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2014年8月6日水曜日

素敵な証明だった: 代数学の基本定理をBrown運動の再帰性から出す

これは面白い.
Brown 運動とマルチンゲール性を知らないといけないが,
証明自体はすっきりシンプル.
またこうした証明を許す, 代数学の基本定理の懐の深さも伺える.
よい証明だった.


証明は上記ブログに書いてあるので, ぜひ見に行ってほしい.
また Rogers and Williams に書いてあるらしいので,
この本にも改めて興味が出てきた.

2014年5月23日金曜日

書泉グランデMATHから: 5 月上旬新刊予定『確率パズルの迷宮』岩沢宏和 (日本評論社)

また書泉グランデ MATH が面白そうな本を紹介してきた.



5 月上旬新刊予定
『確率パズルの迷宮』岩沢宏和 (日本評論社)
親しみやすいが一筋縄ではいかない確率パズルを多数収録.
不思議な迷宮を散策しながら確率を扱う技術や思考法が身につきます.


お金も読む時間もなかなか取れないのに欲しくなるのでつらい.

2014年5月11日日曜日

「はるか彼方からの光芒を信じ, 膨大な計算を遂行し尽したときに初めて地平が見えてくるようなハードな解析は解析学の真骨頂であろう」

格好いい.



ここで高橋陽一郎氏によるクッソかっこいいメッセージをお読みください
http://mathsoc.jp/publication/tushin/1204/takahashi12-4.pdf


遥かなるハードアナリシスに対する憧憬を謳っている.
皆, とにかく上記 PDF を読むように.
いくつかウルトラ格好いい文章を引用しておこう.



はるか彼方からの光芒を信じ,
膨大な計算を遂行し尽したときに初めて地平が見えてくるようなハードな解析は解析学の真骨頂であろう.
ハード・アナライザーたちの数ヶ月からときには数年に及び,
岩に穴を穿つような計算を続行するその強靱な精神力と体力には畏敬の念を覚える.
不幸にしてその途上で力尽き果てた人もいた.
畏敬とともに深い哀悼の念を表する.



しかし, 例えば, モーメントの評価や相関関数の評価などのようなわずかな手掛りを頼りに必ず道が拓けるとの信念のもと,
恐ろしいほどのハードな計算を遂行し切って, 数学に新たな地平を切り拓くハードな解析はやはり解析学の真骨頂である.


どれだけハードアナリシス格好いいの, という感じ.


ここで出てくる T. Hara は九大の腹隆さんで,
田崎さんの共同研究者というか知人というか大学時代の友人的なアレだ.
田崎さん, 原さんともに私が所属している分野,
厳密統計力学・構成的場の量子論の先達だ.


この間ブログにもまとめたが, 原さんは 2013 年の Summer School 数理物理で講師になっていて,
そのときの話で提出した D 論は 500 ページ, 証明の細部まで書いた分は 2000 ページになったと言っていた.


今の私としては, ハードでもソフトでも何でもいいから,
とにかくきちんと論文を書いていくことを目標にしたい.

2014年3月30日日曜日

数理物理の魅力と相転移の魅力: 数学と物理と数理物理と

Ask.fm から.
まずは質問.



二つの質問になってしまいますが,
主観的なもので結構ですので,
数理物理の (特に物理や数学それ自身と比較しての) 魅力および相転移現象の魅力がどこにあると感じてらっしゃるのか教えていただけませんか.


今考えるとあまりきちんと回答していない気もするが
とりあえず回答.


数学と物理, 両方好きで両方やりたいという単純な所です.


もちろんどちらか一方でも死ぬほどきついので,
本当に「研究」しようというなら,
どちらも半端な出来損ないになる可能性を視野に入れつつ
それでも踏み込む決意と覚悟が必要ですが.
もうあまり詳しく覚えていませんが,
相転移は大体田崎さんの影響です.


数学的には「特異性の数理」が非常に好きです.
色々あって学部一年の頃から数学的には超関数だとか
ある意味でかなり特異性の強い数学とずっと戦っていて,
結局今でも「場の理論の超関数論」と銘打って研究しているので
三つ子の魂百まで感あります.


話がずれましたが, 興味だけなら代数幾何の特異点論とか,
ブラックホールだとか, 特異性が絡む話は大体何でも興味があります.
極限で特異性が出てくる現象がとても好きで,
熱力学的極限とそこからの相転移がとても気にいっています.
相転移をやるなら人類が最大精度で扱えるのが
磁性関係だから磁石を扱う方向に行ったと言う非常に単純な動機です.


もちろん水が凍るとかもやりたいですが, アレは即死レベルだし,
シュレディンガーで磁性も即死コンボです.


磁性だととりあえずイジングですが, イジングは
(相対論的) 場の量子論の繰り込み処理との関係もあり,
数学的に量子統計と場の理論の相性がいいこともあって,
手始めにやりやすいところから, と思って
場の理論方面の勉強をしていて, 相転移自体とは
大分離れた赤外発散を修士では主に勉強していたのですが,
修論の為のネタ探しで考えたら一応磁性もできるわ,
と言う感じで磁性 + 赤外発散みたいな
特異性に特異性が重なって死ぬほど面倒臭い代わりに
趣味ばっちりな所を見つけたのでそこで今も
色々やっています.


物理的には素直な拡張でも数学的には全く
別の話を絡ませたりしなくていけなかったり,
逆に数学的には共通部分が多いのに物理としては
ちょっと遠目の所にアプローチできたりするのが
今の分野の面白いところですが,
一旦話が難しくなりすぎて死んだ分野なので,
一般にはお勧めしていません.


ただその分やっている人も少ないので,
すぐに世界のトップ 10 くらいに入れますし,
実際に多少しぼるだけでいわゆる
オンリーワンでナンバーワンにもなれます.


大学のアカポスゲット的な意味でこのご時世に
いい結果がすぐに出る保証は全くできないので,
決しておすすめはしませんが.

2014年3月28日金曜日

量子力学の数学に関する文献など: あとセミナーもしよう

また Ask.fm.
質問はこれ.



量子力学の数学的な基礎を勉強したいのですが,
どのような分野を勉強すれば良いのか教えてください.
ご面倒でなければ参考になる本についても教えていただきたいです.


色々なところで言っていたりするのだから
それ見てよ, という気もするが, 一応回答.



量子力学の数学的基礎も超大雑把に言って,
作用素論系と偏微分方程式系に別れるような感じがあります.


私がやっているのは作用素論・作用素環系ですが,
それについては例えばニコ動に置いてある http://phasetr.com/services/niconico/ の
量子力学・量子統計周りの話を眺めてみて下さい.


参考文献ですが, 作用素論系では
http://phasetr.com/services/references/ にある
新井朝雄先生の本がベストです.


微分方程式関係だと Lieb がリーダーです.
Lieb-Loss の Analysis が基本的な文献と言っていいでしょう.
量子力学というより量子多体系, 量子統計の色彩が強いですが,
The Stability of Matter in Quantum Mechanics もお勧めです.
ちなみに両方とも新井先生の本ほど簡単ではありません.
とくに Analysis は関数解析くらい知っている, と思って
読んでいると痛い目を見ます.


色々な不等式の最良定数評価がかなり早い段階から出てきて,
前から順番にきちんと読もうと思うと 3 章が
最良定数含め, とてもきついです.
面白い本ではあります.


あと, 作用素論との関係が強い (作用素論的性質の解析に使う) という
イメージがあるのですが, 確率論からのアプローチもあります.
これも新井先生の本をまず読むのがいいです.
その次は Simon の本あたりでしょうか.


場の理論に行くなら Betz-Lorinczi-Hiroshima を読まねばなりませんが,
これはかなりきついです.
確率弱者の私は読めません.


関東近郊の方なら適当にゼミやるのに誘って頂ければ,
話す方含め相談のります.


Twitter でもいいですが, メール phasetr@gmail.com にでも
適当にご連絡・ご相談頂ければ.


メルマガの方で時々触れることを考えているので,
ご興味ある向きは ここから 登録されたい.

2014年2月17日月曜日

確率論と偏微分方程式論: Feynman-Kac, 流体力学極限, Stochastic Loewner equation

ちょっとひさこさんと話したのでせっかくだからメモしておこう. 確率論と PDE という感じのところの話をしたのだ.

Feynman-Kac という伝統的な話題もあるが, 最近は日本だと舟木先生が特に精力的に研究している内容として流体力学極限という話題がある. 慶應理工の佐々田さんによる PDF を張っておこう. これ自体はよく知らないので興味がある向きは色々調べてみてほしい. 舟木
先生が本を書いてもいるので, それを見るのもいいだろう.






起源が流体にあるだけで放物型など色々な PDE との関係があるということくらいは調べた. ちなみに上記 PDF を書いている佐々田さんは 博士を 1 年で終わらせて即ポストも取った優秀な研究者で確率論の若手のホープだ. PDE と確率という話では, SLE と共形場 (Werner の Fields 賞) など, 相対論的場の量子論や統計力学などの物理を絡めた展開もある. 立役者は Werner というよりも Schramm なのかもしれないが, Schramm はとりあえず Fields 時には年齢に引っかかっていたはずだ. Poincare 賞はもらっている. あと, Schramm は山岳事故で亡くなっている.

全然関係ないが, 東大数理で Werner の講演会があったので聞きに行ったことがあり, そのときのエピソードを記録しておこう. 休憩時間にコーヒーを飲んでいたら, たまたま傍に現在京大でその当時東大に行た吉川謙一先生が, 「Werner の書くランダムっぽい曲線は正にランダムっぽくて, さすが確率論の人ですね」と言っていた.

2014年2月15日土曜日

大数の法則の気分がいまだによく分からない方の市民だった

確率論がつらい.
大数の法則と中心極限定理のいわゆる「直観的な意味」というのがよく分からなくなってきた方の市民
@phasetr 真面目に言うと, 直感的な意味で「確率」が既に意味不明ではないかと思います
@omelette_philos wikipedia 見ていたら何か説明が循環論法っぽくてどんどん訳が分からなくなってきたと言う状態です. 数学的な言明は別にいいのですが
@phasetr 循環的に感じるというのであれば, 私は事象の独立性のとこで感じますね
@omelette_philos 確率論の基礎につまづいた先人の苦労とそれを克服してきた先人の偉大さを思う方の市民
数学的な言明と証明はとりあえず把握しているが, 確率論そのものにピントが合っていないという感じだろうか. 勉強しよう. あとささくれ先輩が何度か言っているが, 確率論は舟木直久先生の本がとてもよいのでお勧め.



あと最近はちょっと変わった確率論入門ということで, Mark Kac の本を読んでいる.



これは Kac のスパイスが滅茶苦茶に聞いていてとても面白い. Can one hear the shape of a drum? の Mark Kac で, Feynman-Kac の Kac だ. 教育に関しての一流の腕を見せてくれる. 面白いので是非読んでみてほしい.

2014年2月11日火曜日

ひさこさんに確率論の反例集を読むセミナーを開いてもらおう

イケメンエリートの SO880 御大から本を紹介されたので.
@phasetr @greengrimghost DVD …研究室で上映会して, 新四回生や新 M1 生の教育目的とするなら公費で買えるのだろうか? 確率論の反例集が近々リニューアルされてペーパーバックで安価で発売されるとか…
@SO880 @greengrimghost 反例集出たら教えて下さい. 普段なかなかその辺をチェックしにいかないので
@phasetr @greengrimghost 密林にいつ頃出るとかありませんでした?
調べてみたら これ のようだ.



とりあえず買っておいた. 読める日がいつ来るだろう. ひさこさんに教えてもらうまである.

2014年2月10日月曜日

John Ludvig Pirl, The Momentum Map, Symplectic Reduction and an Introduction to Brownian Motion

全く分からないが kyon_math さんが宣伝していたので.
風呂から上がって調べてみるとこんな修士論文が... http://bit.ly/1f6o369 これ, 始めの 30 ページほどでシンプレクティックリダクションの解説を証明付きでやってくれてるのでお勧めです. 丁寧に書いてあるし, good job.
この修論, タイトルが「The Momentum Map, Symplectic Reduction and an Introduction to Brownian Motion」とかで凄い. 中身, はじめが Lie 群で最後が Brown 運動になっていて, 「the foundations for later work in Geometric Stochastic Mechanics」を目指しているらしい. Geometric Stochastic Mechanics とは何だろう. 量子力学関係で E. Nelson が言い出して色々とアレで廃れた Stochastic Mechanics というのがあるのは知っているが, その辺の話か. 実に謎い.

2014年1月16日木曜日

Lieb-Loss Analysis の 11 章を読むセミナーを東京近郊の大学で 2 月頃にやるので興味がある向きは問い合わされたい

yuki_migo さんとセミナーをしようという話があるので, とりあえず告知的なことをしていきたい. 下記の本, Lieb-Loss の Analysis, 11 章の始めから 11.14 くらいまでをやる予定. 2 月のどこかで東京近郊のどこかの大学でやる予定なので, 興味がある向きは問い合わされたい.



Schrodinger 周辺の話だが, 量子力学の知識は特に仮定しない. 物理に関して必要なところは補足する.

解析系の数学科学部 4 年くらいなら十分理解できる内容で, 本来の想定としてはそこに向けて話す. ただ, 本質的に使うのは微積分の計算であってあと大事なスパイスとして関数解析の基本定理を酷使する. 参加者の学年次第だが, 学部 1-2 年の学生が Lebesgue 積分や関数解析の応用面を知り, そこへの学習のモチベーションになるようにもしたいと思っている. ちなみに Lebesgue と関数解析と作用素論のセミナーを 3 月にやる予定なので, その前哨戦と言ってもいい. こちらについても参加されたい方は問い合わされたい.

基本的には本に沿って話をするが, 私の専門が作用素論方面ということもあり, 量子力学に関する作用素論展開と実解析的展開の物理的な見方的なところも多少話す. イントロでは, 確率論との関係や, 量子力学の他の話題, 幾何との関係なども多少話して, 分野的にこの辺の宣伝もする予定だ. 本には書かれていない点でいくつか面白いところは適宜補足していくので, 量子力学周辺の数学に興味がある向きは是非参加してほしい.

2013年11月29日金曜日

ささくれパイセンの確率的善導

ひさこさんにささくれパイセンの善導が入ったので記録しておこう.
もちろんその先も勉強し続けたいし知りたいけど今自分がもっとも勉強したい分野って確率微分方程式だけどはるか先‥‥
@ml_hisako ルベーグやったあと比較的すぐ突撃出来る感あります
@phasetr そうなんですか! 調べたら確率論の本は一冊読んでおかないと厳しいとも書いてあったんですが, "確率"微分方程式と言うとおり, 確率論はやってから進めるべきですよね??
@ml_hisako 最短, ブラウン運動を知っていればとりあえずはどうにかなって, ブラウン運動は連続関数の関数空間論とルベーグ知っていれば出来る感あります. もちろん確率論的に最大に一般的にきっちりやりたいならそれなりに準備いると思いますが. 確かセミマルチンゲールとかいるはずなので
@phasetr なるほど‥‥ワヘイヘイから誕生日プレゼントで probabity with martingales を貰ったのですが索引調べてみたら semimartingale は出てなかったのを見たりするとしっかりやるなら確率論の本や他の分野を勉強しないとならないなと思いました.
@phasetr セミマルチンゲールとか全然知らないです‥‥本当に奥が深いんですね‥‥詳しく色々聞きたいです!! セミナーの際に教えてくださいますか?
@ml_hisako probablity with martingales は和訳の方を持っていますが, あれはあれでブラウン運動とか確率微分方程式系のことにはあえて踏み込んでいない感じ印象です. 扱いやすいブラウン運動で色々遊んでおいてから一般論きっちりというのもあるはずなので
@ml_hisako ちょっと今研究的なアレが楽しくて時間を奪われていて 12 月にやる予定を勝手に立てていたルベーグのアレができず, 多分学生陣のテストを避けて 2-3 月くらいになる予定ですが, その辺りで個人的確率論の復習をかねたアレを何かやりましょう
@ml_hisako セミマルチンゲールとかは全く知らないです. 自分で使う所しか知らなくて, 確率論専攻の人からしたら本当にめちゃくちゃに虫食いです. ただブラウン運動と伊藤積分, Feynman-Kac は酷使するのでやる予定です
@phasetr 確率論のですか!? ありがとうございます!!! 今は貰った本をきちんと読み進めて行きたいとおもいます!! 少しでも確率論ができるように頑張ります.
@phasetr @ml_hisako 横から失礼します. (いちおう) 確率論専攻の者です. セミマルチンゲールの話は (要するにマルチンゲールを用いた確率積分の理論) 確かに綺麗ですが最初はブラウン運動を用いた確率積分の理論で感じを掴むのもいいと思います
@ysgr_sasakure @phasetr リプありがとうございます! 今はルベーグ積分入門という本と probabity with martingales という本を並行して読んでます (始めたばかりですが) 2 つの本を読み終えたら色々相談したいです! よろしくお願いします!
@ml_hisako @phasetr 伊藤清三とウィリアムズですか! 後者は代数の申し子ワヘイヘイからプレゼントされたそうで. あの本のマルチンゲールと一様可積分のところをしっかりとやっておけばセミマルチンゲール (というよりは局所マルチンゲール) についてやるときに非常に楽ですよ
@ysgr_sasakure @phasetr ブラウン運動の確率積分ということは確率過程の話もやらないとということですか? (知識がなくてごめんなさい) やるとなると本当にやること膨大ですが, 知りたい欲が掻き立てられます.
@ml_hisako @phasetr 多分ここで言っている確率過程の話は, マルコフ過程やレヴィ過程の知識は必要なのか, ということだと思うけど, 特にそんなことはないです. ブラウン運動を使う場合は正規分布や独立性が非常に大事ですが, その際特性関数が非常に役立ちます
@ysgr_sasakure @phasetr アドバイスありがとうございます! そこをやる際には注意したいと思います. 全然わからないことだらけですが, よろしくお願いします.
ふと思ったが, 確率微分方程式, そういうのが本当にあるのかと思っていたら実は確率積分方程式を印象的な記法で書いているだけのもの, というのではじめて聞いたときびっくりした. 確率偏微分方程式は何なのか全く知らないが. 確率積分方程式とはいうがそれならそもそも確率積分とは何ぞ? というところで確率積分, 伊藤の公式やらが出てくる. 確率積分は確率過程に関する積分論だが, ここで確率過程の特性としてマルチンゲールだの何だのと出てくる. セミマルチンゲールのレベルが (私が知る限り) 一番一般的だが, もっと簡単・具体的でかつ大事な例として Brown 運動がある. これと \(P(\varphi_1)\) 過程や Ornstein-Uhlenbeck 過程, Gauss 超過程のあたりが私にとっての基本だ. 学生時代, 作用素論と作用素環で手一杯だったとはいえ, 少し講義に出たくらいで全く身についていなかったつけが今来ていて, 泣きながら確率論を勉強している. 確率論というか確率過程を基礎からきっちり勉強した方がいい気もしていて, 適宜何かいい本を探してもいる.

2013年11月7日木曜日

アンドレ・ヴェイユ 『ゼータ函数の育成について』

素数の歌はとんからり bot が非常にアグレッシブな PDF を紹介していた.
私が, Riemann の \(\zeta\) -函数と性質を共有する函数を "育成" するときに使って来た一つの特別なトリックをお話しよう.
── アンドレ・ヴェイユ 『ゼータ函数の育成について』 http://goo.gl/p1mR1
まず衝撃的な冒頭の一文を引こう.
今日のような蒸暑い日には, 竪苦しい話より, `動物や植物' を `育成' でもするような話の方がよいであろう. \(\zeta\)-函数についていえば, 本質的な点は第一に \(\zeta\) がギリシヤ語のアルファベットの一つであることで, 第二にその変数が普通 \(s\) と書かれることである: \(\zeta (s)\).
これが育成に関わることも衝撃的だし, \(\zeta\) の本質がこんなところにあることも知らなかった. ただ, 先日の第 4 回関西すうがく徒のつどいで「数論は \(\zeta\) が綺麗に書けるようになることからはじまる」という, 数論専攻の方の有り難い話も聞いたので要はそういうこと感ある. 「 Weierstrass の最大の仕事はペー関数に \(\wp\) の字を当てたことだという説がある」などの貴重な話も聞いてきた.
ところでこの動物について, Euler の最も重要な発見は, \(\zeta\)-函 数の函数等式である.
\(\zeta\), 動物だったのか.
次の step をなし遂げたのは Dedekind である. これが, bigger and better zeta-function の育成の始まりである. 私自身も近頃は, その育成に, 私の数学的な努力の一部を捧げているのである.
Riemann の \(\zeta\) とこの Dedekind の \(\zeta\) の定義との主要なちがいは, ローマ字とドイツ文字とのちがいであることがわかるであろう. ここでドイツ文字が使われているのは, 長い間ドイツ人だけしか数論をやらなかつたので, 数論の記号にはドイツ文字を使うのが習慣になつているからである.
引用が面倒なので省略するが, Riemann の \(\zeta\) の零点に対して, 確率論による大雑把な推測法を説明しているのが目を引く. 確率論と数論の接点, Weil は強く意識していたということか.
次の step は, 非常に面白いものであることがわかり, 現在, 数学的植物学者に対し, 非常に大きな研究分野を繰り拡げているものであるが, それは次のようなものである
数学的植物学者とか, 先程から衝撃的な言葉が連発されまくっているので Weil の偉大さを感じる.
それにしても, \(\zeta\), 育成するものだとは知らなかった. \(\zeta\) をアイドルと思ってプロデュースすることも考えなければいけない時代なのかもしれない.

2013年11月1日金曜日

超準解析のプロである魔法少女に超準解析で超関数がどうなるかについて聞いてみた

超準解析のプロである魔法少女とのやりとりを記録していきたい.
大学入ってから運動量は酷使するものの力積使ったことないのだがアレはいったい何だったのだろう
@phasetr デルタ関数の近似ということにしておこう
@functional_yy ふと思ったのですが超準解析でδ関数はどういう扱いになるのでしょうか. 超準解析的には普通の関数と思えるのか的なアレです
@phasetr この辺り詳しくはないのでよく知りませんが, 例えば幅無限小高さ無限大で掛け合わすと 1 のパルスを考えれば望みの性質は得らます. http://planetmath.org/constructionofdiracdeltafunction
場の量子論で赤外発散という現象があるが, その数学的解決には「場の量子論版の超関数」が必要だと思っている. 作用素環上の状態の空間でとりあえず定義はできるのだが, それを確率論 (経路積分) でいうとどうなるか, 最近は特に表現論的にもう少し突っ込むとどうなるかというあたりをスピン-ボソンモデルで計算している. 代数解析的なアプローチではどうなるかというのは考えていたが, 超準解析的にどう見えるか考えてもいいかもしれない

2013年10月4日金曜日

美少女であるところのひさこさんを確率的な意味で善導してきた

これは美少女であるところのひさこさんを善導したその記録である.
確率論とそれる方向に向かっている方のひさこさん.
@ml_hisako 何やってるんですか
@crobert_z フーリエ解析です.
@ml_hisako 測度のフーリエ変換とかあり, 分布周りの大事な話があり, ガウシアンとの関わりも強いのでそれていない説
@phasetr なるほど. ありがとうございます!
@ml_hisakohttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%80%A7%E9%96%A2%E6%95%B0\_(%E7%A2%BA%E7%8E%87%E8%AB%96)この辺見ると, 特性関数は定義そのものにフーリエ変換を使っているのが分かります. また確率論の基本的な対象, ガウシアンはフーリエ変換と相性がいいのですが, そういうところで陰に陽に使います
@ml_hisako さらに言えば, ブラウン運動を基礎にした確率積分でもやはりフーリエ変換は適宜使いますし, フーリエ変換発祥の地, 熱方程式を解析するときにも Feynman-Kac の公式という確率論の金字塔もあるので, フーリエはやっておいて全く損はない話です
@ml_hisako むしろ, 色々なものが色々に絡んでいくところこそ面白いところなので, あまり確率論に関係なさそう, という理由で他の数学を避けたりしないようにしてほしいくらいです. 確率論からの共形場理論でウェルナーにフィールズ賞が出ていますが共形場は他の数学との相互作用があります
@ml_hisako 前ブログにも少し書きましたが, 数論と関係ある部分もありますし, 確率論の射程も広く深いです
@phasetr なるほど…最近, 勉強してるうちに違う事もやりたいけれど確率論をやりたい気持ちが強いのでやっぱりそれに基軸を定めてやるなのかと疑問に感じました. でも市民さんからアドバイスをいただき, ほかの数学も避けずに学びたいと思いました. (続く)
@phasetr 伊藤清の確率論の 1 巻を調べてみたら特性関数の章でフーリエ変換を定義してました. Poisson 分布を考える際にも必要なんですね. この章をまだ勉強してませんでしたがフーリエ解析の大切さも理解できました. http://pic.twitter.com/0iobVWGWmf
@ml_hisako ついでなのでもう少し色々書いておくと, 例えばフーリエ解析は表現論と深い関係がありますが, 大雑把に表現論とフーリエの交点に調和解析という分野があります. この分野に確率解析を持ち込んで画期的な仕事をしたのが東大数理の新井仁之先生です
@ml_hisako また伊藤清自身がはじめた分野として確率微分幾何というのもあります. ささくれパイセンがこの辺に進もうとしているようですが, 20 世紀数学の金字塔の 1 つ, Atiyah-Singer の指数定理の確率論的証明という話題もあります
@ml_hisako これや量子力学・場の量子論と深い関係がある話ですが, (偏微分) 作用素を積分核を使って表示することで作用素を詳しく解析する手法としての経路積分 (Feynman-Kac 公式) というのがあり, 作用素論との関わりもあります
@ml_hisako 私が知っている範囲で考えるだけでもこれだけの広がりがある分野です. 元々応用から出てきた分野なので, 統計学まで含めて応用向きの話も数限りなくあります. 確率に限りませんが, 何をやっていてもそれる方が難しいでしょう
@phasetr 確率論がこんなに広がりがあると知り, 改めて学びたいなと思いました. 貴重なお話ありがとうございます! また色々教えてください!! 私も勉強して身につけたいです.
数年したら逆に色々教えてもらえるようになるはずだ. 楽しみに待っていたい.

2013年10月2日水曜日

Summer School 数理物理 2013 量子場の数理に参加してきたがスーパー楽しかった

Summer School 数理物理 に参加してきた. とりあえずスーパー楽しかった. 河東先生のは微妙なところだが, 大体全ての講演の内容にピントが合いまくっているので, 大分景色が広がった. 入門的な話を議論するということで面倒なところに触れていないからということもあるが, 人の話が これだけクリアに分かった経験もなく, 楽しかった. 順に感想を書いていこう.

新井先生: 相対論的量子電気力学

新井先生の話は 2 日使って相対論的 QED の 発見法的な (数学的に厳密でない) 議論をした上で, 最終日にきちんと定義できる部分の話をした. Hamiltonian を定義してその詳しい性質を調べたいわけだが, 今のところ運動量・空間の切断をつけないとうまくいかないということで難しいが, それでも議論は進んできている, という夢のある話が展開された. 切断つきとはいえ, 思った以上に議論が進んでいたのでびっくりした. 最近の新井研は相対論の人が多いらしく, 会場内でも学生さん達がその辺の議論をしていて楽しそうだった.

最終日のお昼, たまたま新井先生と新井研の学生さん達と食事しながらお話したのだが, 散乱理論さえ構成できれば基底状態の存在などはとりあえず言えなくてもいい, とか「それはそうだ」という話を色々した. とにかく本当に物理的な, カットオフなしの理論は何も言えていないから, やるべきこと・知りたいことは色々ある. QCD やその格子正則化の議論もしたいが難しい, という話とか色々. 論文タイトルだけは QCD を示唆しているが, 実際にはヒッグスが起きたあとの massive theory であって, ある意味こけおどしのような論文もあるからそんなに難しいと思わずとりあえず目を通して比較してみたら, とかいうコメントもあったりして実に楽しそう. 活発に研究されているようで見ているだけでも楽しい.

あと, 学生の頃からずっと新井先生にはメール上で本の誤植を送ったり論文をお送りしたりと交流があったのだが, 今回ようやく始めてお話する機会を得た. きちんと覚えて頂けていたようで, 何よりであった. 非同値表現など CAR・CCR の表現論周りで, 簡単過ぎるかもしれないがやらなければいけないことなどを考えていて, それについても少しお話したところ, Derezinski がきちんとやらないといけないと言い始めているようで, 実際に大事だろうから是非やるといい, 的な話もした. 考えていることが無意味ということはないようなので, 少し安心した. その方面も基礎的なところをきちんと固めていきたい. 「やろうと思っているがなかなか時間が取れないところをやってくれているので嬉しい」的なことも言われたので, 地味な研究だが粛々と議論を進めていきたい. 今回有限温度の話は全くなかったが, その辺も絡めてやっていく必要がある.

河東先生: 代数的場の量子論における各種共形場理論

作用素環専攻で比較的近い分野であったにも関わらず, 河東先生の話は一度も聞いたことがなかったが今回はじめて聞いた. 物理的に何かあるのかは全く分からないが, 単純に数学として非常に面白い内容だった. パン耳パイセンとか Twitter 上の作用素環の人, この辺やって私にレクチャーしてほしい. 冨田-竹崎理論とか多変数関数論とか, その辺のサポートならとりあえずある程度はできるのだが.

「この辺やっているのは私と Longo と Longo の学生くらいしかいないので人が増えてほしいのですが」的な話をしていた. 本当に面白いのでここも人が増えてほしいのだが, 冨田-竹崎理論やら多変数関数論が必要やらで参入障壁が高く感じられてしまうようで, 全然人が増えません, とのこと. その辺の詳細をうまいこと回避していたためとはいえ, かなり良く分野の様子が見えてこれも本当に楽しかった. むしろ, その辺をうまく回避しつつ面白いところを的確に時間内に盛り込んでいった河東先生の力量が凄まじいとも言える. Twitter でも河東先生のトークが凄かったという呟きを見かけたが, 確かに圧巻だった.

初日のトークで「私は数学者なので演算子ではなく作用素といいます」という話があったのだが, これを受けてその後, 原さんは「僕は物理屋なので, 演算子, といいます」といい, その後さらに廣島先生が「僕は数学者なので作用素といいます」と言っていた. 原さんが物理学者に物理学者と認識されているのか非常に気になるところだがそれはともかく, 原さんが自分を物理「屋」といい, 河東・廣島先生が自分を数学「者」と言っていたのが面白かった.

講演自体だが, 初日は場の量子論と Wightman 場, 作用素値超関数が必要というところから非有界で鬱陶しいので有界作用素に移るという話から始まった. 物理としては 4 次元 Minkowski 時空で Poincare 対称性を考えるが, これだと例が作れないしよく分からないので,
  1. 数学としてきちんとできて面白い共形場に移ること,
  2. フルの共形場ではなくカイラルに移って議論しよう,
  3. 時空としては \(x=t\) の直線上, しかもコンパクト化して $S^1$で対称性としては \(\mathrm{Diff} (S^1)\) という巨大な群を考えよう,
  4. そしてその公理系を簡単に説明した,
というところで話が終わった. 設定に関する気持の部分なので特筆すべきことはない.

2 日目からが本番で, 数学的な話がはじまった. これが面白い. Haag duality やら Reeh-Schlieder やらあるが, 特に Haag duality は話の中で拡大の極大性や locality との兼ね合いで酷使されるととても大事なのだが, 結構難しいがそれは公理として認めてしまってとにかくやってしまえばいい, みたいな話をしていて笑った. さすがに自分の学生がこの辺したいと言い出したらきちんとやるようにはいうようだし, それはそうだと思うが, それも含めて笑った. Haag duality は単なる便利なコンベンションくらいに思っていたのだが, 実際の議論では本質的に効いてくるようだった.

例を作ることと合わせて, 共形場の定式化の 1 つである頂点作用素代数やそれが発展する契機になった Moonshine 予想の話を噛ませたあとに作用素環的な議論が進んだ. 頂点作用素代数の結果を使いつつ議論するのは 3 日目の最後までずっと出てきたので, 相当大事なようだ. 共形場の定式化として適当に対応があることを使って, 頂点作用素代数で議論されていることを作用素環でトレースすることやその逆についてもかなり活発に議論されている模様. 同じ理論を記述しているのだからお互いの対応があるはずだが, 頂点作用素代数も代数的場の量子論もそのままでは一般的過ぎるから, 適当に制限をしたところでないと完全対応はないだろうという話, そしてそれは作用素環では完全有理性という条件で良さそうだ, ということだった. 完全有理性は本質的に面白い結果を出すところでは大体仮定されるらしい. きちんと確認していないが, 完全有理性は河東先生達が定義した概念のようだ. この辺もかなり凄い.

頂点作用素代数というか, 物理的に同じ理論を研究しているのだから別の数学を使ってできたことは作用素環でもできるはずだしその逆だってできるはず, というのは構成的場の量子論でも同じで, 作用素論・作用素環でできたことは確率論 (汎関数積分) でもできるはず, というのは私も思っているし実際にやりたいことでもある. そういう意味でも河東トークはとても楽しかった. 頂点作用素代数と作用素環は一方は純代数, 一方は解析学と本当に本来の興味感心がかなり違うはずなのだが, そこに対応する議論が展開できるというのはひどく非自明で楽しい. 河東先生も「昔は考えることもできなかったような分野の数学者とも話が通じるようになってとても楽しい」的なことを言っていた. 何かの文章でもあったが「昔は operator algebra で検索すると vertex operator algebra も引っかかって鬱陶しいと思っていたが, 今ではきちんと関係があることが分かった」みたいな話をして笑いを誘っていた.

3 日目はカイラルから発展してフルの共形場, 境界共形場の話をして非可換幾何の話をして終わった. 公理の設定があること, 共形場を全く知らないのでどういう話が常識なのかも知らないこともあるが, カイラルから共形場が復元できるというのはなかなか凄い. 境界つき理論との関係もなかなか無茶で, 境界の追加・削除の議論というのも凄まじい. 最後, 非可換幾何の話をするときに非可換幾何の Dirac 作用素を見つけるのに, 頂点作用素代数の構成を媒介して見つけてくるというのがかなり心に響いた. 思いもしない異分野の相互作用として相当に格好いい. 何かさらっと話していたし発見者が誰なのか確認してこなかったが, 発見者, 相当興奮したのではなかろうか.

やや別件だが, 非可換多様体は実際には非可換スピン多様体であるという話がされた. 前から普通の多様体の話をしているはずなのに何故 Dirac 作用素が出てくるのか不思議だったが, 実際, 非可換多様体の定義として今使われている spectral triple は非可換 Riemann 多様体, 特にスピン多様体であると直接確認できたので, その辺の胸のつかえが取れた感もある.

立川さん (後で名前を把握したというか顔と名前を一致させた) が色々面白げな質問をしていて, 超弦周りの話と何か絡んでいくのかもしれない. そもそも AdS/CFT とかある. 物理がどうなのかは全く分からないが, 数学としてはとても楽しいのでどんどんやっていってほしい. よい話だった.

原さん: 構成的場の量子論, \(\phi^4\) の話

田崎さんからの影響で何となく「さん」づけで呼ぶのが自然な印象がある原さんであった. 田崎さんとの共著で出る予定の Ising 本の査読をしていることもあり, 一応構成的場の量子論にいる人間として先達でもあり, 名前はずっと前から認識していたが, 今回初観測に成功した. 何か凄いかわいいというか穏やかな感じの人だった. 3 日目, ホテルの隣の部屋の人が変なことをして鳴らして警報機で起こされるなど, 今回は散々だったらしい. 体調が万全であればもっと色々な話が聞けたかと思うと残念だ. これはこれで, 今までふんわりしたことを知っていただけでもう少しきちんと知りたいけれどもなかなか勉強の時間が取れず, 解析が死ぬ程つらい分野のため精神的負担も大きかった triviality に関してある程度具体的に状況を把握できたので, とても有意義で楽しかったのだが.

Ising 本を読んでいたこともあり, スピン系に関する議論にピントがあっていたので滅茶苦茶面白かった.

「どんな汚い手を使ってでも OS の公理系を満たす例を作ればこちらの勝ち」という台詞, 非常に気に入っているというか, 私も基本的にこのスタンスというか, こういう風に言っている人達の背中を見て育った結果というか, こう色々なものを想起して感慨深く楽しい.

Ising で古典スピン系の様子を一定以上把握できていたので, ハードアナリシス部分はともかく, 今まで以上に景色を見渡せるようになった感がある. もちろんハードアナリシスパートこそが命なので, 全然何も分かったことにはなっていないけれども.

Ising 本を読んだとはいえ, あまり真面目に 13 章を読んでいなかったので相転移・臨界現象と \(\phi^4\) がどう関係するのか全く理解していなかったのだが, スケール変換に関する繰り込みで使うこと, その使い方というのをようやく把握できたので, 胸のつかえが取れた感ある. あれは本当に格好いい. スペクトル表示や鏡映正値性の話をもっときちんと聞きたかったが, 仕方ない. Frohlich から Hubbard 強磁性の解析にも鏡映正値性が使える可能性があるからちょっとやっておけ的なことを言われているし, もう少し真面目に勉強したい. Ising 本の付録, あまりきちんと読んでいないので, もう一度読み直したい.
\(\phi^4\) の triviality について, 原さんは相当思い入れがあるようで, 小話をしていた. 学部から院にかけて素粒子をやろうとしていたから場の理論を頑張って勉強していて \(\phi^4\) ももちろん頑張って計算したが, 院に入ったくらいだかに triviality 周辺の結果が出てきて, 自分の 2 年間は何だったのかと思った, みたいな話をしていた.

折角相関不等式のプロに会ったので, Hubbard でそういう話がないか聞いてみた. 凄い便利だからあったら誰かやっているだろうけれどもあまり聞かないなら難しいのではないか, とか実に真っ当なコメントを頂いた. あったらいいな, くらいだし, あろうがなかろうが無限系 Hubbard はやるしかないので粛々と進めるだけの市民だった.

あと Ising 本を催促してきた. もう少しでできるとしか言えないとのことだったが. このブログなど見ているかはどうかというのは積極的に棚に上げ, とりあえずここでも催促していきたい.

廣島先生: 汎関数積分による Nelson モデルの話

廣島先生も一方的に名前だけ把握していたが今回初観測に成功した. ほぼ一環して経路積分と言っていたが, 要は確率論を使って場の理論を記述していこうという話だ. ずっと興味はあったがあまり真面目にやっておらず, というか粒子系の方で確率解析やら何やら色々必要でしんどくて全く手がついていない分野だったため, とても (おそらく一番) 楽しみにしていた. 先日ささくれパイセン向けセミナーとして場の方の経路積分は復習していたので, 大体はついていけた. もちろんありとあらゆる意味でハードアナリシスこそ本道でそこについては全くフォローできていないが, 以前よりも親しみは増したので大変に有意義であった.

赤外正則化の元での個数期待値の指数減衰や (confined potential の場合の) 位置の指数減衰に関する詳細な評価ができるというのは, やはり圧倒的に力強い.

非 Fock 表現での Nelson (正確には私が知りたいのは van Hove) の基底状態について, 汎関数積分で見るとどうなるかが知りたいのでちょっと時間を取って取り組みたい. 物理での赤外発散の位置づけを全く理解できていないのがつらいところだが, とりあえず数学というか数理物理として処理しきりたいと前から思っている.

Pauli-Fierz は 3 日に 1 回夢に見ると言っていた. うらやましい.

小嶋先生との話

廣島先生の 2 日目, 基底状態の非存在に関する議論が出たときに「数学者である廣島先生に聞くのは筋違いかもしれないが」との前置きのあと, 基底状態の非存在に関する物理について質問されていた. 鹿野さんとのやり取りなどほとんどフォローできていないのだが, そもそも赤外発散とは何か, 赤外正則化と実際の物理とは何か, 赤外発散があるときの基底状態とは何か, といったところの物理, 私はよく把握できていないことを改めて認識した. 物性や有限温度への応用で冨田-竹崎理論を使えばいい, という話もあったのだが, それはそれでまず数学として色々難しくてあまり進んでいないというコメントをした.

一応 BEC の存在を言えている系はあるので, その辺の話なども少ししたら, 興味を持って頂けたようで, とりあえずプレプリントを見てみたいというお話になったので, プレプリントをお送りしておいた. 以前の Summer School 数理物理の BEC 回のとき, 小嶋先生もスピーカーとして話していて, 色々考えないといけないことはあるということなので, 多少なりとも参考になれば嬉しい.

総評

超楽しかった.

2013年9月17日火曜日

Gaussian superprocess and its application to Quantum Field Theory: Sasakure Seminar

先日, 東工大でささくれパイセンを主な対象として開催した小セミナーで, 「Gaussian superprocess and its application to Quantum Field Theory: Sasakure Seminar」というタイトルでお話してきた. Gauss 超過程は場の理論へ応用できるのだが, そこに関する話. 難しい話はせず, ボソン Fock 空間と緩増加超関数空間上の \(L^2\) (確率空間) のユニタリ同値性について話してきた. 幾何や数論への応用へもあるのでそこまでどうしようもないほどマニアックで孤立した話題でもない, ということも説明. これから研究でも使う予定なので, それに合わせて復習にもなった.

証明は飛ばし飛ばしだが, (可換) von Neumann 環を援用する, 確率論ではあまり見ないであろう話や, Gauss 超過程の存在証明などポイントポイントはおさえた話をした. Gauss 超過程の存在証明は Tychonoff から Hahn-Banach, Stone-Weierstrass を介し, 最後 Riesz-Markov-Kakutani で締めるという関数解析の至宝を並べた証明で, 解析陣の心を掴んだ.

まだ一本目すら出ていないが, これも動画 (DVD) にしたい. やりたいことがたくさんある. ご興味があるという向きはご連絡頂ければ適当にお話に行くことはできる.

2013年9月1日日曜日

構成的場の量子論と Levy 過程と Gauss 超過程

先日, Twitter でくるくるさんに読んでほしい本特集をしていたのだが, その中でささくれパイセン方面にぶっこもうという自然な流れができた. それを記録しておきたい. 他の人も何か言っていたと思うが, 追跡しきれないので自分の分だけまとめる. この辺からはじまる.
ささくれ先輩には汎関数積分を教わりたい. Levi 過程とか微妙に確率的に多少突っ込んだ話が必要で, かなりつらくて読みこなせない
今書いている論文, さっさとまとめてちょっと違うことしてみたい気分になっている. 動画作る上で幅を広げたいという目的もあり
(作用素論・) 作用素環・確率論でそれぞれ同じ物理がどういう風に数学的に表されるか, とかそういうのも鑓田違法の市民だったが, 確率には挫折しっぱなしな方の市民だった
よく知らないのだが, ブラウン運動と大偏差原理, 何か関係あるの
ささくれ先輩にガウス超過程を教わるオフの開催が決まった
ささくれパイセンとパン耳パイセンに可換, 非可換確率論の集中講義をしてもらおう
構成的場の理論, 本当にレビとガウス超過程出てくるということだけは言っておきたい
学部一年の時, ブラウン運動の物理について調べて発表しろという講義があり, その時何も知らずに飛田ブラウンを手に取ったり, 初期値δ関数の拡散を考えるのにシュワルツの超関数とか手に取ってしまって絶望に叩き落とされた私の話はやめるんだ
Levi 過程にまで踏み込んだ本格的な汎関数積分の本は廣島先生達による次の本, 『Feynman-Kac-Type Theorems and Gibbs Measures on Path Space: With Applications to Rigorous Quantum Field Theory』がいいだろう. 場の理論で作用素論・作用素環で証明したことを汎関数積分で見てみたい, と思って汎関数積分を勉強しようと思って読んだところ, 確率弱者に読める本ではないことが判明して号泣した本だ.



Gauss 超過程は上記の本にもあるが, 新井先生の『量子数理物理学における汎関数積分法』が読みやすい.



場の理論だと, 基本的に Gauss 超過程は「敗北」を意味する. Gauss 超過程は自由場に対応するからだ. 物理として面白い (意味がある) のは相互作用場だが, 上記注意からこれは非 Gaussian である必要がある. これが実につらい. Gaussian だからといって超関数を変数とする関数の積分を考えないといけない時点で解析的にかなりハードだが, それをさらに越える制御の面倒さが出てくる. Curved spacetime でしようと思うと最早現行人類の手を離れるといってもいいだろう.

途中で非可換確率論の話が出てきているが, それについてはこれでも見てほしい.
@safour_1 http://phasetr.blogspot.jp/2013/03/twitte\_15.html この辺を

2013年8月6日火曜日

あの人に対して恥ずかしくない力を身につけているだろうか: 代数的確率論に関する対話

こんなやりとり をしてきた. 全く役に立てた気がしない.
[ガチ募] お客様の中に非可換確率論に詳しい方はいらっしゃいませんか. 
@tmaehara 非可換確率論を http://phasetr.blogspot.jp/2013/03/twitter\_15.html 位の意味でつかっているなら, 詳しくはないですが関連する数学を多少知ってはいます 
@phasetr だいたいこの意味です. 用語に自信が無いですが, 代数的確率空間 (A,φ) が与えられたとき, これに近い行列表現を求めたいと思ってます. 「近い」の意味はちゃんと決めていないですが, 「表現の前後で状態の値があまり変わらない」とかができるとハッピーです. 
@tmaehara http://en.wikipedia.org/wiki/Gelfand%E2%80%93Naimark%E2%80%93Segal\_construction GNS 構成定理というのがあって, 正確に (無限次の) 行列に落とすことはいつでも出来ます. 状態の値も完全に保てる構成法です 
@tmaehara 次元については元のデータに依存します. 有限次元ならきちんと同じ次元の有限次元行列で書けます 
@phasetr もともと無限次元のものを有限次元に丸めた場合, どの程度損するか, とかはありますか? 
@tmaehara 私自身は数理物理でダイレクトに無限次元を触る方なので全くわかりません. ただ応用上は大事な話ですし量子情報など関連研究でその辺をやっている人はいるとは思っています. 数学的にも有限次元近似の話題はありますが, 情報的な損得という議論はなさそうです 
@tmaehara 少しググっただけですが, 量子情報関係で何となくそれっぽい論文はありました http://www.mi.ras.ru/~msh/download/ppi-2-e.pdf この論文でお望みの感じの損得の議論までやっているかは分からないのですが 
@tmaehara 必要な所しか読んだ事ないので, 有限次元近似の損得問題がどこまで描いてあるか分からないのですが, http://www.amazon.com/Quantum-Entropy-Theoretical-Mathematical-Physics/dp/3540208062 は量子情報で有名な本です 
@phasetr 紹介ありがとうございます, 読んでみます. 
@tmaehara たびたびすみません. 数学的な議論をしていそうな人しか知らないのですが, 電通大の小川さん http://www.quest.is.uec.ac.jp/ は一時期 JST の研究員として東大数理で勉強していた人です. あと本の著者の理科大の大矢先生のグループもあります. 
@phasetr ありがとうございます. さすがにまとまってない段階でコンタクトをとるのはアレなので, とりあえず名前だけ覚えておきます.
こういうときに役に立てなくてどうするのか. 学部 1 年に対してさえ最大限の敬意を払って接してくれたあの人に恥ずかしくない力を持てているだろうか.

2013年8月4日日曜日

確率論的な $\zeta$ の特殊値の導出法

不勉強と言われたら返す言葉はないのだが, 聞いたことない \(\zeta (2)\) の導出の方法が言及されていた のでちょっと聞いてみた.
先週は測度論によるζ (2)=π^2/6 の証明 今週はガロア理論による角の三等分問題 完全に趣味の領域です. 
@sesiru8 測度論によるゼータの特殊値の証明, どんなことをするのでしょうか. 測度論からというのは聞いたこと無いので気になります 
@phasetr ルベーグ積分でやりました. 殆ど広義リーマン積分でしたが (^^;; 
@phasetr こんな問題です https://twitter.com/sesiru8/status/359443578470137856/photo/1 
@sesiru8 ありがとうございます. このやり方, 知りませんでした. ただ, これを測度論とは言わないのでは, という感じはします 
@phasetr 最後の方で無限級数を考え, 積分と極限の交換を利用するためにはルベーグの意味での積分が必要になるのでしょうか. (これを測度論というかは…分かりません. ご指摘ありがとうございます). 
@sesiru8 ルベーグ積分なら級数も積分と思えるので単に積分でしょう. 測度論と言うともっと集合演算とか駆使するイメージです. 何か確率論的にぎろんするのか, と思ったのですがそうではないようで. あと, 積分と級数の交換はリーマンでもできます 
@phasetr なるほどです. 
@sesiru8 具体的なやり方をすぐには見つけられなかったのですが, 確率論的にζの特殊値を出す方法はあるようです http://gcoe.math.kyoto-u.ac.jp/cgi-bin/seminars/index.ja.php?type=view&id=770&ca=seminar 挙げられた言葉を見た感じ, 測度論的色彩が強いのかはどうかは分かりませんが確率という感じはします 
@phasetr ありがとうございます.
問題についてはこちらにも書き写しておこう.
  1. 函数 \(f (t)\) を \(f (t) = \left ( \frac{2}{\pi} \right)^2 \int_{0}^{\infty} \frac{1}{1 + x^2} \frac{1}{1 + (t/x)^2} \frac{1}{x} dx\) と定めるとき \(\int_{0}^{\infty} f (t) dt = 1\) が成り立つことを示せ.
  2. 関係式 \(\frac{1}{1 + x^2} \frac{1}{1 + (t/x)^2} \frac{1}{x} = \frac{1}{t^2 - 1} \left ( \frac{x}{1 + x^2} - \frac{x}{t^2 + x^2} \right)\) を用いて \(f (t) = \left ( \frac{2}{\pi} \right)^2 \frac{\log t}{t^2 - 1}\) を示せ.
  3. 次を示せ. \begin{align} \int_{0}^{\infty} \frac{\log t}{t^2 - 1} dt = 2 \int_{0}^{1} \frac{\log t}{t^2 - 1} dt = 2 \sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{(2n+1)^2}. \end{align}
  4. 以上の計算より \begin{align}\sum_{n=0}^{\infty} \frac{1}{(2n+1)^2} = \frac{\pi^2}{8}. \end{align}
計算すればすぐ分かるのだろうが, 3 の左 2 つの式, 正の実軸上の積分が \([0,1]\) の積分に落ちているのでなかなか凄い.

あと 確率論的に特殊値を出す 方についても記述を引用しておこう.
リーマンゼータ関数の特殊値 (特にバーゼル問題 \(\zeta (2) = \pi^2 / 6\)) を初等確率論の手法で求める. 2 つの独立なコーシー分布の商, 逆正弦分布の商, 指数分布の商, ウィグナー半円分布の商のすべてでバーゼル問題, リーマンゼータ関数に関するオイラー公式が導き出せる. また, ルジャンドル展開の手法でもバーゼル問題が解けることや, チェビシェフ多項式との関連なども論じる.
追記
pekemath2 さんが A probabilistic approach to special values of the Riemann zeta function という論文を引いていた.
@ftksr_sakamuke ちなみにこういうのもあります
http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1590-01.pdf
まだ詳細を追っていないが, これも面白そう.

2013年5月24日金曜日

『伊藤清の数学』がほしい:舟木先生による『伊藤清の数学』の書評


この間ネットをさまよっていたら, 舟木先生による『伊藤清の数学』の書評があった. これ だ. 今度買おうと思うが, とりあえず舟木先生の書評で期待値を高めておきたい.
個人的に特筆すべきは冒頭部の次の記述だ.
ガウス賞は「数学の応用」を対象に ICM2006 において創設された賞であるが, 先生の受賞理由として「確率解析・確率微分方程式の理論の創始, その後の数理ファイナン スや数理生物学への応用」が挙げられている. その最後の部分を引用しておく: 『stochastic analysis is a rich, important and fruitful branch of mathematics with a formidable impact to “technology, business, or simply people’s everyday lives”』 ただし, ここで言う応用は, 先生ご自身の研究という訳ではない. 先生は, むしろ「私が想像もしなかった「金融の世界」において「伊藤理論が使われることが常識化した」 という報せを受けたときには, 喜びより, むしろ大きな不安に捉えられました.」([1], p.135) あるいは「私はこれまでの人生において, 株やデリバティヴはおろか, 銀行預金も, 定期預金は面倒なので, 普通預金しか利用したことがない「非金融国民」なのです.」 ([1], p.137) と述べられ, 応用は必ずしも本意でなかったことを表明されている.
人伝に聞いたことはあったのだが, 実際の文章が殘っているとのことなので, これだけでも本がほしくなる. 私が聞いたのは「経済戦争の道具にされて悲しい」という言葉だが, その辺を確認してみたい.

また次のような記述もあるので, 今度その文献も読んでみよう. 楽しみだ.
先生は, 数理解析研究所講究録に 3 篇執筆されている. それらは本書には収録されていないが, 現在では同研究所のウェブから簡単にダウンロードできる. 特に [2] は若い 方々に一読を勧めたい. また, 先生の追悼号として, [3] をあげておく.