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2014年8月1日金曜日

『幾何学と代数系』金谷健一(森北出版): 書泉グランデMATHが面白そうな本を紹介していたので

書泉グランデMATH, 面白そうな本をたくさんツイートしてくるのでつらい.

2014年5月10日土曜日

久徳先生と f_hiroki さんに一般相対論についていろいろ教えてもらったので

久徳先生と f_hiroki さんにいろいろ教えてもらったのでメモ.



@life_wont_wait 手元に Dirac と Pauli の本はあるのですが,
もう少し突っ込んだ + 現代的な内容の一般相対論の本がないかと探しています.
佐藤-小玉あたりが適切でしょうか


@phasetr 質問が漠然としていてよくわかりませんが,
どのくらいの期間でどういう方面の勉強 (あるいは研究) をする想定でしょうか?
佐藤小玉は絶版なので入手に苦労するかもしれません.
現代的といってすぐ想像されるのは Wald ですが, それでも 30 年前の本ではあります.
電話帳もアリです


@life_wont_wait 数学科,
幾何の人相手一般相対論のセミナーをしようという話になっていて, そのための復習用です.
その本を皆で読むというより, まずはポイント絞って紹介する感じで, そのための私の復習用です.
私個人で数ヶ月かけてのんびりやる感じで


@phasetr @life_wont_wait Schutz とか幾何学的だと思いましたが, どうでしょう?


@hiroki_f @phasetr Schutz の一般相対性理論は読んだことないんですよね.
とっつきやすいとは聞きます


@phasetr 本格的なものでいいなら,
ポイントを絞るのにまず Wald や Schutz (未読・和訳あり) など幅広く扱っているものを眺めてみるのはどうでしょう.
他に Gravitation は和訳があってとても幅広いです.
先日は Birrell-Davies も悪くないという話がありました


@life_wont_wait @phasetr Ashtekar 形式 とかどうですかね?
詳しい仕事はしらないのですが.


@hiroki_f @phasetr 拘束条件が扱いやすくなるので量子論を展開する時には便利だというのは聞きます.
いわゆるループ量子重力の方向だと思います.
なので相転移 P の興味には合うかも.
古典論の範疇ですごく役に立つという話は聞いたことがないので僕はほとんど勉強していません


@life_wont_wait @hiroki_f ありがとうございます.
昨日ググっていたらシュッツが落ちていたので, 今ちょうど眺めていたところでした.
一旦上げて頂いたのを一通り眺めてみます


@phasetr @life_wont_wait p6 から p8 にかけて相対論の教科書の紹介があります.
http://www.is.oit.ac.jp/~shinkai/Viewgraphs/090729\_summerschool.pdf


最後の PDF を見て, Landau も持っているのを思い出した.
買うだけ買ってまともに読んだことなかったので, いろいろな復習のついでにこれも読もう.


あとこれも.



相対論での時間発展という概念がいまだに全くわからない.
あくまでも一旦フレーム (?) を固定した上で考えるのだろうか


@phasetr 特別な時空の上で考えるか, 何らかの観測者に沿った方向に見るか,
陽に時間を入れるか, 場合によって色々使える手はあると思います.
どういう意味で使うのかはっきりさせるのが大事なんでしょう


@life_wont_wait そういう観点をはじめからいれてやるんですね.
時間と言うか発展させるパラメータはいつも外から入れるので,
単純にその辺の考え方そのものに慣れていない方の市民

2014年5月9日金曜日

第 2 可算公理を満たさない多様体の例を教えて頂いたので

呟いたら教えて頂いたので.



パラコンパクトでない多様体の例とか第2加算公理を満たさない多様体の例とか知りたい


@phasetr http://www.ams.org/journals/proc/1953-004-03/S0002-9939-1953-0058293-X/S0002-9939-1953-0058293-X.pdf


@eszett66 代数幾何恐るべし


代数幾何のかなりシンプルな構成で第 2 可算公理を満たさない例が作れるというの,
かなりリアルに戦慄した.
代数幾何, もうすこしきちんと勉強した方がいい感ある.
 
あと今回の例に限らず, ちょっとした例を例の本に入れてためていく.
https://github.com/phasetr/math-textbook
今回のももちろん文献と共に突っ込んでおいた.
いろいろな例を充実させるというの, 前からやりたかったことなので
今回のように教えて頂けるととても助かる.
実にありがたい.

2014年4月30日水曜日

単連結と連結について間抜けなことを呟いていたらいろいろ教えて頂いたので

間抜けなことを呟いていたらいろいろ教えて頂いた.



幾何弱者過ぎて連結だが単連結でない例がすぐ思いつけなかった


@phasetr 単連結なら連結とか言える? すぐに分からないとか弱者過ぎて死にたい


@phasetr ちょっと何か勉強すると基礎部分がザルなことが即分かり涙を禁じ得ない


@phasetr 単連結の定義ご存じですか?


@eszett66 「基本群が自明」


@phasetr http://en.wikipedia.org/wiki/Simply\_connected\_space
曲面だと単連結と「連結でかつ種数 0 」が同値だから, やはり一般で反例つくれるはずだ


@phasetr 基本群っていうのは基点を決めないといけないんですけど,
あなたの定義では基点はどこに取ってるんですか? もしかして「各弧状連結成分の \(\pi_1\) が自明」の間違いですか?


@eszett66 その辺を雑に考えて混乱していますね.
ありがとうございます.
今読んでいる本, はじめから空間が連結であることを仮定していて, その上での定義をしていてその辺も見落としていました


@phasetr だと思いました. 「基本群が自明」というのはフレーズとしては覚えやすいんですが, そればっかりだと危ないですね.


慣れない分野ほど, 定義はきちんと一句一語のレベルで確認しなければいけないという教訓を得た.
ちなみに, 鍵アカウントの方から次のような情報を頂いた.



単連結であって連結でない例として \(S^2\) を二つ並べた集合がある.


通常の幾何学の分野では単連結の定義に連結を仮定するが,
Lie 群界隈では \(O (n)\) のような非連結な対象にも普遍被覆を考えるので,
単連結の定義から連結を外すことが多い.
どちらの場合でも 1-連結と言えば連結かつ単連結を指す.


非常に助かる.

2014年4月8日火曜日

書泉グランデMATH, 【『解析力学講義』齋藤 利弥著】とか面白そうな本を推薦しまくってくるのでつらい

書泉グランデ MATH, 面白そうな本をがんがん宣伝してくるのでつらい.



復刊入荷しました 『解析力学講義』齋藤 利弥著 4000 円外税 (日本評論社)
名著『解析力学入門』を全面的に改め,
書き下した本書は, 数学的側面に力点がおかれた力学の解説書である.
類書では, あまり扱っていない"制限三体問題""ポアンカレの定理"などを懇切ていねいに解き明かす.


これほしい.
制限三体問題と Poincare, 一度きちんと勉強してみたい.

2014年2月25日火曜日

軍服イメージのワンピースと サーストン の幾何化予想とパリコレと

軍服イメージのワンピースなるものがあるらしい.
軍服イメージのワンピースほんとに可愛いなぁ♡ 欲しい http://pic.twitter.com/ZxPlOj9GQ4
@felisi28 これは どこのブランドですか? とってもかわいいですね
@57mainichi 可愛いですよね
@felisi28 なぜ haco のものと仰っているかは分かりませんが, 全く別のブランドの商品です. 画像もこちらのものですよね? http://yaplog.jp/f\_l\_a\_s\_c\_o/archive/687
@felisi28 まだ買えるもの なんですかね? 探してみます♪ ありがとうございました
@veck228 EXCENTRIQUE のものですね! ご指摘ありがとうございました
@felisi28 こちらこそきつい言い方をして申し訳ありませんでした. エクサントリークもハコも好きなので, ツイートを見て混乱してしまいました. 訂正いただきありがとうございました.
@veck228 ありがとうございます エクサントリークのファンの方にはとても失礼なことをしました… 私も haco.が好きで, 以前見たワンピースに似ていた物があったので勘違いしていたんです
幾何化予想とパリコレというのもあるし, 何かこういうのほしい.
イッセイ・ミヤケの 2010 秋冬パリコレのこと その 2
さて, N スペのポアンカレ予想の番組は広く一般に好評を得たようですが, その中で「サーストンの提唱した 8 つの宇宙の形」という話があります.
数学のほうからざっくり言うと, 3 次元幾何学には 8 種類あって, 3 次元多様体はそれらの合体したものになっている・・・というのがサーストンの幾何化予想なわけです. 幾何化予想はペリルマンによって証明されました. ポアンカレ予想は幾何化予想の簡単な系として得られます.
こういう話をテーマとしてファッション (デザイン) に盛り込ませて, 次回のコレクションをやってみたい, という壮大な計画です.
藤原さんは, 僕のところに来る前に, サーストンに会いにアメリカまで行って, また小島定吉先生 (東工大) のワークショップをやっていたとのことでした. いうまでもなくお二人とも双曲幾何, 3 次元幾何の世界的数学者です. サーストンからはみかんを剥いた皮の形や銀杏の葉っぱの形から (2 次元の) 幾何学 (等質な曲面) が得られることを聞いてきたということでした. 小島先生からは双曲タイリングで作る閉曲面を布のパッチで作るスタディ (=ためしに造形してみること) をやったそうです.

2014年2月10日月曜日

John Ludvig Pirl, The Momentum Map, Symplectic Reduction and an Introduction to Brownian Motion

全く分からないが kyon_math さんが宣伝していたので.
風呂から上がって調べてみるとこんな修士論文が... http://bit.ly/1f6o369 これ, 始めの 30 ページほどでシンプレクティックリダクションの解説を証明付きでやってくれてるのでお勧めです. 丁寧に書いてあるし, good job.
この修論, タイトルが「The Momentum Map, Symplectic Reduction and an Introduction to Brownian Motion」とかで凄い. 中身, はじめが Lie 群で最後が Brown 運動になっていて, 「the foundations for later work in Geometric Stochastic Mechanics」を目指しているらしい. Geometric Stochastic Mechanics とは何だろう. 量子力学関係で E. Nelson が言い出して色々とアレで廃れた Stochastic Mechanics というのがあるのは知っているが, その辺の話か. 実に謎い.

2014年1月21日火曜日

Can one hear the shape of a drum?

yuki_migo さんをメインの対象とした実解析関係のセミナーの内容を作っているが, その中で関連する数学の紹介として Marc Kac の有名な【Can one hear the shape of a drum?】を出す予定だ. 折角なので原論文をきちんと読んでみようと思い立ち実行に移した方の市民だった. ここに論文が置いてあった のでそこから取った. まずいのではないかと思うのだが大丈夫なのか.
P.3 Of special interest (both to the mathematician and to the musician) are solutions of the form \begin{align} F(\vec{\rho}; t) = U(\vec{\rho}) e^{i \omega t}, \end{align} for, being harmonic in time, they represent the pure tones the membrane is capable of producing.
単音 (と呼んでいいのか?), 音楽にとっても重要というの, 面白かった. 言われてみればそうなのか.
P.3 終わりから P.4 冒頭部で, 有名な「Laplacian のスペクトルから領域の Euclid 幾何的合同性が証明できるか」という問題が提出される. 元々 10 年程度前に Bochner が言い出した問題らしい. そして Bers が次のように言ったという.
"You mean, if you had perfect pitch could you find the shape of a drum."
Laplacian のスペクトルに領域の情報が埋まっているというの, 応用上 (?) はそれなりに分かる話と言ってもいいのかもしれないが, 数学的には結構衝撃的な印象ある: 少なくとも初めて聞いたときの私には. そして今でも新鮮な驚きがある.
P.4 で Milnor の結果, 「Laplacian が全く同じ固有値を持つにも関わらず合同でない 2 つの 6 次元トーラスの構成」を引用している. Milnor も無茶やるな, という感覚がある.
P.4 Section 4 で物理学者 Lorentz の講演からの引用がある. 要は黒体輻射の話だが, 今まで黒体輻射とスペクトル幾何を結びつけて考えたことがなかった. 専門に限りなく近いにも関わらず. ちなみに Lorentz が提出したこの問題はその場にいた Hermann Weyl (もちろんあの有名なワイル) が, その少し前に Hilbert が作りあげた積分方程式の理論を使って解いたらしい.
そのあと, 統計力学というか確率論というか, その辺の定式化を使った議論をはじめ, 直観的な結論を出す. このあたり, 確率論の人なのだなという感じある.
P.8 Section 6 では次のように語っている.
It would seem that the physical intuition ought not only provide the mathematician with interesting and challenging conjectures, but also show him the way toward a proof and toward possible generalizations.
P.14 で Brown 運動が出てきた. 確率っぽい話になるのか. 確率論を使って wild な境界でも議論でき, 一般化された解の自然な定義ができるという話だった.
何かもっと確率っぽい話をするのかと思ったらそうでもなかったが, 確率の人から見るとどうなのだろう. 確率論, それなりに漸近解析を使うイメージがあり, 漸近解析が議論の基本だったから, その意味では確率論で培った技術を全面的に使っていると言えるのかもしれない. ただし確率論には詳しくないのでこの見方が正しいのか不明.
幾何と解析が密接に結び付いていること, 特に個人的には作用素/スペクトルの解析をしているというのがとてもとても楽しい. ふんわり雰囲気を楽しむ感じの論文 (元が講義録のようだ) ということもあり, そんなに堅苦しくもなく, 物理と数学の相互作用的なところも強調されていて, 学部低学年で解析/幾何に興味がある向きはちょうどよく刺激を受けられる内容だという印象. こういうのを私もやらなくてはいけない. これをネタにしてセミナーするのもいいかもしれない. 検討しよう.

2014年1月18日土曜日

書評または感想: 数学セミナー 2014年 01月号 グラフ理論の新展開

数学セミナーを定期購読することにしたのだが, 時間が取れずにようやく 2014/1 月号を読んだ方の市民だった.
せっかくなので感想をまとめていきたい.
まず冒頭, 時枝正さんの「無理な数のこしらえかた」が恐しく面白かった. 素数定理, \(\pi(x) - \int_0^x \frac{d\xi}{\log \xi}\) は \(x \to \infty\) で無限回符号を変えることを 1914 に Littlewood が示したらしいのだが, その証明が面白い. 次の 2 ステップで証明しているそうなのだ.
  1. Riemann 予想を偽としてその仮定から結果を導く.
  2. Riemann 予想を真としてその仮定から結果を導く.
結果として Riemann 予想の真偽に関係なく結果を導いているという. これと \(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\) の無理性証明を比較してうんぬん, とやっていて面白いから是非読むべき. ここからさらに零知識証明と暗号理論への応用の話題になる.
今回の特集はグラフ理論だ. 4 色問題が有名なアレだ. ネットワークの問題や, 最近だと Nobel 経済学賞になった Gale-Shapley のマッチング理論などの話題もある. 東大教養の垣村尚徳さんの記事によれば理論計算機科学, トポロジー, 数学基礎論への影響もあるらしい. トポロジーと言えば, 情報技術者とかその辺の資格試験にもネットワークのトポロジーという話題は出てくる. 私の近いところだと, 作用素環でもグラフから作る作用素環という話題がある. 研究していた先輩もいたし, 慶應の勝良健史 さんもやっていたはずだ. (今やっているかは知らない. )
国立情報学研究所の小関健太さんの記事によると, 4 色問題のバリエーションも色々あって, 特に 3 色問題というのもあったり, 最近弱 3-flow 予想というのが解決されたというニュースがある. Thomassen の話題がちょろっと紹介されているが, 非常にスマートな証明を与える優れた数学者とのこと. 格好いい. 数学セミナーの執筆者の所属に「国立情報学研究所」が出てくるあたり, グラフ理論の展開の広さを伺わせるようで面白い.
琉球大の徳重典英さんの【セメレディとその周辺】という記事, 数学者のエピソード系記事とも言えるのでそれだけで特記する価値がある. Szemeredi は 2012 年に Abel 賞を取ったとのことだがそんな有名人も知らない無知無学無教養な市民だった.
東工大の松井知己さんの【安定マッチング問題の応用 嘘をつく人々】にはこう色々と興味がある. Nobel 経済学賞関連の 1962 年の Gale-Shapley 論文の安定結婚問題とかその辺の話. ところで次のような記述があった.
1962 年の Gale-Shapley 論文では, この話題が数学教育において優れた教材であると述べられている点でしょう. 複雑な数式や前提知識が不要なのに, 数学的に奥深い構造を持ち, 現実にも応用を持つ安定結婚問題は, 高校生にも初見から興味を持ってもらえそうです.
この観点はなかった. 今度きちんと勉強しよう. 何か良い本ないだろうか. この記事, 参考文献などは 2013/4 の安田さんの記事を参照しているが, 手元にないしすぐ見られる環境でもないので困る. 日本評論社に参考文献一覧みたいなのないだろうか. あと, (PDF で) 数学セミナーの電子書籍ないだろうか. 個人所有で本のままだと置くスペースとか困る. 日本評論社の方は是非検討されたい. 過去のものも是非電子書籍化してほしい.
Gale-Shapley はいわば【男性の選好を優先するアルゴリズム】を作ることで安定マッチングの存在とその具体的構成までやった. Gale-Shapley の問題では男女は対称なので, 【女性の選好を優先するアルゴリズム】と言ってもいい. ここで問題なのは, 男女が正しく自分の選好を申告することが肝要だった. 3 節の【安定マッチングの構造】で議論されている. ここでは「嘘の選好リスト」を出されたときの問題があり, Nobel 賞になったときに少し勉強したところによるとこれが現実への応用上とても大切になるという話が展開される. 何で嘘をつくかというと簡単で, 例えば受験で「本当の第一志望は東大だがそれは色々と無理なので第一志望は早稲田にした」みたいなケースを想定すればいい. 真の選好を出さない状況は色々あり, その中で安定マッチングを作るのが難しくかつ価値がある. 話のネタとしても面白いだろうから, やはりグラフ理論というかマッチングの話はきちんと勉強したい感ある.
名大の伊藤由佳理さんの【第 16 回 ヨーロッパ女性数学会総会に参加して】は相転移プロダクションの活動的に非常に興味がある. 紋切り型に言えば「女性の就学・研究支援」のようなものだ. 詳しくは記事を参照されたいが, 来年の韓国での ICM の直前に 国際女性数学者会議 (ICWM) もあるとのこと. 「この記事を読まれた方は, ぜひ周りにいらっしゃる女性数学や女子学生にお知らせください」とのことなので, 私も宣伝協力していきたい.
名大の小澤正直先生の【量子測定の数理と不確定性原理 (10) 不確定性原理と相補性原理】, 不勉強なので知らなかったのだがびっくりした記述があった.
一般に二つの物理量の値に関する「同時測定可能性」と「同時定義可能性」, および二つの物理量の作用素としての「可換性」の三者の概念が互いに同値だと考えられてきたからである. ところが, 新しい不確定性関係の発見によって, 非可換な物理量の同時測定可能性が明らかにされ, 「二つの物理量の値の同時測定可能性」と「二つの物理量の作用素としての可換性」が同値な概念ではないことが明らかにされた.
ちょっと認識を改めないといけない. 勉強しないとまずそう. 量子集合論とか出てくるそうなのでつらい.
明治の阿原一志さんの【サーストンの描いた 8 つの宇宙の絵】冒頭部, とてもよい.
2010 年 3 月 5 日パリ, 三宅一生氏が立ち上げた世界的ブランドである ISSEY MIYAKE の 2010 年秋冬コレクションが, 当時クリエイティブディレクターだった藤原大さんの手によって華やかに行われました. コレクションのタイトルは「ポアンカレ・オデッセイ (Poincare Odyssey)」. ポアンカレ予想とサーストンの 8 つの幾何学 (幾何化予想) をテーマとしてこのコレクションはファッションと高等数学の幸福な出会いとして, 欧米でとても評判になりました. このことについて, 本誌 2010 年 6 月号「パリコレで数学を」と 2010 年 8 月号「宇宙の形と質感をめぐる冒険」で紹介されましたので, ご存知のかたも多いと思います.
JosephYoiko さんに教えてもらったアレか. こういうの, 私も私なりのやり方でやっていきたい. あとこの過去記事読みたい.
この記事によると, ジオメトリーセンターによって作られた「not Knot」とかいうビデオが Youtube で公開されているとのこと. あとでじっくり見たい.
  1. http://www.youtube.com/watch?v=AGLPbSMxSUM
  2. http://www.youtube.com/watch?v=MKwAS5omW\_w
インタビューの【実験を通して, 現象を数理的に考える】, 明治の矢崎成俊さんの話, 超面白い. 関西すうがく徒のつどいでも【偏微分方程式の逆問題–拡散方程式の数学と物理と工学】で関連する話題に触れたが, やはりこの辺結構好き. この記事では移動境界問題に触れている. ラーメンの汁の表面に浮いている油の玉がくっついて境界の形が変わる, というような現象を扱うのが移動境界問題だ. 以前【自分でつくる現象数理】という連載があったようだが, これ読みたい. 何かムック的なアレでまとまっていたりするのだろうか. 著作権も考えつつ出版社的にきちんとした形にまとめようとすると大変なのだろうというのは簡単に想像がつくが, 不完全な形でもいいから何かほしい.
【雪氷数学】というキーワードが出てきた. 是非頑張ってほしい. 話聞きたい.
本連載のインタビューの模様を, 2014 年 1 月より順次 web 配信する予定です. 放映日時など, 詳しくは『数学セミナー』web ページ (http://www.nippyo.co.jp/blog\_susemi) にあります『詳細情報』をご覧ください.
こういう取り組みすごい良い. 私もこの活動, 注視していこう.
山形大の脇克志さんの【数の拡大:直線の中の 3 次元空間】, SF チックで面白い. こういう発想大事にしたいし, 自分でもきちんとやっていきたい. あまりきちんと考えたことなかったが, \(\mathbb{Q}\) 係数のベクトル空間, もっとちゃんと考えたら楽しそう.
梅田享先生の【森毅の主題による変奏曲】, これが滅茶苦茶面白い. 全文引用したいレベル. これだけでも買う価値があるレベル. 位相と実関数論, コンパクト性を基軸にした位相空間論とかないの, という無茶ぶりとか書きはじめるときりがない. 全国紙上数学談話会 のリンクのメモだけしておこう.
数セミメディアガイドのページ, 何か告知にも使えるのだろうか. 今後利用を検討したい.

2014年1月16日木曜日

Lieb-Loss Analysis の 11 章を読むセミナーを東京近郊の大学で 2 月頃にやるので興味がある向きは問い合わされたい

yuki_migo さんとセミナーをしようという話があるので, とりあえず告知的なことをしていきたい. 下記の本, Lieb-Loss の Analysis, 11 章の始めから 11.14 くらいまでをやる予定. 2 月のどこかで東京近郊のどこかの大学でやる予定なので, 興味がある向きは問い合わされたい.



Schrodinger 周辺の話だが, 量子力学の知識は特に仮定しない. 物理に関して必要なところは補足する.

解析系の数学科学部 4 年くらいなら十分理解できる内容で, 本来の想定としてはそこに向けて話す. ただ, 本質的に使うのは微積分の計算であってあと大事なスパイスとして関数解析の基本定理を酷使する. 参加者の学年次第だが, 学部 1-2 年の学生が Lebesgue 積分や関数解析の応用面を知り, そこへの学習のモチベーションになるようにもしたいと思っている. ちなみに Lebesgue と関数解析と作用素論のセミナーを 3 月にやる予定なので, その前哨戦と言ってもいい. こちらについても参加されたい方は問い合わされたい.

基本的には本に沿って話をするが, 私の専門が作用素論方面ということもあり, 量子力学に関する作用素論展開と実解析的展開の物理的な見方的なところも多少話す. イントロでは, 確率論との関係や, 量子力学の他の話題, 幾何との関係なども多少話して, 分野的にこの辺の宣伝もする予定だ. 本には書かれていない点でいくつか面白いところは適宜補足していくので, 量子力学周辺の数学に興味がある向きは是非参加してほしい.

2013年11月26日火曜日

東大の本郷で 12/7 (土) に Science Front なるイベントというか講演会というか何かが数学・物理をテーマとして開かれるらしいので

ymatz さんが Science Front の宣伝をしていたので.
Science Front の講演者 @sin_forest と打ち合わせをしてきた. 12 月 7 日, 現代の数学ってこんな世界なのかー! って体験ができますよ. あとの 2 人は物理の人で, そちらの内容については僕も当日のお楽しみ.https://sites.google.com/site/0to1sciencecommunication/science-front
発表概要を転載しておこう.
発表概要
「光電子分光法を通して観た"物性物理学"が見据える未来」
物質の性質を研究する分野である物性物理学は, 数 10 年~100 年後の応用 (=人類社会への貢献・還元) を念頭に研究を行っています. 実例を挙げると, 1989 年に論文発表された巨大磁気抵抗効果は, 10 年足らずでハードディスク (HDD) の再生ヘッドに実用化され, HDD の容量を飛躍的に増大させました.
現在の人類社会が解決すべき課題の 1 つに, エネルギー問題が挙げられます. 持続可能な社会を実現するためには, 省エネルギー化・クリーンエネルギー源を開発することが急務です. 物性物理学は, そのような革新的なエネルギーシステムを構築可能な材料・物質を探求することを目標とし, 熱電材料, 室温超伝導物質, スピントロニクスデバイス材料, 太陽電池などの開発・研究が日進月歩で進められています.
本発表では, 光電子分光法を主な実験手法とする登壇者の立場・研究内容から観た, 物性物理学が見え据える"未来"と"現状"について簡単に話そうと考えています. 未来を変えるかもしれない物質を"実際に手に取って実験できる"という物性実験の魅力を, 少しでもお伝えできれば, と思います. 
「図形の大域不変量とその局所化ー Spinc 多様体上の Dirac 作用素について」
図形 (空間) について研究する一つの方法に, その大域的な位相不変量を計算する, という方法があります. 例えば球面の上に三角形を書いてその表面を埋め尽くしたとき, その (頂点の数)-(辺の数) + (面の数) という数を計算すると, その数は必ず 2 になります. この数は Euler 数と呼ばれる不変量の一種で, 球面を曲げたり潰したりしてもその値が変わらないことから, 位相 (トポロジー的な) 不変量と呼ばれています.
1960 年代に指数定理と呼ばれる大定理が証明されました. これは図形の上のある種の微分作用素から定まる数と, 上のようにトポロジー的に定まる数が一致する, というもので, Euler 数のような位相不変量の研究に (図形の研究に) 解析的な手法が有用であることがはっきりと示されました.
私は図形の上のある種の微分作用素を図形の一部に局所化する手法について研究しています. これによって図形の大域的な不変量の情報がその一部の情報に局所化されるため, 不変量の研究に新たな道が開かれることが期待されます. 今回は図形の不変量の研究について, 古典的な話題から現在行われている様々な研究まで, 私自身の研究も含めてお話しできればと考えています. 
「新粒子探索ーヒッグス粒子のその先にー」
最近「ヒッグス粒子発見」「ノーベル章はヒッグス粒子」というニュースで話題になった「ヒッグス粒子」.
ヒッグス粒子とは, 物質の最小単位であると考えられている「素粒子」のうちの一つで, ヨーロッパで行われている LHC 実験で発見されました. では, そのヒッグス粒子はどのようにして発見されたのでしょうか? またヒッグス粒子を発見したら素粒子物理学は終わりでしょうか?
LHC 実験では陽子と陽子を加速して衝突させ, 衝突後に出てくる素粒子の種類やエネルギーを見ています. これにより, ヒッグス粒子が生成されたのか, 未知の粒子が生成されたのかなどを調べています.
また, ヒッグス粒子の発見で素粒子物理学の全てがわかった事にはなりません. 理論的な研究から, 未だ発見されていない「新粒子」が予言されています. LHC 実験では更なる新粒子の発見に向けた実験と, 多くの理論的な研究が行われています. 新粒子を発見するには闇雲に探すだけではダメで, 多くのゴミとなるような事象から, 新粒子に値する事象を選び抜かなければいけません.
これらの「新粒子探索」という素粒子物理学の最先端について, 理論的側面から最新の結果を交えつつお話したいと思います.
物理としては物性理論専攻に相当する研究をしているが, 上記のような殊勝なことなど一度も考えたことがない方の市民だった. 面白そうだし時間があったら行ってみよう.

2013年11月21日木曜日

場の量子論と解析数論: p進大好きbotからの質問に答える方の市民

我らが p 進大好き bot から質問を受けた方の市民だ. 私は Fock 空間上, 非相対論的場の量子論や量子統計をやっているので物理として相対論が絡む話はあまりよく知らないし, 数論方面もさっぱりなのだが, 多少知っていることはあるのでまとめてみた.
@phasetr なるほど. ボゾンとフェルミオンに対応する Fock 空間の有界作用素のスペクトルに強い離散性を課しているのは量子論からくる妥当な制約なのでしょうか? 固有値の整列性から総和的概念と相性がよくなって数論につながっているように見えるので少しその仮定の意味が気になりました.
まず強い離散性 (トレースクラスの仮定) だが, 物理的には不十分なことこの上ない. 「物理はともかく (今の数学の水準で) 数学的に面白い話ができるのはこの場合」という割り切りと思ってもいい. 物理としてスペクトルが離散的になるのは 2 つの場合がある.
  1. \(\mathbb{R}^d\) 上, 調和振動子などの特別な場合 (confined system).
  2. 有界領域上での Hamiltonian.
前者だが, 調和振動子など大事な系はあるものの物理としては本当に特殊な場合だ. 場の理論でも調和振動子が一番の基本だし, 調和振動子は決定的に重要な系ではあるけれども. 若山先生の非可換調和振動子など, 「調和振動子」は数学的に数論との関係がかなり深いようなので面白い. ただし, 物理的には散乱がないという決定的な欠点がある. すごく大雑把にいって, 散乱は Hamiltonian の連続スペクトルの部分に対応する. 非破壊検査など散乱を基礎にした応用はたくさんあるし, ミクロな系, 特に素粒子を実験で見るときは散乱で見るため, 散乱がないのは物理としては困ると言ってもいい.

ちなみに調和振動子のように (原点から) 距離が離れるとポテンシャルが大きくなる (ので粒子があまり遠くに行かない) 系を confined system と言う. 数学的な一般論として, 「Laplacian + 最高次が偶数の多項式ポテンシャルが入った Hamiltonian」のスペクトルは離散的になる. (新井先生の『量子現象の数理』にも証明がある. ) Confined system を「Hamiltonian のレゾルベントがコンパクト作用素になる」と定義している文献もある.



後者だが, 証明や条件を忘れたものの, 有限系ならそれなりに一般的に言えたはずだ. コンパクトな Riemann 多様体の Laplacian は離散的という一般論があるが, 大体そういう感じ. もちろん, 一般には Laplacian に適当な摂動を入れるので離散性が保たれるかは自明ではないが, 頑張るとそれなりに一般に言える. 量子統計や場の理論でも, いったん有界系でトレースを使いながら理論を作っておいて, 最後に物理として標準的な \(\mathbb{R}^d\) への極限 (熱力学的極限) を取る, ということをする.

後者についてはもう 1 つ決定的な事実がある. 前者とも関係するが, 一般に無限系の Hamiltonian には連続スペクトルがあるのでトレースは取れない. 物理だと平衡状態は \(\mathrm{Tr} (A e^{- \beta H}) / \mathrm{Tr} (e^{- \beta H})\) で定義するが, これは無限系では意味をもたない. つまり数理物理としては無限系の平衡状態を定義するところから始める必要があるが, これがなかなか大変だった. ここをきちんと議論するために Haag-Hugenholtz-Winninkの有名な仕事 が出たのであって, 量子統計の数理物理に対する冨田-竹崎理論の重要性が出てくる. 冨田-竹崎理論というか平衡状態周りでも 数論における相転移とかいう Bost-Connes の結果 があるので, それはそれで数論的にも大事なようだが, こちらは難しくて読めなかった. p 新大好き bot はセミナーで読んだらしいので, 興味がある向きは p 進大好き bot に聞こう.

もう一個.
@phasetr ついでに 4 章で \(L_S\) と \(Q_{S,+}\) に対する指数定理のようなものが示されているのも興味深く感じました. フレドホルム作用素 \(S\) に対して \(L_S\) や \(Q_{S,+}\) (そして \(d_S\)) に何らかの物理的意味付けがあるのでしょうか?
こちらについてはあまり知らない. \(L_S\) は (自由場の) 超対称的 Hamiltonian, \(Q_{S,+}\) は超対称荷 \(Q_S\) の分解ということくらいは知っているが, この辺の物理自体には詳しくない. 超対称荷自体何なのかあまりよく分かっていないが, 「荷」とつくのは大体保存量であって, 物理的には普通とても大事な量に対してその名前をつける. だから大事なのだろう, くらいにしか分からない. \(d_S\) については, Proposition 4.1-4.2 にあるように「ボソンを消してフェルミオンを作る」というそのままの意味があるが, これ以上の詳しいことは知らない. 超対称性はボソンとフェルミオンの対称性なので, 正に超対称性を司る作用素が \(d_S\) という話ではある. それが幾何学的にも大切な外微分になっているというのは確かに面白い.

これ とか これ とか これ とか これ とか, 量子力学のレベルでは超対称性と指数定理というのは大きなテーマになっている. その場の理論版としてこの辺の話があり, さらに数論的な要素すら持っていたという感じなのだと思っている. 量子力学での話からすれば多様体上で何か議論したいところだが, 無限次元多様体の議論をいきなりやるのはつらいので, まっすぐなところで下調べしよう, というのが新井先生のこの辺の研究の動機の 1 つでもある. 『Fock 空間と量子場 上』の 6 章のまとめのところにその辺の話が書いてある.



物理としてはむしろ, この辺の兼ね合いから超対称的な理論が数学として幾何学的な拘束を受ける (はずな) ので, 数学 (幾何学) 的に意味が明快なところから逆に物理を見つけていくときの指針として使うのだろう. とくに素粒子では数学的な制約からあるべき物理 (モデル) をしぼっていくというのはよくある. 例えば「理論は Lorenz 対称性を持たねばならない」とか「繰り込み可能でなければならない」とか「漸近的自由でなければならない」とか. 素粒子物理として数学的指針は決定的に重要らしいのだが, 数学的にはそこを逆に使って物理的な洞察から衝撃的な数学的関係を見つけてくるのが楽しいということで色々な交流があるという認識だ. ミラー対称性とか何とかそのあたりもそう.

知っているのは大体このくらい.

2013年9月5日木曜日

駒場幾何学的表現論と量子可積分系のセミナー

駒場幾何学的表現論と量子可積分系のセミナー が定期的に開かれているらしい.
駒場幾何学的表現論と量子可積分系のセミナー
セミナーの目的, 対象者, 講演方法: 幾何学的表現論や可積分系の分野の周辺で現在活発に研究している方々をお招きし, 最先端の結果, というより問題意識からはじめて 3 時間ゆっくりと講演していただくセミナーです. 対象者としては, これらの方面の専門家のみならず, 表現論, 代数解析, 数理物理学, 幾何学, トポロジー等の専門家や専門家を目指している若い方々で, 幾何学的表現論や量子可積分系に興味を持っている方を対象としています. このため, 講演者には例と具体的計算, 問題設定, 動機付け, 基本的結果, 基本概念等についてゆっくり丁寧にお話ししていただけるようにお願いしています. このため, 証明には深入りする必要ないと考えております.
世話人:岩尾慎介 (青山学院大) 白石潤一 (東大・数理) 土屋昭博 (IPMU) 山田裕二 (立教大). 連絡先 (岩尾)
9/17-19 には国場敦夫さんの「転送行列、Yang-Baxter方程式、Bethe仮説」という話, 10/26 には河澄響矢先生の「(I) The Goldman-Turaev Lie bialgebra and the mapping class group. (II) Various infinitesimal approaches to the moduli space of Riemann surfaces.」があるそうなので, 興味がある向きは参加されてはどうか.

追記

関係筋から「不定期開催だ」という情報を得た.
@phasetr 関係者です. 不定期です. 申し訳ないです.

2013年6月2日日曜日

境界がある $R^n$ の領域上の微分方程式論と多様体上の微分方程式論でふと思ったこと

全くの専門外なので全く知らないのだが, ふと思ったので適当に書いておく. 運が良ければ専門家が何か教えてくれる可能性もある.

詳しいことは忘れたのだが, 以前東大数理の儀我先生が「ときどき \(\mathbb{R}^n\) 上の解析よりも多様体上の解析の方が難しいと思っている人がいるようですが, \(\mathbb{R}^n\) の方が難しいことだってあります」と言っているのを聞いたことがある. 何か具体的に変な領域を考えて, その上だと何か面倒なことが起きるという話だった. 詳しいことを覚えていないため, 今から考えるとそれに対応するような変な多様体上で考えれば, 同じように困ったこと起きるのでは, という気もするが, 儀我先生がその程度のつまらないミスを犯すはずもないので, 多分本当に難しい話なのだろうと思っている.

今回の本筋はそこではなく, 境界がある領域・多様体上の微分方程式の解析についてだ. 基本的に多様体上だと境界がないところで考えるのが普通だと認識している. 例えば次の本の書名, 『境界つき多様体のディラック作用素』を見ても何かそんな気がする.



\(\mathbb{R}^n\) の領域での楕円型の偏微分方程式だと, 解の存在が考えている領域の境界の滑らかさに強く依存するとかいう話を聞いたことがある. 方程式にもよるはずだが, 境界が区分的に \(C^2\) くらいでないとそもそも解がないため, どうしてもそれだけは仮定しないといけない, とか聞いた覚えがある.

多様体 (manifold) だと多分境界まで込めて滑らかなのを仮定していると思うので, 上の条件での議論はあまりしないような気がするのだがその辺どうなのだろうか, というところ. 幾何解析の本, Aubin の『Nonlinear Analysis on Manifolds. Monge-Ampere Equations』を見ると, 例えば Kahler 多様体の上での \(C^5\) 級の解の話があったりするが, 境界の話が出てきた, と思ったら有界な \(\mathbb{R}^n\) の領域の話だった.



幾何解析で変な境界を設定して議論することあるのだろうか, というのが私の素朴な疑問だ.
話はずれるが, 確率論を駆使したり実解析的な方だと境界がフラクタルの場合とかゴリっと出てくるはずなので, \(\mathbb{R}^n\) ではもっとすさまじい境界を出してこられる.

あと本当に特異性がある代数多様体 (variety) で微分方程式やるときとかどんな感じになるのだろう. 必ずしも境界の話ではなくなるのでアレだが. さらに, 私の無理解のため本当にピント外れの話をしている可能性もある.

2013年5月31日金曜日

東大の古田幹雄先生による『大学院で幾何の勉強を目指す学部生の方たちへ』という PDF を発見したので共有しておきたい


東大の古田幹雄先生による『大学院で幾何の勉強を目指す学部生の方たちへ』という PDF を発見したので共有しておきたい. これ だ. 色々なところで再三言っているように, 幾何がさっぱりなのは恥ずかしい限りなので, 私も参考にしたい.

他にも Tychonoff の定理の二つの直接証明, Bernsteinの定理, Zornの補題, 濃度の演算, 正規、パラコンパクトHausdorff、1の分割 なども PDF があった. 興味がある向きは読んでみるといい.

ちなみに東大数理の教官というご多分に漏れず, 古田先生も (業績的な意味で) 凶悪な教官だ. 4 次元多様体での 11/8 予想 というのがあるのだが, そこでも非常に顕著な仕事をしているようだ. ここ で紹介されているが, 10/8 不等式というのがある. 正直私は評価能力ないのだが, 『数学の50年』で松本先生が滑らかな 4 次元多様体での 3 大定理の 1 つと言っている.


11/8 予想は今の 4 次元トポロジーでの 2 大問題とのこと. そこに関して現在最強の結果を持つのが古田先生だ. その他にもゲージ理論に関していい仕事がたくさんあると聞いている.

2013年5月22日水曜日

解析力学は一般論・抽象論を組み上げる必要があって難しいという話

Twitter で hisen_kei さんと ゆきみさんが解析力学のセミナーをするとかいう話があったので, 思ったことを書いておく. 物理が非専門の人が読むのにいい本を全く知らないので, ハイパー困るのだが, とりあえず私が読んだ本は山本-中村だ.



物理として学ぶ段階ですでに一般性が必要になってつらいので, 特に非専門家が勉強するときには, まず自分の知っているところ・使うところに特化して勉強し, そこを突破口にして学ぶのがいい. 力学系の議論は機械工学でも使うようだが, 数学的にそこに特化した本としては次のような本がある. 読んだことはないので, 質については保証できないが, (数学として) 何が問題かというところは把握できると思う.

  
ここではむしろ, 本を紹介するよりも, 解析力学の特徴を紹介することで学習の一助としたい. ちなみに『力学と微分方程式』の書評に次のような記述があって面白かった.
力学系の本は本書の他にもいくつか出版されていますが、 これほど読みやすく、分かりやすいものはないでしょう。 初学者がつまずきそうな点には、しっかりフォローが入っています。練習問題の解答もついていますし、入門書として適当だと思います。 
ただし、本書は数学者が書いていることもあって数学的で、 物理学的な色はあまり濃くありません。 ですから、物理大好き☆物理命☆みたいな人にはあまり向かないかもしれません。 (この点は他の本もある程度共通していますが…。) 
しかし、逆に言うと、「ほとんど物理を勉強したことがないけども力学系の知識は必要。 困ったなぁ…。」と密かに悩んでいる経済学や生物学などを専攻する人には、 間違いなく最高の本です。 経済理論や生物学の本などにも、 巻末の付録に力学系の申し訳程度の解説が付いていたりしますが、 今後の動向を考えると、 やはり本書のようなものを読んでおいたほうが良いでしょう。 教養・アイデアの種として、物理学の知識も得られますし。
数学の本は物理的な感覚が使いづらくハードルが高いという印象があった. だが, 逆に物理をあまり知らなくても読める (自分の専門に引きつけて解釈をつける) と思えば, かえっていい場合もあるのかと. 数学的にやばすぎると別のハードルが上がりまくるので, きちんと選ぶ必要はあるが.

タイトルで解析力学で一般性が大事だと言っているが, それを説明していこう. 例えば 3 次元の Laplacian を自然な直交座標系と極座標系で書いてみると次のようになる. \begin{align} \triangle_{\mathrm{o}} &= \frac{\partial^2}{\partial x^2} + \frac{\partial^2}{\partial y^2} + \frac{\partial^2}{\partial z^2}, \\ \triangle_{\mathrm{p}} &= \frac{\partial^2}{\partial r^2} + \frac{2}{r} \frac{\partial^2}{\partial \theta^2} + \frac{\cos \theta}{r^2 \sin \theta} \frac{\partial}{\partial \theta} + \frac{1}{r^2 \sin^2 \theta} \frac{\partial^2}{\partial \phi^2}.  \end{align} 何も知らずに見たとき, この 2 つが同じ演算子 (作用素) だと思うのはまず無理だろう. こうした見た目に左右されずに本質的な部分を見抜く必要がある. そのためには本質的な部分が何か, もっというなら本質とは何かということをきちんと意識する必要がある. 大事な部分を抜き出し一般化し, 議論をクリアにするために必要があれば抽象化までかける. 抽象化して議論自体はクリアになっても, 今度はクリア過ぎて何がなんだかさっぱり分からなくなる. そこを埋めるために適切な具体例をいくつも知っている必要がある. 物理に使うにはこの具体と一般・抽象を両方きちんと知っておかねばならないため, 負担がどんどん大きくなる.

このあたりをもう少し具体的にしてみよう. 物理で大事な概念として保存量というのがある. 具体的に運動量を考える. Lagrangian を 1 つ取ろう:\(L = - p^2/2m\) でも想像してくれればいい. これに対して空間並進群 \(\mathrm{R}^3\) の作用を考えると, この作用に対して Lagrangian は不変になるとする. このとき空間並進群に対する保存量が定義され, それが運動量になる.

これが次に一般化される. 任意の Lagrangian \(L\) を取り, 任意の群 \(G\) を取る. \(L\) が \(G\) の作用で不変なとき, 一般に \(G\) に対応する保存量が定義できる, となる. ここで考えられる限り最大に一般な Lagrangian と群を取る必要がある. なぜなら, 新たな理論を構築したりする場合, どんな Lagrangian, どんな群が出てくるか分からない. そうした場合にも使えなければいけないからだ. 非相対論のときにしか使えないとかいうのでは話にならない. 群も非相対論の状況では Poincare 群や Lorenz 群は視野に入らないが, こういう群作用がある場合にだって使えなければ意味がない. まだ見ぬ場合も含めていつでも使えるようにするため, できる限りの一般性を担保する必要がある.

また結果は普通の力学だけでなく, 適当な場の理論にも使えると嬉しい. 実際電磁場の Lagrangian なども考えられる. 場に対しても使っていきたい. 特に場の量子論を場合を考えると電荷に由来する \(U(1)\) ゲージ不変性も出てくる. 既知の保存量であっても, それに対応する対称性は何か, という議論だってしたくなる.

逆にいうと, 解析力学にはここまでの射程距離があるのだが, この射程距離を持つにはそれだけの頑張りが必要になる. それが解析力学がつらい理由だ. 当然一気に, 頭から本格的な本を読もうとするとつらい. そこで冒頭に戻る:自分が使うところから徐々にやっていき, 突破口を作っておいて必要がある範囲をまずおさえる. その後必要があるごとに勉強していく感じでやるのがいいだろう. 物理学科なら, カリキュラム的な都合もあるし, 学科の特性もあるのである程度はじめからきちんとやらなければいけないが, それは専門なので当然だ.

何に限らず (大学で) 学ぶ内容が簡単ということは全くないのでどこかしらで頑張る必要はある. ただ, 特に非専門家が勉強するときに困る部分というのは専門でやる場合と違う可能性があるので, そこはどうしたらいいか分からず惱むところ. 困るな, というところで歯切れ悪く記事を終える.

2013年5月6日月曜日

Twitter まとめ:解析力学, 電磁気学, 相対論と幾何学の関係などを簡単にまとめてみた


ぼんてんぴょんさんと力学, 解析力学まわりで少し話をした. 参考になる向きもあろうかと思うのでまとめておく. この辺 からはじまる.
ふと思いついたが、剛体を考えるとき、質量のあるところだけに質点があるのでなく、 剛体の外側にも質量ゼロの質点が(空間全体に)分布していて、 これらが剛体との位置関係を保ちながら動くと考えれば、「そこに質点があるか」を気にしたくないときに記述しやすくなるのではないだろうか。 
@y_bonten 状況良くわかっていないのですが、いわゆる場の理論はその感覚近い気がします。 電荷がなくても電場なりが空間にきちんとあるみたいなそんな感じ 
@phasetr ありがとうございます。 確かに、電荷から解説が始まっても、いつの間にか電場のほうが主役に躍り出ていきますよね。
あとこの辺.
座標系にまつわる問題が古典力学の理解の大きな壁になっていることは間違いないと思う。 「ある座標系で考えると煩雑になりすぎて実質無理」という状況はともかく、同じ現象をどの座標系で考えたって、 表現が異なるだけで辻褄が合わないといけない。それを確認するのが勉強だと思うのだが(以下略 
@y_bonten それ、正に解析力学です。 相対論でも大事で、多様体論の基礎にある思考でもあります 
@phasetr なるほど、では同じ心がけでそのあたりの分野も勉強してゆけば良いわけですね。 意を強くしました。 
@y_bonten 多様体論自体が解析力学を起源にしています。 シンプレクティックのあたりです。 相対論も座標変換による方程式の変換の問題という面があるので 
@phasetr そうなのですか! こういうロードマップを示していただけるのは本当にありがたいです。 
@y_bonten その辺をもっと積極的にやろうと思ってブログ始めました。 Twitterでもときどきやっていましたが 
@phasetr よく読ませていただいています。 今後も期待しております。
こういうと嫌がる数学の人もいるのだが, 解析力学と電磁気学は数学に影響を与えている. 上で書いた通り, 解析力学は多様体論の母体になっている. 電磁気学は物理のゲージ理論の一番簡単な例だが, このゲージ理論は数学のゲージ理論につながっている. またベクトル解析は電磁気学を整備する中で発展した数学で, ベクトル解析は多変数の解析学で大事だが, より強く幾何学でも de Rham 関連でとても大事.

あまりまともに物理の本を読んでいないのであまり詳しく参考書を挙げられないが, 一応知っているものは挙げておこう. 有名なだけで読んでいない本も挙げるので, ご注意頂きたい.

       

山本義隆の解析力学は物理の本だが, 物理の初学者が読むと間違いなくつらいので, もう少し物理として簡単な本を読んでからにした方がいい. 実際, 学部 2 年時の私にはつらかった. ただ内容が豊富なので面白いのは間違いない. また, 素粒子など幾何学が必要な人が手始めに読む本としてもいいのかもしれない. そちらはよく分からないので何とも言えないが.

深谷先生の本は読んだことがない. 評判はよいのでとりあえず挙げておいた.

太田浩一の電磁気学だけ読んだ. マクスウェルは読んでいない. 電磁気学の方は相対論や量子力学との関係についての話題があり, 色々なつながりが見えて読んでいて楽しい. ベクトル解析や Fourier なども適宜解説されている. 物理の中で数学を学ぶ, という点でもそれなりに使えるだろう. ただ, それなりにハードな本なので読みこなすのはしんどい.

理論電磁気学は計算が丁寧なのがいい. 特に電磁波や散乱周りは計算が物凄い面倒なのだが, そういうところで参考になる. 計算できないなんて軟弱な, と思う向きもあるだろうが, 専門というわけではなく速習が必要だったり, 久し振りに復習するときにさっと計算を確かめたい場合などには重宝するだろう. また, 物理を楽しみたい, という向きで計算も頑張りたいが一人はきつい, という向きもあろう. そういうところにとってもこういう本があるのはいいことだと思う. 実際に色々書いてみると分かるが, 細かいところは面倒なので飛ばしたくなるので, 結構こういうところは適当になりがちだ. 専門書だと計算をきちんと追い切らせることも大事な訓練なので, 余計に省かれる傾向にあるから.

2013年5月3日金曜日

Twitter まとめ:高校生との対話 物理に必要な数学的なアレ


いつもの通り, 数学がどこで必要なのか分からないとなかなかつらいだろうから, まずは物理をやったら, という話をしてきた. あと, 自分の手持ちでどこまで戦えるか挑戦してみる機会でもある. 人によっては既存の数学で解決できないなら自分で数学を作る必要だってあるから. また, 大学に行くと嫌でも先に数学やらされる羽目になる (こともある) ので, 見られる部分は見ておいたら, というのもある. この辺 からはじまる.
テンソル解析って数学的にはどこに繋がっていくんだろう 
@qpnv 多様体上の解析学,微分方程式とかでは 
@phasetr そうなのですか。 物理への応用みたいな本をパラパラ見ていただけなので数学的な繋がりがよく分かっていませんでした。 
@qpnv 解析力学や一般相対論方面だと正に多様体上の解析学という感じになるでしょう. その辺あまり詳しくないのですが. 流体とか言う方なら単純に(非線型の)偏微分方程式かと思いますけれども 
@phasetr 一般相対性理論も興味があるのですが、多様体も学ぶ必要があるのですね。 多様体についても調べてみます。 
@qpnv いわゆる曲がった時空というのが擬リーマン多様体という多様体なのですが, 少なくとも入門段階ではその辺の数学的なことはいりません. あまり数学に気を取られずに,必要になったらその都度やって行く方がいいです. 物理に興味があるならまずは物理からやりましょう 
@phasetr 必要になったら学ぶ、というスタンスの方がいいのですね。 分かりました。バリバリ物理をやっていきます。

2013年4月26日金曜日

Twitter まとめ:微分積分と線型代数からの突然の幾何学と解析力学

「自然な~」「自然に~が定義できる」というのは本などでよく見かける言葉だが, 初学の段階では何がどう自然なのか全く分からないこともよくあり, 大変腹立たしい. 今回, ここ で「自然な直交座標」というので悩む若人がいたので, 図々しくも老人が出しゃばった話をまとめたい. 今見たら流れを把握せずに変なことを言っている部分があったので猛省している.
自然な直交座標っていうけど逆に不自然な直交座標ってなに?私の発想力じゃ思いつかん 
@dream_taro 正規じゃない場合とか? 
@zomi1202 あー、なるほど。でもそれだったら正規直交座標って書いてくれればいいのにね 
@dream_taro あるいは違うかも。どういう文脈? 
@zomi1202 重積分するよー、暗黙のうちに自然な直交座標が入ってるのを仮定してるよー。って感じ 
@dream_taro んん?? 座標入ってるってベクトル空間に入れる、ということを想定してるのかな?? 
@zomi1202 文脈みたらやっぱり正規直交座標ってことっぽいと解決した 
@dream_taro @zomi1202 微妙なところですが,普通(1,1)/√2,(1,-1)/√2 みたいなのが「自然でない直交座標」ですね. むしろ(1,0),(0,1)みたいなのを指して「自然な」というのであって,それ以外が全部「不自然」ですが,微妙な点があってアレです 
@phasetr @dream_taro んーと、よく理解できてないのですけど、 その"不自然"という用語は既に別の座標(基底)が定まってる事を前提としてるのでしょうか? 
@zomi1202 そうです.既に基底を取っているところに別のを取ってくるから不自然に見える,という感じ. 基底を取り替えれば不自然だった方が自然になるので「微妙なところ」と表現しました. はじめから座標を入れていなければ出てこない話です. きちんとやると幾何の話になって大変で面白い 
@phasetr 幾何というと全然分からないのですが、微分形式の周辺のお話ですか? 
@zomi1202 座標に依存しないで議論を展開するという根本的なところです. 微分法に関しては,直接的には微分形式というよりベクトル場かと思いますが
@phasetr ふむふむ。 ベクトルって早々と座標導入しちゃう本多いですけど、あえて入れずに論じるの楽しいですね。 (今読んでるベクトル解析の本がちょうどそういうのでした) 
@zomi1202 座標に依存したくない、という気持ちが分からないとつらいので難しいところです。 物理でも大事な話ですが
自然な直交座標系については上で書いた通りだ. 線型代数の話になる. この辺で既に微分積分と線型代数の根本的な結び付きが出てきているのだが, その辺は適宜勉強されたい.

それはそれとして, 座標系に依存しないで解析学を展開しようと思うと幾何学が出てくる, という話だ. 初学者にとっては出てきた結果が取った座標系に依存するかどうか, という話そのものがよく分からないと思う. 具体的に考えてみるとこういう感じだ. 3 次元の Laplacian を自然な直交座標系と極座標系で書いてみると次のようになる. \begin{align} \triangle_{\mathrm{o}} &= \frac{\partial^2}{\partial x^2} + \frac{\partial^2}{\partial y^2} + \frac{\partial^2}{\partial z^2}, \\ \triangle_{\mathrm{p}} &= \frac{\partial^2}{\partial r^2} + \frac{2}{r} \frac{\partial^2}{\partial \theta^2} + \frac{\cos \theta}{r^2 \sin \theta} \frac{\partial}{\partial \theta} + \frac{1}{r^2 \sin^2 \theta} \frac{\partial^2}{\partial \phi^2} . ORG-LIST-END-MARKER \end{align} 引用のために添字をつけたが, 当然同じ作用素だ. 何も知らずに \(\triangle_{\mathrm{o}}\) と \(\triangle_{\mathrm{p}}\) を見て同じ作用素と思えるか, という話. 化け物ならいざ知らず, 普通は無理だろう. 「見かけに騙されずに同じものは同じと思いたい」という欲求が「出てきた結果が取った座標系に依存するかどうか」という問題だと思ってほしい. Laplacian の定義については Riemann 多様体上での定義を参照されたい. Riemann 多様体自体の定義を把握するだけでも死ぬ程辛いだろうから初学者にはお勧めしないが.

上で微分作用素の話にしたが, 当然微分方程式も関係してくる. 物理でも同じような要求は出てきていて, それが解析力学の基本的な発想にもなっている. 「見かけに騙されずに大事なことを見抜く」というのも大事だが, もう 1 つ, 面倒くさそうな (見かけの) 方程式を上手く変換していって解きやすくする, という方向もある. 変換していった先と元の方程式が同じなら簡単な方で解けばいい, となって無事に話が終わるのだが, 本当にそうやっても大丈夫か, という保証を与えるのが解析力学の要点で幾何学的に大事なことでもある.

詳しくは解析力学で学んでほしいが, 量子力学で簡単な例を出そう. 水素原子の Schrodinger 方程式を考える. \begin{align} H = \triangle - \frac{e}{r}. \end{align} 詳しい部分は省くが, Coulomb ポテンシャルは球対称性を持っているし, Laplacian も球対称性を持っている. (本当は考えている空間の対称性も大事だが, 今は \(\mathbb{R}^3\) 全体で考えていることにしてとりあえず不問にする.) したがって球対称性を重視した座標系で書いた方が記述がすっきりする (だろうと思える). そこで Laplacian は極座標系で書いた方がいいのではないの, という発想が出てくる. これをやっても大丈夫, という保証をつけるのが解析力学・幾何学的発想だ. 解析力学は機械工学などでも大事になると聞いているので, 関係各位は頑張って勉強されたい.

工学の人でも読めるような本は知らないので, 関係各位はお勧めがあれば教えてほしいのだが, とりあえず物理の理論系や数学の人向けに読んで面白い本だけは紹介しておこう. どの本だったか忘れたし内容も忘れたのだが, 坪井先生の本のどれかに, 「現代的な幾何学ではベクトル場と微分形式を概念的に分離したことが画期的な成果だ」という一文があった記憶がある. どう大事なのかいまだに全く把握できていないので分かる人は教えてほしい.

         
新井先生の本は物理を元ネタに対称性の数学を議論している. 最後に超対称性まで出てきて無茶苦茶と言えば無茶苦茶だが, かなりアドバンストな所まで扱っているとも言えるので, 読んでいて楽しい本ではなかろうか.

山本義隆本は物理の人から見た解析力学の本だが, 数学的にもある程度のレベルまできちんと書いた本だ. 多様体論をきちんと使っているので, 物理の人の多様体論入門にもいいかもしれない. はじめて解析力学を学ぶのには死ぬ程きついと思うが, 私が幾何学できなさすぎるだけかもしれない.

読んだことはないが評判はいいので深谷先生のベクトル解析と解析力学の本を入れておいた. 読んだ人は感想教えてほしい.

上で少し書いた坪井先生の本, どれだか忘れてしまったので, それっぽいのを全部挙げておいた. 前書きに書いてあったはずなのだが, 本を持っていないし近くに置いてあるところもないので確認できていない.

多様体論自体でも丁寧な本として松本先生のも挙げておこう. まだるっこしいと言えばまだるっこしいと言える. 以前宇宙賢者とも少し話したが, 実多様体論は 1 の分割だとかで技術的なところがとても面倒くさい. 複素多様体をやった方がストレートに幾何幾何したところに行ける感じはあるが, よく分からない. ただ, 複素多様体だと多変数関数論がはじめに出てきて, そこでちょっとアレ感がないでもない. あと層係数のコホモロジーも微妙にアレ, という気もする. 結局何にしろつらかった.

Riemann 多様体のいい本, よく知らないのだが, 幾何学的変分問題はかなり読みやすい本なのでこれはお勧めしておこう. Riemann 多様体の勉強にもなるだろう, と前書き的なところにも書いてあったので, Riemann 多様体の基本的なところは多分おさえてあると思っている. 変分は解析力学でも出てくるし, 変分自体, 物理でとても大事な切り口なので, 数学的にきちんとやってみたいと思ってしまった人はやってみると面白いかもしれない.

2013年4月21日日曜日

数学メモアール電子版の光


数学会が大変な英断を下しているので広めなければいけない. 「数学メモアール電子版の公開について」として ここ で第 1-2 巻について出ている. リンク先では第 3-4 巻もダウンロードできる. それぞれ「3次元接触構造のトポロジー」「作用素環と幾何学」「リーマン多様体とその極限」「共形場理論入門」で, 専門的で比較的最近の内容だが, 学部生くらいが背伸びして読んでみると研究の雰囲気が感じられて面白いだろう.

「作用素環と幾何学」は専門が近いので目を通してみた. 夏目先生パートの作用素環はかなりよくまとまっているので, 作用素環の雰囲気を掴むのに良い. 第 3 巻は Riemann 幾何周辺の学生が勧めていたようなので, これもそれなりの内容なのだろうと思っている.

上記ページから各巻の内容を抜き出しておくので, 興味が湧いた向きは目を通してみよう.
第1巻 3次元接触構造のトポロジー, 三松 佳彦 (付:Hamilton系の周期 解の存在問題とJ-正則曲線 小野 薫), 2001, 131p, 品切れ, [PDF] 
本書は,接触幾何学の3次元の場合を中心とした概説である.力学系や葉層構造, 3次元多様体論などの視点からの解説が三松氏によってなされ,概複素曲線の方法が 小野氏によって解説されている. 接触幾何学,シンプレクティック幾何学,低次元多様体論,力学系,数理物理学などに興味を持つ人に最適である. 
第2巻 作用素環と幾何学, 夏目 利一; 森吉 仁志, 2001, 230p, 品切れ, [PDF] 
作用素環の理論の基礎および指数定理との関わりについての優れた概説である. 一応幾何学者を念頭に置いてかかれているが, 作用素環の理論に興味を持つ広い範囲の読者に興味のもてる内容になっている. 
第3巻 リーマン多様体とその極限, 大津 幸男; 山口 孝男; 塩谷 隆; 加須栄 篤; 深谷 賢治, 2004,384p, 税込価格4,900円(送料 340円)[PDF]
本書は,多様体論の基礎的な素養を持つ読者を対象に, 大域リーマン幾何学の最近20年くらいの発展の主要部分を専門家が解説したものである. 本書に収められた内容を解説した成書は欧文のものでも見あたらない. 本書は微分幾何学の主要な分野の一つであるリーマン幾何学を基本的な文献であるといえよう.
第4巻 共形場理論入門, 土屋 昭博 述; 桑原 敏郎 記, 2004, 117p, 税込価格1,900円(送料 290円)[PDF] 
共形場理論に関心をもつ人のために,その手法と考え方を初歩から解説する入門書. 京都大学で行なった集中講義『共形場理論入門 — 作用素積展開のしかた教えます』をもとに, 共形場理論における基本的手法,考え方である作用素積展開,共形場ブロック, N点関数系とそれが従う確定特異点型微分方程式等について 丁寧に説明する.そのために Boson 場を扱い,Wick の定理を証明したあと, \(sl_2(C)\) 型 アフィンリー環の可積分表現に従う$P1$上の共形場理論を展開する.