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2014年6月12日木曜日

谷村省吾さんが代数的量子論の本を出すとか聞いたので

谷村さんが代数的量子論の本を出すとか聞いたので.



Perfect_Insider さんのツイートも引いておこう.


作用素環というか表現論というか, そういうのを基本にしたときのメリット,
無限自由度にしたときの話しか知らないので,
量子論一般でのメリットとかそういう部分は知りたい.

2014年6月8日日曜日

作用素環周辺の数学・物理・数理物理の話:表現論とか何とか

久々に物理に近いところの話をしたので.


\(p\) 進大好き bot と.



純粋状態って言うと, 「物理の純粋状態」と「物理の純粋状態 2 つの pairing で表される作用素環の純粋状態」のどっちのことか分からんな.
両者は違うものだよね?


@non_archimedean よくわかっていないのですが後者, 必ず作用素環的な純粋状態になるのでしょうか.
「物理の純粋状態」の定義も気になるところですが


@phasetr 物理の方は物理量を表現する作用素が作用しているヒルベルト空間の正規ケットベクトルのつもりでした.
それのコピーの (と書き忘れました) 2 つのブラケットで表される作用素環の純粋状態とどう対応するのか,
という話ですが, 冷静に考えて GNS 構成がありましたね.


@phasetr 暗に「物理のヒルベルト空間は可分である」ことを課して書きました.
非可分なときも純粋状態が正規ケットベクトルだと思っていいのかよく知りません.


@non_archimedean 適切な回答になっているかよくわからないのですが考えをブログにまとめておきました
http://phasetr.blogspot.jp/2014/05/p-bot.html


@phasetr どうもありがとうございます!
また言葉足らずだったのですが, 僕が作用素環論と比較したのは,
物理量が有界な領域でしか値を持たない状況のみを考えていたからでした.
つまりここで対応する作用素環は物理量が表現する有界作用素が生成する最小の C*環の意味でした.


@phasetr 量子論的には非有界な物理量のほうが自然だと思われますが,
非有界物理量を集めても作用素環にはならないため作用素環的な純粋状態が定義できるかよく分からなかったです.


@non_archimedean 代数的場の量子論の物理サイドの定式化からすると,
実際には有界な範囲でしか観測できないのでその現実を取り入れた理論, と言う言い方をします.
数学的実対応としては \(e^{itA}\) とかレゾルベントを考えることで非有界 (自己共役) 作用素を有界にします


@non_archimedean レゾルベントの方は数年前に Bucholz が少しやり始めましたがやっている人はほぼいません.
指数に載せる方を Weyl 代数といって, いわば代数解析にもある Weyl 代数の無限変数版です.
表現論的に微妙な問題があって同じとは言いづらいですが


@non_archimedean あまり多くはないですが,
定義域などを適当に制御した非有界作用素がなす環それ自体を研究している人もいます
http://kaken.nii.ac.jp/d/r/00161795.ja.html


@phasetr 定義域を制限する定式化もあるのですね!
レゾルベントで非有界作用素を見るのは古典的なボレル関数解析がそうなので結構歴史が深そうですね.
Weyl 代数というのは初めて聞きました.


@non_archimedean 定義域の制限は, 量子力学で言うなら \(C_c^{\infty}\) が大体の作用素の共通の定義域に取れることをイメージしつつ,
場の理論でもある程度そういう風にできる話はあるからそれを使ってやってみようという感じです


@phasetr 「大体の」というところがどことなく深いですね.
物理量はおおよそ可微分緩増加関数や微分作用素の組み合わせになるといった感じの経験則がありそうですね.
(フラクタルのように各点微分不可能な関数に対応するような物理量があっても面白そうですが)


@non_archimedean クーロンポテンシャル \(1/r\) とかレナード=ジョーンズ・ポテンシャル \(r^{-12}-r^{-6}\),
2 体系のクーロン相互作用 \(1/|r_1 - r_2|\) などがあるので微分可能性が必ずしも期待できず適当な特異性を持つことはよくあります


@phasetr あ, それくらいの特異性についてはあまり気にしていませんでした.
実は最近, スピン構造付きリーマン多様体 (≒重力場 + スピン場) を量子化して \(Z_p\) が得られる的な論文を読んでいて,
そこでは可微分関数に類するものがないので物理量が激しくガタガタ動く感じだったので.


@non_archimedean 私の分野だと非有界作用素のさらに無限和 (粒子が無限個あるのでクーロンだとしてもその無限和が出てくる)
とかそういう部分の制御で手一杯で, そこまで突っ込んだことができていません.
あまり面白い方向の話に乗れず申し訳ないのですが


@phasetr さらに無限和ですか・・かなりハードな解析ですね.
それでもとても参考になりました.
ありがとうございます.


あなちゃんと.



そういえば Entanglement Entropy って C^*環の言葉で定義されてるの


@anairetta 調べといて教えてね


@ad_s_c 数学的にも面白そうな気がしますよね. とうことでよろしくお願いします.


@anairetta @ad_s_c http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/~kyodo/kokyuroku/contents/pdf/1859-05.pdf
量子スピン系くらいなら一応あるにはあるらしいですが,
物理で期待されるレベルの理論が展開できているかはかなり怪しいのではないでしょうか.
いつもの話ですが


あなちゃんその 2.



え, 難しいんですか. . .


@anairetta かなり雑ですが少し書いておきました
http://phasetr.blogspot.jp/2014/05/p-bot.html
難しいと言うより物理の定義をきちんとうまく吸い上げられる純粋状態の数学的な定義がよくわからないと言う感じなのではないかと


@anairetta 最近, 田崎さんも論文を書いていたりしますが,
量子統計で純粋な平衡状態とかあるのでそういうのもきちんと勉強しないとアレっぽいと思いつつ全く出来ていないのでうまく説明出来ないのですが


@phasetr 量子統計の方では, 考える環を「マクロ物理量のなす環」に制限すると熱平衡状態が純粋状態として表せる,
という話があると聞き及んでいますが, その時の純粋状態というのはヒルベルト空間の元に対応するもののことをいっているはずで, (つづく)


@phasetr このときは 環が小さすぎるせいで熱平衡状態と区別できない純粋状態を構成できてしまう, ということですね.


@phasetr 数学的にどうなっているのかよくわかりませんが,
たぶん環 \(A\) の \(B (H)\) への表現をとってきたときに,
等価なものの間で \(A\) の純粋状態が \(H\) のベクトル一つでかけたりかけなかったりする, ということだと思います.
たしかに一般の \(A\) にここらへん状況を調べるのは難しいでしょう.


@phasetr 僕が気にしていたのはたぶん環が \(B (H)\) そのものである場合なんだと思います.
その場合には by def な気がするのであのような発言をしてしまいました.


@anairetta ありがとうございます.
量子力学の場合だと環が \(B (H)\) 全体と思ってやってもある程度どうにかなる部分はあるらしいのですが,
場の理論だとそれがまずいとか言う話で, いまだに (私が) あまりきちんとわかっていないと言う状態です


@anairetta 私はあまり一般の環には興味なくて,
具体例に対する環というか表現と言うかもっと強く作用素論に興味があるのですが,
まず最低限必要な基底状態・平衡状態きちんとありますかレベルの研究なので,
そんな詳しい所まで研究進んでいないと言うイメージです


@phasetr 場の量子論だと赤外紫外の正則化がいるので, 簡単にいかないことは想像がつきます.
エンタングルメントエントロピーのほう, 資料ありがとうございます.
こちらは場の量子論の場合は物理レベルでも満足の行く定義がない状態なので数学としてはどうしようもないだろうと.


いろいろ思うところはあるが結局これなのだ.



数論方面と言うか他の分野の数学, 格好いい話がいろいろ出てくるようで羨ましい.
それでも一番知りたい, やりたいのはあくまでも今やっている死ぬほど地味なことだが.
一度気になってしまったらもう駄目なのだ.
そういうものらしいのだ

2014年5月17日土曜日

ほったさんによる量子力学の素敵なトピック集

ほったさんのツイート.



量子力学の教官の方と学生さんに改めて知っておいて欲しいこと.
RT で広めて頂けると助かります.
http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/28/194922
http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/26/061840
http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/03/11/155744
http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/05/094917


それぞれ次のようなタイトルになっている.

  • トンネル領域で粒子を見つけたら, その足らなかったエネルギーはどこから来たのか?
  • 測定時間とエネルギーの測定誤差の間に不確定性関係はない.
  • 摂動論と, "時間とエネルギーの不確定性関係"という名の幻.
  • 波動関数の収縮はパラドクスではない.

トンネル領域の話, 非常に面白いのでぜひ読んでほしい.
それぞれ面白いから, 興味のある記事だけでもぜひ読まれたい.

2014年5月6日火曜日

記事紹介: 「測定時間とエネルギーの測定誤差の間に不確定性関係はない」

ほったさんのツイートから.



ブログ更新しました.
「測定時間とエネルギーの測定誤差の間に不確定性関係はない」. - Quantum Universe
http://mhotta.hatenablog.com/entry/2014/04/26/061840


適当にやってきてしまったところなので, 非常に参考になる.
実にありがたい.

2014年5月5日月曜日

物理の純粋状態と作用素環の純粋状態: $p$ 進大好き bot とのやり取り

長くなりそうなので返答というか考えをブログにまとめる方の市民.
次の \(p\) 進大好き bot とのやりとりなのだが.



純粋状態って言うと, 「物理の純粋状態」と「物理の純粋状態 2 つの
pairing で表される作用素環の純粋状態」のどっちのことか分からんな.
両者は違うものだよね?


@non_archimedean よくわかっていないのですが後者, 必ず作用素環的な純粋状態になるのでしょうか.
「物理の純粋状態」の定義も気になるところですが


@phasetr 物理の方は物理量を表現する作用素が作用しているヒルベルト空間の正規ケットベクトルのつもりでした.
それのコピーの (と書き忘れました) 2 つのブラケットで表される作用素環の純粋状態とどう対応するのか,
という話ですが, 冷静に考えて GNS 構成がありましたね.


@phasetr 暗に「物理のヒルベルト空間は可分である」ことを課して書きました.
非可分なときも純粋状態が正規ケットベクトルだと思っていいのかよく知りません.


私が知っている \(\mathbb{C}\) 係数の作用素環では基礎となる
Hilbert 空間に可分性を課すのでここでもそれを仮定しよう.
むしろそこでしか考えたことがないので, 外れたときに起きる現象は全くわからない.


その上で, 一般的には両者は違うはずだが,
ではどう違うのかというのが (私は) 全くわかっていないという話をこれからする.
特に後者は言明「物理の純粋状態 2 つの pairing で表される作用素環の純粋状態」自体が
正しいのかもよくわかっていない.


それでまず作用素環の純粋状態だが, 作用素環を指定した上でその状態空間の端点という定義なので,
作用素環自体を指定しないと始まらない.
物理の純粋状態, この意味だと数学的な定義は不明といっていい.
ある Hilbert 空間でのケットが「純粋状態」 (線型結合でない 1 つのベクトルとして書ける) だからといって,
それが別の Hilbert 空間で「純粋状態」になっているとは限らない.


有名な例がある.
何でもいいが, 可分な Hilbert 空間 \(\mathcal{H}\) 上のトレース \(\mathrm{Tr}\) を考える.
(いわゆる「有限温度での平衡状態」を考えているといってもいい. )
これは Hilbert-Schmidt 作用素の空間 \(C^2 (\mathcal{H})\) では「純粋状態」として書ける.
もちろん GNS だといってもいい.
そして \(\mathrm{Tr}\) は正規直交系の線型結合になっているベクトルから作れるから,
物理の意味 (先程書いた通り数学的に正確な定義はよくわからない) では「純粋状態」ではない.
ただ, GNS で移った先では物理の「純粋状態」から作れる.
こういう場合の処理のため, 作用素環的な純粋状態は環 (正確には表現か?) をきちんと指定することになっている.


あまりきちんと考えたことがないので,
物理の「純粋状態」から作用素環の純粋状態を構成するためのきちんとした条件と,
その具体例をあまりよく知らない.
Bratteli-Robinson の定理 2.3.19 など,
状態が純粋であることとその GNS 表現の既約性が同値であることくらいは知っているが,
具体的な例できちんと調べたことがない.
物理の「純粋状態」は作用素環の指定なしでやっているので,
その辺をどう思うのかがよくわからない.


これも具体的にきちんと調べたことがないのだが,
平衡状態 (正確には KMS 状態) に関する「端点分解」もよくわかっていない.
通常通り考えている von Neumann 環が単位元を持つことを仮定しておくが,
そのとき KMS 状態全体も凸集合で weak*-compact になる.
つまり KMS 状態内で端点分解できる.
Haag の Local Quantum Physics ではこの端点への分解を
pure phase decomposition と呼んでいるが, これの具体例での検証
(どういう現象が起きるか調べる) をやったことがない.


今更ながらだが, 問題としてどう正確に定式化したらいいのかという部分からして
そもそも難しいのかもしれないし, 問題の立て方もどう立てるといいのかがよくわかっていない.
何というか, 「物理×数学」という非可換代数を想起した.

2014年3月30日日曜日

数理物理の魅力と相転移の魅力: 数学と物理と数理物理と

Ask.fm から.
まずは質問.



二つの質問になってしまいますが,
主観的なもので結構ですので,
数理物理の (特に物理や数学それ自身と比較しての) 魅力および相転移現象の魅力がどこにあると感じてらっしゃるのか教えていただけませんか.


今考えるとあまりきちんと回答していない気もするが
とりあえず回答.


数学と物理, 両方好きで両方やりたいという単純な所です.


もちろんどちらか一方でも死ぬほどきついので,
本当に「研究」しようというなら,
どちらも半端な出来損ないになる可能性を視野に入れつつ
それでも踏み込む決意と覚悟が必要ですが.
もうあまり詳しく覚えていませんが,
相転移は大体田崎さんの影響です.


数学的には「特異性の数理」が非常に好きです.
色々あって学部一年の頃から数学的には超関数だとか
ある意味でかなり特異性の強い数学とずっと戦っていて,
結局今でも「場の理論の超関数論」と銘打って研究しているので
三つ子の魂百まで感あります.


話がずれましたが, 興味だけなら代数幾何の特異点論とか,
ブラックホールだとか, 特異性が絡む話は大体何でも興味があります.
極限で特異性が出てくる現象がとても好きで,
熱力学的極限とそこからの相転移がとても気にいっています.
相転移をやるなら人類が最大精度で扱えるのが
磁性関係だから磁石を扱う方向に行ったと言う非常に単純な動機です.


もちろん水が凍るとかもやりたいですが, アレは即死レベルだし,
シュレディンガーで磁性も即死コンボです.


磁性だととりあえずイジングですが, イジングは
(相対論的) 場の量子論の繰り込み処理との関係もあり,
数学的に量子統計と場の理論の相性がいいこともあって,
手始めにやりやすいところから, と思って
場の理論方面の勉強をしていて, 相転移自体とは
大分離れた赤外発散を修士では主に勉強していたのですが,
修論の為のネタ探しで考えたら一応磁性もできるわ,
と言う感じで磁性 + 赤外発散みたいな
特異性に特異性が重なって死ぬほど面倒臭い代わりに
趣味ばっちりな所を見つけたのでそこで今も
色々やっています.


物理的には素直な拡張でも数学的には全く
別の話を絡ませたりしなくていけなかったり,
逆に数学的には共通部分が多いのに物理としては
ちょっと遠目の所にアプローチできたりするのが
今の分野の面白いところですが,
一旦話が難しくなりすぎて死んだ分野なので,
一般にはお勧めしていません.


ただその分やっている人も少ないので,
すぐに世界のトップ 10 くらいに入れますし,
実際に多少しぼるだけでいわゆる
オンリーワンでナンバーワンにもなれます.


大学のアカポスゲット的な意味でこのご時世に
いい結果がすぐに出る保証は全くできないので,
決しておすすめはしませんが.

2014年3月28日金曜日

量子力学の数学に関する文献など: あとセミナーもしよう

また Ask.fm.
質問はこれ.



量子力学の数学的な基礎を勉強したいのですが,
どのような分野を勉強すれば良いのか教えてください.
ご面倒でなければ参考になる本についても教えていただきたいです.


色々なところで言っていたりするのだから
それ見てよ, という気もするが, 一応回答.



量子力学の数学的基礎も超大雑把に言って,
作用素論系と偏微分方程式系に別れるような感じがあります.


私がやっているのは作用素論・作用素環系ですが,
それについては例えばニコ動に置いてある http://phasetr.com/services/niconico/
量子力学・量子統計周りの話を眺めてみて下さい.


参考文献ですが, 作用素論系では
http://phasetr.com/services/references/ にある
新井朝雄先生の本がベストです.


微分方程式関係だと Lieb がリーダーです.
Lieb-Loss の Analysis が基本的な文献と言っていいでしょう.
量子力学というより量子多体系, 量子統計の色彩が強いですが,
The Stability of Matter in Quantum Mechanics もお勧めです.
ちなみに両方とも新井先生の本ほど簡単ではありません.
とくに Analysis は関数解析くらい知っている, と思って
読んでいると痛い目を見ます.


色々な不等式の最良定数評価がかなり早い段階から出てきて,
前から順番にきちんと読もうと思うと 3 章が
最良定数含め, とてもきついです.
面白い本ではあります.


あと, 作用素論との関係が強い (作用素論的性質の解析に使う) という
イメージがあるのですが, 確率論からのアプローチもあります.
これも新井先生の本をまず読むのがいいです.
その次は Simon の本あたりでしょうか.


場の理論に行くなら Betz-Lorinczi-Hiroshima を読まねばなりませんが,
これはかなりきついです.
確率弱者の私は読めません.


関東近郊の方なら適当にゼミやるのに誘って頂ければ,
話す方含め相談のります.


Twitter でもいいですが, メール phasetr@gmail.com にでも
適当にご連絡・ご相談頂ければ.


メルマガの方で時々触れることを考えているので,
ご興味ある向きは ここから 登録されたい.

2014年3月22日土曜日

楕円型正則性と水素原子の量子力学

こんな下らないことを呟いていた.



地味で清楚系と思っていた楕円型非線型偏微分方程式の解が実は解析的にめちゃくちゃ特異的で騙された


よく知らないが, はてなの匿名ダイアリーとか何とかいうのでまた異常者が湧いていたらしく,
それに憤慨している方々がいた.
そこの流れを見てのことだ.


それについて こんなコメント がついたので.



いや, それ自明…


@world_fantasia http://en.wikipedia.org/wiki/Elliptic\_operator#Elliptic\_regularity\_theorem
楕円型正則性を背景にしたネタです.
私が知っているのは線型の方の楕円型正則性で非線型の方はよく知らないのですが


@phasetr なるほど, 分からん.
かいつまんで言えばある物理的条件のもとで連立非線形偏微分方程式を解くというのが私の修論だったんですが,
解析解が出そうででなくて苦しかった


@world_fantasia 簡単にいうと, 楕円型の方程式の解は 2 回微分可能であれば十分なわけですが,
実際に解の性質を調べてみると 2 回よりも多く微分出来て,
場合によっては無限回微分可能, さらには実・複素解析的になることすらあると言う話です


@world_fantasia 具体例としては複素解析関数です.
コーシー・リーマンの方程式からラプラス方程式 (一番単純な楕円型) の解になることが分かりますが,
コーシー・リーマンがバックにあるならこれが複素解析的 (実部・虚部だけならそれぞれ実解析的) なのでそんな感じの話です


@phasetr あ~, なるほど.
わざわざ具体例まで挙げていただいてどうもありがとうございました


@world_fantasia あと全くの別件ですが, 解析解というの, 多分物理ジャーゴンで数学の人には通じないです


@phasetr それは興味深い.
まさか解析解が物理語だったなんて今の今まで全く知りませんでした


@world_fantasia http://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%A7%A3%E6%9E%90%E7%9A%84
【解析解: 問題が「解析的に解ける」とはその解が既知の函数や定数などを用いて閉じた形の式に表せることを言う】と言う感じの使い方と思いますが,
数学でこういう使い方見たこと聞いたことないですね


@world_fantasia 【解が (実・複素) 解析的である】とかいうのはもちろんしょっちゅう使いますが


@world_fantasia もう一つついでに楕円型正則性についていうと, 水素原子のシュレディンガーが特徴的です.
楕円型正則性を議論するのには係数関数 (今はポテンシャル) の正則性も効いてきます.


@phasetr 言われてみれば確かに物理数学の教科書でも解が解析的あるって表現はよく見かけますが「解析解を求める」なんて文章は読んだ覚えがないな…なるほどなるほど


@world_fantasia 水素原子は厳密解が出ますが, ポテンシャルの原点特異性を解も引き継いでいます.
一方でポテンシャルは原点以外で滑らかですが, 解も同じく滑らかになります.
もちろん一般にはラプラシアンの係数関数 (実際は定数) の滑らかさも当然効きます.
そういう話です


@phasetr うおー, 段々私の学力じゃついていけなくなってきたぞ.
水素原子のシュレーディンガー方程式とか厳密に解ける唯一の例っていう程度の認識しかなかった….
数物は難しいのう


@phasetr とりあえず貴方様が何故「楕円型」を連呼するのか何となく分かった気がします


ちなみに, 楕円楕円と言い出したのは宇宙賢者だ.

2014年2月2日日曜日

学習院での江沢洋先生の講演会「Bohr の原子模型:革命から百年」に出席してきたので

学習院での江沢先生の講演会に出てきた. なかなか面白かった. 江沢先生だけでなく, 早野先生の初観測に成功したのも収穫だった. 早野先生と私, 2 人だけ和服だったので勝手に親近感を覚えてきた方の市民だった.
田崎さんによる江沢先生の紹介で次のコメントが爆笑だった.
英語もドイツ語もフランス語も読み書きでき, 科学のあらゆる分野に精通している. 習わなかったのは時間を守ることだけ. 前回仁科の講演会で喋りきれなかった部分まで含めて今回喋ってもらおうと思って企画した.
話としては 1913 年の Bohr の論文を振り返ろうという話だった. Bohr の論文は今から見ると非常に革命的だったが, それは当時ではどうだったのかという話が展開された. 以下感想を書くが, 私が講演内容を勘違いしている点などもあるかもしれない. 間違ったことが残り続けるのは死ぬ程恥ずかしいので, 何かあればご指摘頂ければ幸いだ.
よく 1905 年, 奇跡の年の Einstein の光量子・光電効果論文が革命的といわれる. 当時としては Einstein も駆け出しで誰もまともに話を聞くわけがない, というあたりからスタートした. (実際にはその前に 1900 の Planck の話もしている. ) よくある「教科書のように綺麗に話が進んだわけではない」という系統のアレだ.
1913 年に当時物理が盛んだったイギリスはケンブリッジ, Thomson のところに渡ったそうだ. デンマークは当時物理的には田舎だったそうだが, 現在のデンマークはどうなのだろう. Thomson は忙しくて相手にしてくれなかったのでマンチェスターの Rutherford のところで実験をやったらしい. 原子の太陽系モデルの提唱者だから, それでその辺の原子構造への関心が生まれたとか何とかいうことだった. この実験的な研究で色々な原子内の電子数を測定する仕事をしたらしい. 原子内電子数の測定というの, 周期表の時点で既にかなりよく分かっているのだと思っていたので結構びっくりした. 実測ということになるとまだまだだったということだろうか. たった今頭をかすめた質問なのだが, 聞いておけばよかったと後悔している. 江沢先生に会う機会, そうそうあるものではないし.
メモが雑で泣いているが, 同僚の Hansen から Balmer 公式 (1884 明治 17 年) を導出するという問題を出されたらしい. Ritz の結合原理 (1908) 年をどう出すかという話で色々あったとのこと. 当時未発見の Lyman 系列も予言していたりと刺激的な予想だったのだと思う.
Bohr は Ritz の結合原理と光量子と結び付けた.
これ自体は Planck もやったそうだ.あまり考えたことがなかったが, エネルギー保存の式というのを聞いて「ああそうか」と.
追記
田崎さんから次の指摘を受けた.
@phasetr 「これ自体は Planck もやったそうだ. 」は違うと思います. P がやったのは, (調和振動子の) 準位間の遷移でのエネルギー差と光子の振動数を結びつける部分で, それを水素原子のスペクトルと結びつけたわけではないとぼくは理解しました.
何と書き直せばいいのか分からず, 一方で田崎さんのコメントで十分んだろうと考えて上の記述は単純に削除とした.
追記終わり
水素原子の話に移っていく. 今回の Bohr の話では水素原子でないと成り立たない話がたくさんあったようで, 「自然は教育的である」ということがたびたび強調されていた. 原子内電子のエネルギーの式 (\(n^{-2}\) に比例) は正に水素原子の束縛状態のエネルギーだし, 確かにそうか, という感じはある. あとでふと思いついたので講演後に「水素原子でうまくいって He や Na の話があったはずだが, それにあまり触れなかったのは何故か. 実際にあまり研究されなかったのか. 研究されていてうまく行っていなくて Bohr の話だけがうまくいっていたということか. 上手くいかなかったとしたらそれは何故か」などと質問した. 理由はフェルミオンの統計性が本質的に効いているからだ, それはきちんと話した方が良かったかもしれない, とのご指摘を頂いた. He や Na の話に行かず水素原子でだけ色々うまくいっていたというのが非常に面白い.
前期量子論というか半古典論というか, あの辺は本当に頭がおかしくて凄い. 一方で, 悪戦苦闘の様が後世まできちんと殘っていてそれ自体が現在の教育にまで本当に顔を出しているというのは本当に面白い. 教官陣も皆面白くかつその悪戦苦闘の様を伝えることにも教育的効果はあると思っているのだろう. 確かに面白いが, その辺の話をしているといわゆる論理的一貫性とでもいいような要素は少なくなるし, 時間的にも講義で触るのは厳しくなる. その辺をどうカバーするのか, きちんと考え直した方がいいような気もする. 観測というか量子情報関係, 最近の, 少なくとも物理学科の量子力学ではどのくらい触れられるようになっているのだろう. そういうところも無性に気になったがあまりどうしようもない感ある. とりあえず自分は数学の方で色々頑張ろう.
田崎さんが角運動量に量子条件がかかるところで定数のファクターに \(2\pi\) がかかるのは何故か, という質問をしていた. 詳細を省いているので, ブログを見ている人にはこれだけだと何のことやら的なアレだろうが, とにかくこう色々あった. 実験データの誤差とかある中で何故ファクターを \(2 \pi\) に置いたのか, 調べてもあまり出てこなかったようで, 結構謎らしい.
Bohr の革命的な点として定常状態や量子遷移があげられていた. 確かに革命的というか頭おかしい. 具体的には下記のような点だ.
定常状態.
  1. 初期条件に応じて運動は様々: Newton 力学を否定.
  2. 電荷が加速度運動すれば輻射を出す: Maxwell を否定.
量子遷移:
  1. 輻射の振動=波源の力学的振動数, Maxwell の否定.
  2. 因果律の否定: 電子は予め行き先を知って輻射の振動数を選ぶ? どの準位に行くのかのか理由がない.
    1. Rutherford (1913), 寺田寅彦 (1924) に指摘した問題.
改めて見るとやはり大分頭おかしい.
早野先生が写真を上げていたが, Ehrenfest が爆笑コメントを出している. 早野ツイートをリンクしておこう.
  1. https://twitter.com/hayano/status/429478315359883264
  2. https://twitter.com/hayano/status/429490935919951872
  3. https://twitter.com/hayano/status/429491436128440320
1913 P. Ehrenfest: 「これが理論なら私は物理をやめる. これは怪物だ (1916) 」
P. Ehrenfest (1918): Bohr 理論の熱烈な支持者になる.
Ehrenfest, 断熱定理などで色々試行錯誤した結果, 結局 Bohr 理論の支持に回ったという話だった. ただ, 断熱定理が成り立つのは前期量子論・半古典論の枠組みの中だけであって, 完成された量子力学ではまるで成り立たないのも示唆的という話を田崎さんあたりがしていた.
Langmuir の実験値に関する話も面白かった. メモしていなくてしかも忘れてしまったのでアレだが, ある物性の測定値があったそうだ. Bohr の計算結果と合わなくて (2 倍程度のずれがあった) Langmuir が測定し直したところ, Bohr の値に近い値が得られ, Langmuir が Bohr を賞賛したという話. ただしその後, 裏話として実際には Langmuir が先に得ていた値の方が正確な値に近くて, 色々な歴史的経緯というか勘違いというか, そういう要素も色々働いていたということだった. 江沢先生から「ここから得る教訓として, 理論家は実験家を信用してはいけない」という話をされていて会場の笑いを誘った.
Sommerfeld の量子条件の拡張で, Bohr は終始円軌道でやっていたようだが, Sommerfeld は楕円軌道に拡張した, という話をしていた. そういえば Coulomb に従っているなら楕円軌道であるべきなのに何故か量子力学の本では円軌道しか見ない. Sommerfeld は軌道が閉じない相対論的な電子論でも使えるように議論していたらしく, なかなか凄いことをしていたらしい. ここで「 Bohr が円軌道だけ考えて正しい \(E_n\) を出した理由: 自然は教育的」という今回何度も出てきたフレーズが出た.
色々飛ばすが, 革命後の量子力学ということでいくつかまとめが出た. 冷静に眺めると (古典論からは) 大分頭おかしい.
de Broglie の物質波も大分アレという話になった. そういえば de Broglie の物質波, 結局どういう話なのか正確に理解していないことを今回改めて思い知らされた. 勉強しないといけないのだがさぼりまくって今にいたる.
また, Schrodinger のセミナーで Debye による次のようなコメントがあったという. 「位相はあるが振幅がない. 」 「波動の話をしているのに波動方程式がない. 」 「こんな議論は Child play である. 」 これに応えて Schrodinger 方程式を出したとかいう話もでた.
井戸型ポテンシャルだと Bohr の理論は全然使えないので, 水素原子で議論していたのはいわば幸運でここでも「自然は教育的」という言葉が飛び出た. これも実際に質問したのだが, 井戸型ポテンシャルがいつ頃から出てきたかという話で, 1926 年とかそのくらいから既に出ていたらしい. 普通の物理の本だと何の前触れもなくぽんと出てきてトンネル効果と絡めて出てくるか, こんな頭おかしいのが何でどうして物理学に出てきたのかよく分からなかったので, 追加で江沢先生に聞いてみた. 不勉強なもので知らなかったのだが, Gamow が 1926 年頃に \(\alpha\) 崩壊の理論を提出していて (有名らしい), そこでいわゆる井戸型的なポテンシャルを議論していたので結構古くから議論はあったらしい. 井戸型のところを原子核と捉えて考えるというコメントを頂いた.
あと質疑応答も活発で色々面白かったが, Bohr が量子論に行ったきっかけとしての Bohr-van Leuuwen の定理への言及があった. Bohr-van Leuuwen の定理は知っていたが, Bohr が古典論の限界を認識したポイントの 1 つとして認識したことはなかった.
追記
ピカチュウパイセンから次のようなコメントを頂いた.
  1. https://twitter.com/aki\_room/status/430126562323615744
  2. https://twitter.com/aki\_room/status/430126924262699008
  3. https://twitter.com/aki\_room/status/430127138268651521
@phasetr 講演会の最後は 1925 年の行列力学と, 1924 年のドブロイ波・ 1926 年のシュレーディンガー方程式でしめられていたけど, 水素原子のレンツベクトルに関するレンツの仕事は 1924 年らしく, どういう風にやったのかちょっと気になった.
@phasetr フランクヘルツから行列力学までの 10 年間くらいはかなりアツい 10 年だったのではないかと思う. その後の進展も面白いけど, 1925-26 で一段落なのではないかと思っている.
@phasetr なお, レンツベクトルに関するレンツの仕事は 1924 年らしく, というのは, この pdf http://maildbs.c.u-tokyo.ac.jp/~kuniba/atsuo/LRLvector.pdf を参照.
追記終わり
あと, 折角だと思ったので田崎さんと江沢先生に献 DVD してきた. 田崎さんはともかく, 自分野の超大御所である江沢先生に DVD 渡してくるというの, 無謀力溢れる. ピカチュウパイセンからも次のようなコメントを頂いた.
相転移 P が田崎さんに DVD 渡しているのを見た時には「よくやるなぁ」くらいの感想だったが, 江沢先生にも渡しているのを見て「おぉ……よぉやるなぁ……」くらいの感想になった.
@aki_room その後, 田崎さんが江沢先生に相転移 P を紹介していたけど, 流石に「この人は相転移 P と言いまして…」という紹介でなかったのでなんかちょっと安心 (?) した



楽しかった (完).
追記
田崎さんからもコメントがあった.
"@aki_room 相転移 P が田崎さんに DVD 渡しているのを見た時には「よくやるなぁ」くらいの感想だったが, 江沢先生にも渡しているのを見て「おぉ……よぉやるなぁ……」くらいの感想になった. "
おれも.
市民は無謀力が違う.
追記終わり

追記
田崎さんのツイートから江沢先生のスライド公開の案内が出ていた.
【江沢洋先生講演会】 Bohr の原子模型:革命から百年 2 月 1 日の講演会の案内ページを簡単な記録のページに書き換えました. 江沢先生にお願いして, 講演スライドも公開! http://www.gakushuin.ac.jp/~881791/events/Ezawa20140201.html
早速スライドもダウンロードしておいた.

2014年1月28日火曜日

Steven Hawking, Information Preservation and Weather Forecasting for Black Holes

Hawking が「ブラックホールは存在しない」といいはじめたとか何とか.
ホーキングが「ブラックホールは存在しない」と言い始めたそうです。 あるいはブラックホールに事象の地平も特異点もない、と。 Nature News | Stephen Hawking: 'There are no black holes' http://bit.ly/KUuVKP
気になる人は arXiv にある論文を読んでみよう. アブストを引用しておく.
It has been suggested that the resolution of the information paradox for evaporating black holes is that the holes are surrounded by firewalls, bolts of outgoing radiation that would destroy any infalling observer. Such firewalls would break the CPT invariance of quantum gravity and seem to be ruled out on other grounds. A different resolution of the paradox is proposed, namely that gravitational collapse produces apparent horizons but no event horizons behind which information is lost. This proposal is supported by ADS-CFT and is the only resolution of the paradox compatible with CPT. The collapse to form a black hole will in general be chaotic and the dual CFT on the boundary of ADS will be turbulent. Thus, like weather forecasting on Earth, information will effectively be lost, although there would be no loss of unitarity.
Skype ミーティングから起こした文章のようで, 式はない. 式がないから簡単とか気が狂ったようなことをいうつもりはないが, 4P しかないし, 興味がある向きは読んでみるといいだろう. 私もそのうち読んでみたい.

2014年1月25日土曜日

ぞみさんのツイートから: 量子力学と作用素論, 特にスペクトル理論と自己共役性

ぞみさんのツイートを見たので.
ラプラシアン作用は座標に依存しないはずなのに, シュレーディンガー方程式を解くと 2p 軌道で軸が出てくる. これは求解過程で (特に変数分離?) 適当な回転変換を施しているということかな.
@zomi1202 どんなポテンシャルを仮定しているかによりますが, ハミルトニアンの対称性が解にも反映されます. http://www.amazon.co.jp/gp/product/4535784663/ref=as\_li\_qf\_sp\_asin\_tl?ie=UTF8&camp=247&creative=1211&creativeASIN=4535784663&linkCode=as2&tag=phasetr-22 が参考になるでしょう. 2/14 のセミナー自体ではあまり触れる余裕はなさそうですが, 何かあれば直接でも聞いて下さい
@phasetr 突然解に対称性が消えて驚いてしまったので, どこで置き忘れてしまったのか探してみます. ありがとうございます.
紹介した本はこれ.
追加の疑問があった. Twitter だと細切れになるので, ブログにまとめておこう.
ハミルトニアンって固有方程式解いてみたら固有空間同士が直交してる (よね?) けど, 何かユニタリーとかエルミートとか内積と相性の良い性質でもあるの?
@zomi1202 演算子は全部エルミート (じゃないと観測値で実数以外がでる)
@dream_taro それって固有値が実数だからということ? 関数空間の内積の定義である, 積分から直接示せるのかな?
@zomi1202 量子力学の公理で固有値が観測される, っていうのがあるので固有値実数じゃないとまずいよねということ.
どこを話の基点にするかという話がまずある. やりはじめると大変なことになるので, 適当に単純化したうえでうるさいことも書いていく.
ハミルトニアンって固有方程式解いてみたら固有空間同士が直交してる (よね?) けど, 何かユニタリーとかエルミートとか内積と相性の良い性質でもあるの?
今度の 2/14 Lieb-Loss の Analysis セミナーでも少し話すが, うるさいことをいうと固有値があるとは限らない. 例えば全空間 \(\mathbb{R}^n\) で考えたときの Laplacian は固有値がない. 固有値が複数あるときにそれぞれの固有関数自体は直交している. (固有空間が直交とはあまり言わない. ) Hamiltonian の Hermite 性についても面倒な話がある.
@zomi1202 演算子は全部エルミート (じゃないと観測値で実数以外がでる)
@dream_taro それって固有値が実数だからということ? 関数空間の内積の定義である, 積分から直接示せるのかな?
@zomi1202 量子力学の公理で固有値が観測される, っていうのがあるので固有値実数じゃないとまずいよねということ.
数学的には線型作用素には Hermite 性, 対称性, 自己共役性という分類がある. 線型代数だと対称作用素は「実係数のときの Hermite に対応する性質」という感じの定義だが, ここではそういう使い方はしていないことに注意してほしい. ちなみに関数解析 (作用素論) でも文献によって微妙に定義が変わる場合がある. 私の使い方は新井先生の本の定義を使っている.
その上で, 対称作用素ではなく自己共役作用素である必要がある. 固有値という言い方も不正確で, 実際には「スペクトル」という概念の中で話す. 固有値は固有値で当然大事なのだが, 「固有値に対応する固有関数で表わされる状態は安定」という物理的な解釈がある. 不安定な状態はともかく, その Hamiltonian に従う散乱状態をどう見るかというところで, 固有値以外のスペクトルに属する (言い方不正確) 状態を考える必要があり, その部分まで考えたいので固有値を一般化したスペクトルという概念を準備する必要があるのだ. この辺, 量子力学まで突っ込んだ話は無理にせよ, 3 月の Lebesgue ・関数解析・作用素論セミナー (予定) で少しは触れたい. 次の本を参考にしてほしい.
あと, (閉) 対称作用素と自己共役作用素はスペクトルに決定的な違いがある. 閉対称作用素のスペクトルは次の 4 つのどれかになる. (証明は新井先生の『量子現象の数理』を見よう. )
  1. 上半平面全体.
  2. 下半平面全体.
  3. \(\mathbb{C}\) 全体.
  4. 実数の閉部分集合 (自己共役).
最後のはともかく, 上の 3 つが凄まじい.
@dream_taro それって固有値が実数だからということ? 関数空間の内積の定義である, 積分から直接示せるのかな?
これが数学的には微妙で, 積分から示せる範囲の話ではいいところ対称性までしか言えない. 自己共役まで示したいとき, 論文レベルの対応が必要になると思ってほしい. 既に分かっている作用素, 有名な作用素については上記の本にも証明がある. 結構大変だ.
この辺もきちんとやるととても面倒.
\(\int \phi \phi^* dV\) が収束することから無限遠方で \(\phi\) は 0 で, これと部分積分を使えばハミルトニアンがエルミートなのは示せそうだな.
積分が収束しても無限遠で \(\phi \to 0\) は言えない. \(x = n\) のところで幅 \(1 / n^4\) で高さ \(n\) を考えると, これは 2 乗可積分だが \(x = n\) のところではどんどん高さが高くなる. 私が学生時代, 先輩に指摘された例だ. 頑張って反例を作ろう.
Hamiltonian が「Hermite」であることをいうのは大体できる. 物理の本ではふつうそういう議論をしている. 数学的には死ぬ程面倒だが.
需要があるなら今度セミナーしよう.

2014年1月18日土曜日

書評または感想: 数学セミナー 2014年 01月号 グラフ理論の新展開

数学セミナーを定期購読することにしたのだが, 時間が取れずにようやく 2014/1 月号を読んだ方の市民だった.
せっかくなので感想をまとめていきたい.
まず冒頭, 時枝正さんの「無理な数のこしらえかた」が恐しく面白かった. 素数定理, \(\pi(x) - \int_0^x \frac{d\xi}{\log \xi}\) は \(x \to \infty\) で無限回符号を変えることを 1914 に Littlewood が示したらしいのだが, その証明が面白い. 次の 2 ステップで証明しているそうなのだ.
  1. Riemann 予想を偽としてその仮定から結果を導く.
  2. Riemann 予想を真としてその仮定から結果を導く.
結果として Riemann 予想の真偽に関係なく結果を導いているという. これと \(\sqrt{2}^{\sqrt{2}}\) の無理性証明を比較してうんぬん, とやっていて面白いから是非読むべき. ここからさらに零知識証明と暗号理論への応用の話題になる.
今回の特集はグラフ理論だ. 4 色問題が有名なアレだ. ネットワークの問題や, 最近だと Nobel 経済学賞になった Gale-Shapley のマッチング理論などの話題もある. 東大教養の垣村尚徳さんの記事によれば理論計算機科学, トポロジー, 数学基礎論への影響もあるらしい. トポロジーと言えば, 情報技術者とかその辺の資格試験にもネットワークのトポロジーという話題は出てくる. 私の近いところだと, 作用素環でもグラフから作る作用素環という話題がある. 研究していた先輩もいたし, 慶應の勝良健史 さんもやっていたはずだ. (今やっているかは知らない. )
国立情報学研究所の小関健太さんの記事によると, 4 色問題のバリエーションも色々あって, 特に 3 色問題というのもあったり, 最近弱 3-flow 予想というのが解決されたというニュースがある. Thomassen の話題がちょろっと紹介されているが, 非常にスマートな証明を与える優れた数学者とのこと. 格好いい. 数学セミナーの執筆者の所属に「国立情報学研究所」が出てくるあたり, グラフ理論の展開の広さを伺わせるようで面白い.
琉球大の徳重典英さんの【セメレディとその周辺】という記事, 数学者のエピソード系記事とも言えるのでそれだけで特記する価値がある. Szemeredi は 2012 年に Abel 賞を取ったとのことだがそんな有名人も知らない無知無学無教養な市民だった.
東工大の松井知己さんの【安定マッチング問題の応用 嘘をつく人々】にはこう色々と興味がある. Nobel 経済学賞関連の 1962 年の Gale-Shapley 論文の安定結婚問題とかその辺の話. ところで次のような記述があった.
1962 年の Gale-Shapley 論文では, この話題が数学教育において優れた教材であると述べられている点でしょう. 複雑な数式や前提知識が不要なのに, 数学的に奥深い構造を持ち, 現実にも応用を持つ安定結婚問題は, 高校生にも初見から興味を持ってもらえそうです.
この観点はなかった. 今度きちんと勉強しよう. 何か良い本ないだろうか. この記事, 参考文献などは 2013/4 の安田さんの記事を参照しているが, 手元にないしすぐ見られる環境でもないので困る. 日本評論社に参考文献一覧みたいなのないだろうか. あと, (PDF で) 数学セミナーの電子書籍ないだろうか. 個人所有で本のままだと置くスペースとか困る. 日本評論社の方は是非検討されたい. 過去のものも是非電子書籍化してほしい.
Gale-Shapley はいわば【男性の選好を優先するアルゴリズム】を作ることで安定マッチングの存在とその具体的構成までやった. Gale-Shapley の問題では男女は対称なので, 【女性の選好を優先するアルゴリズム】と言ってもいい. ここで問題なのは, 男女が正しく自分の選好を申告することが肝要だった. 3 節の【安定マッチングの構造】で議論されている. ここでは「嘘の選好リスト」を出されたときの問題があり, Nobel 賞になったときに少し勉強したところによるとこれが現実への応用上とても大切になるという話が展開される. 何で嘘をつくかというと簡単で, 例えば受験で「本当の第一志望は東大だがそれは色々と無理なので第一志望は早稲田にした」みたいなケースを想定すればいい. 真の選好を出さない状況は色々あり, その中で安定マッチングを作るのが難しくかつ価値がある. 話のネタとしても面白いだろうから, やはりグラフ理論というかマッチングの話はきちんと勉強したい感ある.
名大の伊藤由佳理さんの【第 16 回 ヨーロッパ女性数学会総会に参加して】は相転移プロダクションの活動的に非常に興味がある. 紋切り型に言えば「女性の就学・研究支援」のようなものだ. 詳しくは記事を参照されたいが, 来年の韓国での ICM の直前に 国際女性数学者会議 (ICWM) もあるとのこと. 「この記事を読まれた方は, ぜひ周りにいらっしゃる女性数学や女子学生にお知らせください」とのことなので, 私も宣伝協力していきたい.
名大の小澤正直先生の【量子測定の数理と不確定性原理 (10) 不確定性原理と相補性原理】, 不勉強なので知らなかったのだがびっくりした記述があった.
一般に二つの物理量の値に関する「同時測定可能性」と「同時定義可能性」, および二つの物理量の作用素としての「可換性」の三者の概念が互いに同値だと考えられてきたからである. ところが, 新しい不確定性関係の発見によって, 非可換な物理量の同時測定可能性が明らかにされ, 「二つの物理量の値の同時測定可能性」と「二つの物理量の作用素としての可換性」が同値な概念ではないことが明らかにされた.
ちょっと認識を改めないといけない. 勉強しないとまずそう. 量子集合論とか出てくるそうなのでつらい.
明治の阿原一志さんの【サーストンの描いた 8 つの宇宙の絵】冒頭部, とてもよい.
2010 年 3 月 5 日パリ, 三宅一生氏が立ち上げた世界的ブランドである ISSEY MIYAKE の 2010 年秋冬コレクションが, 当時クリエイティブディレクターだった藤原大さんの手によって華やかに行われました. コレクションのタイトルは「ポアンカレ・オデッセイ (Poincare Odyssey)」. ポアンカレ予想とサーストンの 8 つの幾何学 (幾何化予想) をテーマとしてこのコレクションはファッションと高等数学の幸福な出会いとして, 欧米でとても評判になりました. このことについて, 本誌 2010 年 6 月号「パリコレで数学を」と 2010 年 8 月号「宇宙の形と質感をめぐる冒険」で紹介されましたので, ご存知のかたも多いと思います.
JosephYoiko さんに教えてもらったアレか. こういうの, 私も私なりのやり方でやっていきたい. あとこの過去記事読みたい.
この記事によると, ジオメトリーセンターによって作られた「not Knot」とかいうビデオが Youtube で公開されているとのこと. あとでじっくり見たい.
  1. http://www.youtube.com/watch?v=AGLPbSMxSUM
  2. http://www.youtube.com/watch?v=MKwAS5omW\_w
インタビューの【実験を通して, 現象を数理的に考える】, 明治の矢崎成俊さんの話, 超面白い. 関西すうがく徒のつどいでも【偏微分方程式の逆問題–拡散方程式の数学と物理と工学】で関連する話題に触れたが, やはりこの辺結構好き. この記事では移動境界問題に触れている. ラーメンの汁の表面に浮いている油の玉がくっついて境界の形が変わる, というような現象を扱うのが移動境界問題だ. 以前【自分でつくる現象数理】という連載があったようだが, これ読みたい. 何かムック的なアレでまとまっていたりするのだろうか. 著作権も考えつつ出版社的にきちんとした形にまとめようとすると大変なのだろうというのは簡単に想像がつくが, 不完全な形でもいいから何かほしい.
【雪氷数学】というキーワードが出てきた. 是非頑張ってほしい. 話聞きたい.
本連載のインタビューの模様を, 2014 年 1 月より順次 web 配信する予定です. 放映日時など, 詳しくは『数学セミナー』web ページ (http://www.nippyo.co.jp/blog\_susemi) にあります『詳細情報』をご覧ください.
こういう取り組みすごい良い. 私もこの活動, 注視していこう.
山形大の脇克志さんの【数の拡大:直線の中の 3 次元空間】, SF チックで面白い. こういう発想大事にしたいし, 自分でもきちんとやっていきたい. あまりきちんと考えたことなかったが, \(\mathbb{Q}\) 係数のベクトル空間, もっとちゃんと考えたら楽しそう.
梅田享先生の【森毅の主題による変奏曲】, これが滅茶苦茶面白い. 全文引用したいレベル. これだけでも買う価値があるレベル. 位相と実関数論, コンパクト性を基軸にした位相空間論とかないの, という無茶ぶりとか書きはじめるときりがない. 全国紙上数学談話会 のリンクのメモだけしておこう.
数セミメディアガイドのページ, 何か告知にも使えるのだろうか. 今後利用を検討したい.

2014年1月16日木曜日

Lieb-Loss Analysis の 11 章を読むセミナーを東京近郊の大学で 2 月頃にやるので興味がある向きは問い合わされたい

yuki_migo さんとセミナーをしようという話があるので, とりあえず告知的なことをしていきたい. 下記の本, Lieb-Loss の Analysis, 11 章の始めから 11.14 くらいまでをやる予定. 2 月のどこかで東京近郊のどこかの大学でやる予定なので, 興味がある向きは問い合わされたい.



Schrodinger 周辺の話だが, 量子力学の知識は特に仮定しない. 物理に関して必要なところは補足する.

解析系の数学科学部 4 年くらいなら十分理解できる内容で, 本来の想定としてはそこに向けて話す. ただ, 本質的に使うのは微積分の計算であってあと大事なスパイスとして関数解析の基本定理を酷使する. 参加者の学年次第だが, 学部 1-2 年の学生が Lebesgue 積分や関数解析の応用面を知り, そこへの学習のモチベーションになるようにもしたいと思っている. ちなみに Lebesgue と関数解析と作用素論のセミナーを 3 月にやる予定なので, その前哨戦と言ってもいい. こちらについても参加されたい方は問い合わされたい.

基本的には本に沿って話をするが, 私の専門が作用素論方面ということもあり, 量子力学に関する作用素論展開と実解析的展開の物理的な見方的なところも多少話す. イントロでは, 確率論との関係や, 量子力学の他の話題, 幾何との関係なども多少話して, 分野的にこの辺の宣伝もする予定だ. 本には書かれていない点でいくつか面白いところは適宜補足していくので, 量子力学周辺の数学に興味がある向きは是非参加してほしい.

2014年1月12日日曜日

Navier-Stokes 解決? 続報を期待

ミレニアム問題にもなっている Navier-Stokes 方程式問題の解決がアナウンスされたようだ.
カザフスタンの学者 数学における七大難問の一つを解明 http://japanese.ruvr.ru/2014\_01\_11/127091047/
この辺の有名問題の常として, 本当に解決されたかは今のところ不明だ. とりあえずこれについては解決それ自体よりも, これが解決されると何が嬉しいのかとかそういうことが知りたい. これの証明に使われた技術が凄い役に立つとかそういうロマンのある話が聞きたい.
FN365 さんが東北大の小園英雄先生による 2010 年時点での解説 PDF を紹介していた.
Navier-Stokes 方程式に関するクレイ研究所のミレニアム問題の解説 2010 年 (東北大学小薗先生) http://www.fluid.sci.waseda.ac.jp/crest/KozonoSeminar.pdf
URL が早稲田になっているが, 早稲田は流体力学の数理のスタッフが充実していて世界的な拠点を形成していると聞いている. 上記 PDF からいくつか引用しておこう. 興味がある向きは詳細を直接 PDF を参照されたい.
ミレニアム問題. 任意に与えられた初期値 \(a\) に対して, (N-S) は時間大域的な一意正則な解 \(\{u, p\}\) を有するか?
P2 最後に記述があるが, 弱解は Leray が示していたらしい.
弱解の一意性と正則性が成り立つことを保証するものとして次の定理がある. (中略) 関数空間 (2.3) はセリンのクラスと呼ばれている([22]). 残念ながら, (2.3) は弱解のクラス (2.2) よりは狭い.
弱解も一応一意性と正則性が示せているらしい. 弱解からのアプローチ, 問題は弱解が (2.3) に本当に入るかどうか, というところになっているのか.
(N-S) に限らず, 一般に非線形偏微分方程式が与えられたとき, その方程式に固有のスケール不変な関数空間で解を考察することの重要性が経験的に知られている. これを藤田・加藤の原理という.
このような \(X\) として,藤田–加藤 [8] は \(X = \dot{H}^{1/2}\) ととり, \(a \in \dot{H}^{1/2}\) であれば (N-S) に時間局所的な強解が一意的に存在することを示した. (中略) 藤田, 加藤両博士のナヴィエーストークス方程式に関する造詣の深さを物語っている. 実際, この論文 [8] が 20 世紀後半から今日に至るまでに非線形偏微分方程式の研究に与えた影響は計り知れない. ここではまず, その後に改良された以下の定理を紹介しておこう.
藤田・加藤, 凄まじい. 加藤先生は我らが加藤敏夫先生だろう. 物理出身の人らしい発想とも言える.
従って, 工学などの現場の要求に応えるためには, 境界のある領域の内部または外部でナヴィエーストークス方程式を考察することを余儀なくされる. たとえば, 多重連結領域における非斉次境界値条件下の定常ナヴィエーストークス方程式の可解性は未解決問題である. 領域の位相幾何的な条件と方程式の可解性の問題は, 非線形偏微分方程式の主要な研究テーマであるが, この方面においても課題が山積していると思われる. このことについては, 次回に述べることができれば幸いである.
領域の位相幾何的特徴とその上の方程式や作用素の特性というのは確かに面白く, 私も興味がある. 私が近いところに関していうなら, Aharonov-Bohm 関係の話がある.

2014年1月10日金曜日

Thomas-Fermi 汎関数周りの量子力学と関数解析・変分原理的なセミナーをしよう

ゆきみさんとやりとりしたので記録.
「量子現象の数理」ぱらぱらながめてたらめちゃくちゃ高まったので勉強追いついたら買おうと思った
@yuki_migo セミナーしましょう
@phasetr 作用素論で死にそうになってるので量子現象まではまだちょっとかかりそうです. 二章は加藤 Rellich あたりまでちょっと眺めたんですが
@yuki_migo 作用素論は何をやっているのでしょうか. 量子力学系の作用素論, あまり数学的に標準的な作用素論ではないと思うので. (標準的な方は hypo normal な作用素とか行列不等式とかそういうのやっているイメージ)
@phasetr 最近変分法まわりしか勉強してないのでアレですが詳し目の関数解析の本に書いてあるような基本的なことですよ. 半群とかあんまりやってなかったので.
@yuki_migo 何するかによりますが, 新井先生の本関係の量子力学なら, ユニタリ群の話がメインです. 半群のかちっとした話はあまり使いません. 基底状態の解析関係で熱半群は少し使いますが, 一般論かちっとと言う感じではないので
@phasetr 数学的に興味が向いてるのが PDE 方面なので新井先生とはちょっとちがうかもしれないことは最近気づきはじめています
@yuki_migo PDE ならもっとシュレディンガーかっちりやった方がいいのではないか感. 散乱理論だともう少し作用素論っぽいこともあるとは思います. 実解析的な方向なら Lieb っぽい方向でしょう
@phasetr なるほど. Schrodinger かっちりやってる本ってどんなのでしょう. Lieb の Analysis だと触り程度な感じがしますが
@yuki_migo 数学でのシュレディンガーは時間依存の方程式を扱うので, Lieb の方向と全然違う印象があります. 数学方面のシュレディンガーは全然知りません. その方向だと東大の中村先生とか早稲田の小澤先生とかいるので, 本当に興味があるなら相談してみてはどうでしょう
@yuki_migo あと非線型シュレディンガーと線型シュレディンガーとで大分変わると思います. Ginzburg-Landau とか GP とか, 関係する方程式も色々ありますし, ランダム磁場付きシュレディンガーとか何とか色々
@yuki_migo 読んでないからよく分からないのですが, 中村先生の http://www.amazon.co.jp/dp/4320015789 とか? あとはその参考文献から調べてみるとか
@phasetr ふむふむ. とりあえずつぎ大学行ったとき図書館あさりますかね. ありがとうございます
@yuki_migo 思い出したのですが, シュレディンガーと言うか実際に研究がある量子力学関係の PDE として, BCS だとか Ginzburg-Landau, Gross-Pitaevski などあるので, その辺参照すればいいのでは説もあります
@yuki_migo GL は北大の神保先生などがやっています http://www.math.sci.hokudai.ac.jp/sympo/090113/program.html あと GP は http://arxiv.org/abs/cond-mat/0610117 にも記述があります
@yuki_migo PDE 的なことしたいなら, 何と言うか, 実解析的なことをやった方が多分良くて, 新井先生方面の作用素論をやっていてもあまり役に立たないのでは感. 雰囲気知りたいと言う話なら, 何かセミナー的なアレやってもよいです
@phasetr 実解析的なのっていまいちどういうことかわかってないのでセミナーしてもらいたいです
@yuki_migo それっぽい方向で知っていて簡単な文献もっているのは Lieb-Loss Analysis での TF functional まわりとか物質の安定性位なのですがその周囲でいいですか. 能力的に出来るの恐らく TF がギリで, あまり PDE っぽい話ではなくて申し訳ないのですが
@phasetr 実際そのあたり読んでておもしろいのでおねがいしたいにゃんです
@yuki_migo ならばひとまず TF で. この辺, 微分幾何とかでも出てくるようなアレで, 要は変分的にエネルギー汎関数の値が基底エネルギーだとか物理的に大事なアレになっていて, その停留点 (とそこでの値) を調べるのに (非線型の) 微分方程式を解く必要が, とかそんなやつです
@phasetr 微分幾何の知識がないほうのゆきみんでした. このごろ Lieb-Loss の Ch11 読んでてそのあたり変分変分してておもしろいですね. せいぜい教養レベルの量子の知識しかないので物理的なことがよくわかってないんですが. 場所どうしましょ
@yuki_migo 誰かを適当に巻き込んで適当な大学でやりましょう. 微分幾何関係は解析力学と変分と言ってもいいです. 幾何学的変分問題の 1 章見るといいです. 物理知らなくてもとりあえず数学できると思いますが, ある程度保補足する予定の市民
Thomas-Fermi, 一応やろうとは思っていたのをずっとサボっていたのでこの機会に勉強しよう. いつどこでセミナーするかとか全く決めていないが興味ある向きはご連絡頂きたい.

2013年12月1日日曜日

量子力学からの物質の安定性と流体力学からの星の安定性

物質の安定性に関して久徳先生とちょっとした小話をしてきた.
なんで部屋の暖房が死にかかっているのかわからないが少なくとも俺が凍死に向けて確かな一歩を踏み出していることはわかる (帰宅)
@life_wont_wait 最強の戦力, 脂肪肝
@phasetr 死になさい
@life_wont_wait 赤外発散と相転移に関する人類の理解に革命を起こすまで死ねない
@phasetr 君の意見は聞いていない. 死になさい
@life_wont_wait 最期は重力崩壊と共に
@phasetr それが臨界現象だよ
@life_wont_wait 死してもなお統計力学の発展に寄与する方の市民
@phasetr ではここで 1post で統計力学の重要性や面白さをご解説願います
@life_wont_wait 大自由度の系が持つ普遍性と何でそういう話になるのか理由がさっぱり分からない不可解さ
@phasetr ウワーッ 自由度だーッ (死)
@life_wont_wait stability of matter from atom to star
@phasetr 流体の安定性ならなんとか…
@life_wont_wait http://www.amazon.com/The-Stability-Matter-Selecta-Elliott/dp/354022212X 読みましょう
@phasetr これ星も粒子の多体系で扱ってるんですか?
@life_wont_wait 白色矮星やら中性子星やらを量子多体系で扱っている論文があるのは知っています. 場は扱おうにも (数学的に) 難し過ぎて多分手が出せるような状態ではないでしょう. 特に有限温度は
@phasetr 中性子星は大抵ゼロ温度でいけますが, どちらにせよ星を量子多体系なり場なりで扱うとなると動機は数学的な興味に移ってくる気はしますね. 安定性の絡みではやはり必要な課題があるものなんでしょうか
@life_wont_wait 多体系の安定性自体, もはや数理物理の人しか研究していないはずです. その一環で数学的, 物理的に本当にどこまで理論が適用できるのかの限界調査とか, フェルミの縮退圧関係がどこまでど真面目に効いてくるかとか. あとそもそも古典系は安定性ないはずなので
@phasetr 話が微妙に噛み合っていないような気もしますが, 流体モデルでも星の安定性=質量や角運動量を固定した星が安定に存在できるか, というのは古来より研究の続いているトピックなので「古典系は安定性ない」というときの安定性は何か違うものを指しているのかもしれません
@life_wont_wait こちらで「物質の安定性」といったときの安定性は「古典的に (原子核の周りを) 荷電粒子が円 (加速度) 運動していると電磁場を放出してエネルギーを出していって原子が潰れる」的なアレで, 無限多体系の基底エネルギーの粒子平均が有限かと言う所から見た問題です
@phasetr ああなるほど, その意味だと電磁気に限らず古典系は延々落ちていくだけで安定性ないんでしょうね. 星っていうことは重力が外場で入っている量子多体系なのかと思いますが深入りしたくなさが強いですわ
@life_wont_wait 今思い出しましたが, 普通, 熱力学で扱う系はエネルギーが示量的で, 安定性と示量性に関係があるのでその辺の量子力学的チェックでもあります. ちなみに流体からの安定性はどういうモチベーションでどういう話をするのでしょうか
@phasetr どういう天体が理論的に存在可能かというのはひとつ重要です. 例えば現実の中性子星の回転速度は定常解の理論的上限よりずっと低く, 速く回ると不安定になって自発的に遅くなるというのが標準的な説です. 何かが不安定化するときは動的な現象 (超新星爆発とか) が起こるのも重要です
@life_wont_wait 宇宙やばいし星やばい
@phasetr 熱力学という意味では流体でも http://adsabs.harvard.edu/abs/1981ApJ...249..254Shttp://adsabs.harvard.edu/abs/1988ApJ...325..722F など大局的な性質で安定性を判定しようという話がありますが, 今見たら多体系としても http://adsabs.harvard.edu/abs/1982ApJ...257..847S がありました
@phasetr 「宇宙の基本は星と宇宙論」という話があります
@phasetr 最近はブラックホールの方にも応用されているようです. 少ししか知りませんが http://arxiv.org/abs/1309.0177http://arxiv.org/abs/1310.5117
宇宙関係での流体力学からの安定性の議論があるのは知らなかった. 死ぬ程難しそう.

2013年11月17日日曜日

東大, 原子 1 個に記録された磁気情報を長期間保持するためのメカニズムを解明. 原子磁石の情報保持時間を従来比 10 億倍に向上

いまは原子 1 個をいじるのもさほど難しくなくなったらしい.
原子一個を普通に扱う時代なんだねえ… https://twitter.com/sjn\_news/status/401719791079002112
東大, 原子 1 個に記録された磁気情報を長期間保持するためのメカニズムを解明. 原子磁石の情報保持時間を従来比 10 億倍に向上 (発表資料) http://bit.ly/1bCzyCC http://pic.twitter.com/uHrwD3goEU
この辺, 多体系ではないはずだし数学的にも色々突っ込んで調べられる範囲ではなかろうか. 岡山大の廣川先生とかこういうの好きそう. 自分でもいじってみたい.

量子力学, 何だかんだで物性物理的にきちんとした数学的結果はほとんどないような印象がある. 数学的にはそれだけ結構な難易度があると言ってもいい. 数学の人もこの辺, 何かもっとやってくれないだろうかと思っている.

2013年10月28日月曜日

量子力学と群の表現論: エネルギー固有状態と群のユニタリ表現の表現空間

Twitter で石塚さんとこんなやりとりをしてきた.
"量子力学で, ハミルトニアン H がある変換群 G で不変であるとすると, 1 つのエネルギー固有値 E に属する H の固有空間は G のユニタリー表現の表現空間になっている. (…) これが, 原子や分子の状態や素粒子の分類に群論が有力な道具となる理由である. " (群の表現, 物理学辞典 (培風館)) へえー
@Yusuke_Ishizuka 大雑把に言うとただの同時対角化です
@phasetr すみませんが, ピンと来ないので何か文献を教えてください
@Yusuke_Ishizuka 新井先生の物理の中の対称性の七章あたりでしょうか. とりあえず連続群だとして, とか書こうと思ったところでブログに書けばいいと気づいたので, 後でなんか書きます. きちんとやると大変ですが, 気分的には大したことないです
@phasetr ありがとうございます. ブログ楽しみにしますね
というわけで簡単にまとめる. 参考文献としてはいつも通り新井先生の本で, 『物理の中の対称性』だ.



7.8 節【物理量の時間発展と保存量】が大体それだ. 正確にいうとこの節ではちょっと違うことをしているが, 次に書くようにすぐ直せる.

Hamiltonian \(H\) がある (連続) 群 \(G\) で不変だというのは, \(G\) のユニタリ表現 \((U_g)_{g \in G}\) を取って, \(U_g H U_g^* = H\) が成立することとする. 書いていて私がやりづらいので, \(G = \mathbb{R}\) としよう. ここで Stone の定理から無限小生成子 \(T\) があって \(U_x = e^{i x T}\) と書ける. (一般の場合は SNAG 定理 を使う. ) ここで不変性の定義式を \(x \in \mathbb{R}\) で微分した上で \(x = 0\) とし, 生成子同士の関係式に変えてみよう. (念のため書いておくと, 定義から Hamiltonian \(H\) は時間並進の生成子だ. ) \begin{align} \frac{d}{dx} U_x H U_x^* |_{x=0} = \left\{i T U_x H U_x^* - U_x H U_x^* (-i T) \right\} |_{x=0} = TH - HT = 0. \end{align} 元の不変性から「生成子同士が交換する」という条件が導かれた. ここで \(H\) はもちろんのこと, Stone の定理から \(T\) も自己共役であることに注意する. 自己共役というのは要は Hermite 行列ということであって, 交換する Hermite 行列は同時対角化可能という線型代数の定理によって \(H\) の固有空間が \(T\) の固有空間でもあることが分かる. 元の表現をここに制限すれば表現空間ができたことになる. 以上, 大雑把な説明だ.

これを見れば分かるように線型代数は量子力学の基本的な認識を形作る上で数学的に大事な役割を果たす. 学部 1 年で学ぶ線型代数で十分だが, その代わり学部 1 年を学ぶことは完璧に分かっていなければいけない. 数学科水準で理解するくらいでないと多分量子力学の理論にはついていけない. 少なくとも物理学科に来る人間なら量子力学を単なる計算の道具ではなく, きちんと学びたいと思っているだろう. そういう人は本当にきっちり線型代数を詰めておく必要がある.

大雑把と言った以上, 細かいこと, そして普通の Schr\"odinger を扱っているときに実際に数学的に起きる問題がある. それを簡単に書いて終わりにしよう. まず本の『注意 7.34』に書いてあることだが, 普通の意味で可換 (\(TH - HT = 0\)) だからと言って \(H\) が \(T\) の保存量になる保証はない. これは大抵の場合 \(H\) と \(T\) の少なくともどちらかは非有界になるからだ. 非有界作用素については「強可換」という概念があり, 強可換なら問題ない. この辺は『量子力学の数学的構造』や『量子現象の数理』を読んでほしい. 興味があるという向きにはセミナーを開いてもいい. 関東近郊なら何とか出向けるのでご相談頂きたい.

  

他の問題だが, 物理としては瑣末と言ってもいいのだけれども, 数学的に根本的な問題として \(H\) が固有値を持っているかという問題がある. 期待としては「スペクトルの下限である基底エネルギーは固有値であってほしい」が, これが怪しくなる物理現象を (赤外) 発散という. ちなみに私の専門だ. \(T\) も同じで, 固有値を持つかどうかが問題になる. 一応, 「固有空間」があることを前提にしているから.

上の問題と同じく物理というより数学の問題になるが, 非有界作用素の取り扱いが必要になるために色々数学的に面倒くさい.

ついでなので書いておこう. 「これは大抵の場合 \(H\) と \(T\) のどちらかが非有界になるからだ」と書いたが, では両方とも有界になることがあるか, という話がある. それはある意味で山程ある. 量子スピン系を考えるとき, 作用素環的に初めから無限系を考える場合もあるが有限系から熱力学的極限を取る場合もある. 有限系は有限次元なので, そもそも非有界作用素の出番はない.

2013年10月4日金曜日

美少女であるところのひさこさんを確率的な意味で善導してきた

これは美少女であるところのひさこさんを善導したその記録である.
確率論とそれる方向に向かっている方のひさこさん.
@ml_hisako 何やってるんですか
@crobert_z フーリエ解析です.
@ml_hisako 測度のフーリエ変換とかあり, 分布周りの大事な話があり, ガウシアンとの関わりも強いのでそれていない説
@phasetr なるほど. ありがとうございます!
@ml_hisakohttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%89%B9%E6%80%A7%E9%96%A2%E6%95%B0\_(%E7%A2%BA%E7%8E%87%E8%AB%96)この辺見ると, 特性関数は定義そのものにフーリエ変換を使っているのが分かります. また確率論の基本的な対象, ガウシアンはフーリエ変換と相性がいいのですが, そういうところで陰に陽に使います
@ml_hisako さらに言えば, ブラウン運動を基礎にした確率積分でもやはりフーリエ変換は適宜使いますし, フーリエ変換発祥の地, 熱方程式を解析するときにも Feynman-Kac の公式という確率論の金字塔もあるので, フーリエはやっておいて全く損はない話です
@ml_hisako むしろ, 色々なものが色々に絡んでいくところこそ面白いところなので, あまり確率論に関係なさそう, という理由で他の数学を避けたりしないようにしてほしいくらいです. 確率論からの共形場理論でウェルナーにフィールズ賞が出ていますが共形場は他の数学との相互作用があります
@ml_hisako 前ブログにも少し書きましたが, 数論と関係ある部分もありますし, 確率論の射程も広く深いです
@phasetr なるほど…最近, 勉強してるうちに違う事もやりたいけれど確率論をやりたい気持ちが強いのでやっぱりそれに基軸を定めてやるなのかと疑問に感じました. でも市民さんからアドバイスをいただき, ほかの数学も避けずに学びたいと思いました. (続く)
@phasetr 伊藤清の確率論の 1 巻を調べてみたら特性関数の章でフーリエ変換を定義してました. Poisson 分布を考える際にも必要なんですね. この章をまだ勉強してませんでしたがフーリエ解析の大切さも理解できました. http://pic.twitter.com/0iobVWGWmf
@ml_hisako ついでなのでもう少し色々書いておくと, 例えばフーリエ解析は表現論と深い関係がありますが, 大雑把に表現論とフーリエの交点に調和解析という分野があります. この分野に確率解析を持ち込んで画期的な仕事をしたのが東大数理の新井仁之先生です
@ml_hisako また伊藤清自身がはじめた分野として確率微分幾何というのもあります. ささくれパイセンがこの辺に進もうとしているようですが, 20 世紀数学の金字塔の 1 つ, Atiyah-Singer の指数定理の確率論的証明という話題もあります
@ml_hisako これや量子力学・場の量子論と深い関係がある話ですが, (偏微分) 作用素を積分核を使って表示することで作用素を詳しく解析する手法としての経路積分 (Feynman-Kac 公式) というのがあり, 作用素論との関わりもあります
@ml_hisako 私が知っている範囲で考えるだけでもこれだけの広がりがある分野です. 元々応用から出てきた分野なので, 統計学まで含めて応用向きの話も数限りなくあります. 確率に限りませんが, 何をやっていてもそれる方が難しいでしょう
@phasetr 確率論がこんなに広がりがあると知り, 改めて学びたいなと思いました. 貴重なお話ありがとうございます! また色々教えてください!! 私も勉強して身につけたいです.
数年したら逆に色々教えてもらえるようになるはずだ. 楽しみに待っていたい.

2013年8月31日土曜日

量子力学での非線型何とかの扱いと自己共役性と原子核的なアレ

元発言の人が鍵つきなのでこう引用が色々とアレだが, こんなやりとりをした. 問題ないと思われる範囲で引用する.
元は「量子力学でのオブザーバブルを非線型作用素で書くことがあるか」という話で次が続く.
@sazanka_kamelie どうなんでしょう. 観測可能な物理量だったらスペクトル分解できて欲しいので, 線型作用素であることは要請しそうですが…
「量子力学での非線型 Schrodinger とかの扱いはどうなの」という話が来てこうなる.
@sazanka_kamelie あまり詳しくないですが一次元系の BEC が非線形シュレーディンガー方程式で近似できるという話はちらっと聞いたことがあります. 
中略 
@sazanka_kamelie 良く知らないですが, 多分解きたい方程式が非線形シュレーディンガー方程式で近似できるみたいな話だと想像してます. ちなみにですが相転移 P にも聞いてみたらどうでしょう.
ここで話を振られたので知っていることを答えてみた. 詳しくないのでつらいところだが.
@wr_r @sazanka_kamelie 詳しい人に聞いた方がいいですが, GP http://en.wikipedia.org/wiki/Gross%E2%80%93Pitaevskii\_equation のことなら, アレは物理量というより基底状態を求めるための近似式のはずなので違うのではないか説 
@wr_r @sazanka_kamelie 別件ですが, 原子核だと (近似として) 非エルミートの物理量 (ポテンシャル) を使うことがあるそうなのでhttp://nucl.phys.s.u-tokyo.ac.jp/yakou/gensan.pdf , あまり杓子定規な扱いはよくないのではないか説 
@sazanka_kamelie それはお役に立てて良かったです. 今日みたいにおもしろい話があればめた聞かせてください (^_^) @phasetr ご丁寧にお教えいただきありがとうございます. GP というのですね. 僕ももっと守備範囲を広げていきたいものです. 
@wr_r 私の守備範囲の狭さは危険水準なので涙を禁じ得ません
@phasetr たまにツイッターで物理 or 数学を教えて欲しいと話されてますよね. 僕も守備範囲狭いので涙を禁じ得ません.
本当に正確に理解できているのか不確かなのだが, 原子核で Schrodinger が Hermite (自己共役) にならない形のポテンシャルを使う, と聞いたときはびっくりした覚えがある. それ以来, 原子核の理論をちょっと見てみたいと思っているが手が出ない, という以前に何を読んだものかというレベルで止まっている.