こんなツイート を見つけた.
数学から工学に移ったときは都落ちしたような悲哀を少し感じていたものですが 「工学の問題にどうやって数学を使うか」という問題はやってみると中々面白いです。 ノイズ、精度、計算コストの制約があるので単に数学的に解けば良いわけでもない。 そういう事がわからず、最初はかなり空回りしました。
前にも書いたが, 応用数学というべきか数理工学というべきか, 工学での数学というべきかよく分からないが, つどいあたりでこの辺, 紹介してみたいと思っている. 参考にしたいのはこの辺.

  
あと Google のページランクや符号理論の話とかしてもいいのか, とふと思った. 興味がある向きはページランクは これ とか, 符号理論は これ とか参考にしてほしい. 次のような本もある.

 
折角だしこの辺もどこかで話そう. 動画も改めて作りたい.

2013年2月3日日曜日

「使う定理は全て証明する」という数学徒の主張について思ったことをつらつらと


時々「自分が研究で使う定理は全て証明する.そうしないと怖くて使えない.」という人がいるようだ. それはそれで素晴らしいことだが,例えば強く分野に依存することではないかという気がしたので, 思ったことをメモしておきたい.

私の周辺の解析学はかなり上記の行動は徹底できると思うが, 例えば代数幾何などはどうだろう. 気になったのは特異点解消定理の扱いだ. ここによると廣中先生の原論文は 400 ページあるようだ. 今では証明が改良されてもっとすっきりしているかもしれないが,その辺りは分からない.

具体的な多様体に対して具体的な特異点解消を考える上では, むしろ上記定理によらずにきちんと構成した方が便利だろうから その意味で特異点解消定理のお世話にならずとも済むだろうが, 一般論を展開するときはどうしてもお世話にならざるをえないだろう. そういうときにきちんと証明を追いかけるのだろうか.

より極端なケースは未証明の予想の成立を仮定して議論する場合だ. 谷山-志村予想(Wiles の定理)は志村が虚数乗法を持つときに予想が正しいことを 証明して予想の正しさをある程度確立したあと,どんどん数論界隈では 信頼性が高まっていったようだが,完全に証明されていない状態でそれ仮定した場合を問題にしている. 最初に挙げたケースは「証明されている命題は自分でもきちんと証明を確認する」という 話だが,この場合はやはり絶対に使わないのだろうか. もちろんそういうスタンスはありうるし,もっといえば 谷山-志村予想を正しいと思っていても証明されるまで自分の仕事には使わないというスタンスもありうる.

全くまとまらないまま今回はここで終えるが,まあ色々あるということでご勘弁頂きたい.