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2014年7月9日水曜日

$\mathbb{Q}$ 上連続だが $\mathbb{R}$ に連続拡張できない関数の例: 指数関数の定義域の拡張に関連して

教育的な非常によい例だと思ったので.



\(\mathbb{Q}\) 上連続になるが \(\mathbb{R}\) に連続拡張できない関数,
DVD で取り上げたにも関わらずこういう場合の例にも使えることを理解していなかった.



実に恥ずかしいが, よい勉強になってしまった.

2014年7月8日火曜日

関数解析や作用素環の分野の反例集ページがあるというので作成者の教官にメールしてみて OK をもらった方の市民

これは面白そう.



私が書いている 数学の教科書 の反例の所にもこれを突っ込みたい.
イランの教官らしいが, ちょっとメールしてみたら OK を頂けた.
とてもありがたい.

それはそうと, この教官の ホームページ から Facebook に飛べるのだが,
飛んでみたら友達の欄に河東先生がいて割と真剣にびっくりした.
作用素環の反例も入れているくらいだし,
専門のところにも作用素環系のことが書いてあるのだから当然といえば当然だが.

2013年10月20日日曜日

ようやっと第 3 回関西すうがく徒のつどいで講演した内容を DVD 化し, Amazon で出すところにまでこぎつけた. あと反例と反省

ようやっと第 3 回関西すうがく徒のつどいで講演した内容を DVD 化し, Amazon で出すところにまでこぎつけた.



画像がまだないが, 大きなサイズを用意しなければならないようで, 作って頂いた方に大きなサイズを頂けるように打診しているところだ. 色々あって東大数理の古田先生にお渡しする機会があったのでお渡ししてきた. 東大数理の世界的に著名な研究者に数学の DVD を渡すというのもなかなか肝っ玉あるな, と自分でも思う. 「これはひどい」とかいう話になるとこう色々な意味で大ダメージだが, 数学の啓蒙的なアレということで自分も色々やっていますという話はしても損はなかろう, ということで自分を震い立たせてお渡ししてきた方の市民だった.

最後に nolimbre さんにも Twitter 上 stab されてさめざめと泣いたのだが, 備忘録として古田先生から突っ込まれたことをメモしておきたい.
今日古田先生にお会いする機会があったので DVD を渡してきたのだが, 「環から部分環を除いた集合は環になるか」というところで「実際になる例はあるのですか」と速攻問い返されて本当に大丈夫か即答できなくて泣いた
@phasetr 仮に環の定義から単位元の存在と零環を除いたとしても, 環の非自明な包含 \(S \subset R\) に対して \(s \in S \setminus \left\{ 0 \right\}\) と \(r \in \setminus S\) とれば \(r=(r-s) +s\) なので \(r-s \in R \setminus S\) となり \(r-(r-s)=s \in S\) だから \(R \setminus S\) は環にならないですよね.
@non_archimedean 本当だ. ありがとうございます. この程度の議論がすぐに想起できないことに涙を禁じ得ません
一度つどいで指摘を受けたのにきちんと消化しきらずにいたこと, 恥ずべき怠惰である.

2013年7月16日火曜日

Thurston によるコンパクト・シンプレクティックだが Kaehler ではない多様体の例

TL を見ていたら Thurston の論文が引用されていて, ちょっと「おお」と思ったのでとりあえず読んでみた. これ だ. シンプレクティック多様体は解析力学でも出てくる多様体で, 最近は超弦とかその辺との兼ね合いもあって精力的に研究されているという話を聞いている. Kaehler ももちろん非常に筋のよい対象で, 複素幾何の中心的な対象だと聞いている.

シンプレクティックは実多様体, Kaehler は複素多様体だが, 両方とも実次元は偶数なのでこういう比較にはきちんと意味がある. またこれで始めて知った程度に幾何弱者なのだが, 「多様体 \(M\) が閉でシンプレクティックなら概複素構造を持つ」ということなので, こう何となく複素構造とかも持ってくれる可能性はある. その辺から「全ての閉シンプレクティック多様体が Kaehler になるか」というのは結構大事な問題だったようだ. ちなみに逆はすぐ分かる. 例えば Wikipedia を見てみよう.

で, 結局反例があるということを Thurston が言った, というのがこの論文のようだ. 2 次元トーラスの微分同相群, \(\mathbb{Z} \oplus \mathbb{Z}\) の表現からファイバーバンドルを作って, そのコホモロジーを見るとアウト, という話だった. もう滅茶苦茶に不勉強なためコホモロジーが大体さっぱりなのだが, 反例を作る前に Kaehler の奇次元 Betti 数が偶数になる, という事実が紹介されているので, そこから分かるという寸法.
1 つだけではなくもっとたくさん反例が作れることを注意した上で, 別の予想を立てて論文は終わっている.

この論文が面白いというか紹介したい理由の 1 つとして, Guggenheimer の論文が出たがそれが間違いだった, ということを反例を使って示したところがある. 教科書でも時々あるが, 論文 (研究) レベルになると当然間違いがある可能性があるということ. Fermat 予想が何度も「証明」されたとか「立方体倍積問題の証明」などそういう話を耳にすることはよくあるかもしれないが, 結構色々なところで実際にあるということはもっと注意してもいいかと思った的なアレだった.

あと, 関西のつどいでも話した反例が大事的な話だが, Thurston が反例を作ったのを論文にしているということで, 面白い反例を作ったらそれ自体論文にできるのだ, ということも言いたい.

追記

Kaehler の 奇次元 Betti 数の話は Wikipedia の Laplace 作用素のところ から来ることを教えて頂いた. あと 森の未知さんのツイート も引用しておこう.
これは学部生や修士課程学生が読むには非常にいい文章だと思う. >RT 
件の Thurston の論文, とにかく短くて, 私の記憶だとたったの 2 ページ. すごい結果なら 2 ページで済むというのも知っていていいだろう. 
手法も胞体分割でコホモロジー (ホモロジーだったかも) を計算するという, かなりのローテクノロジー. それで 2 ページで本質的に重要な結果を導いたわけでやっぱり Thurston はすごい. 
私も低次元トポロジーには疎い人間で Thurston の論文はあれくらいしか読んだことないのだが, あれだけ読んでも Thurston の偉大さは分かる. 
Godbillon-Vey 類の連続変化の話も森田先生の本で少しフォローしたことがあるが, あれもローテクノロジーだったと思う. それでかなり本質的な例を構成したんだよなぁ…. 
三次元多様体論で Thurston の業績が決定的なのはよく聞くし実際そうなんだろうと思うけど, 具体的に何をしたかは結局今も理解できていないような.
ということで皆も読んでみよう. そして基礎知識から私にレクチャーしてほしい.