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2014年1月25日土曜日

セミナー告知: Lieb-Loss Analysis を元に 2/14 15:00 から東工大で 3-4 時間程度

先日もアナウンスした Lieb-Loss Analysis のセミナーの日程が決まった. 2/14 15:00 から, 東工大で 3-4 時間程度話す予定. 話す予定の内容はここにおいておき, 順次更新していく.

数学科学部 4 年の学生がメインターゲット (はじめにやろうといった相手) なので, 本当にきっちり知りたいなら学部 4 年程度の数学の知識は必要になる. ただ, 参加者として学部 1-2 年が実際にいるので, その辺にも雰囲気が掴めるようにはする. 微分積分や線型代数の展開, 具体的には Lebesgue や関数解析の使い方を見せて, 今後の勉強のモチベーションアップに使ってもらいたいと思っている.

ご興味のある向きは是非参加されたい. こちらのコメントでもいいし, Twitter でリプライを飛ばしてくれてもいい. ブログにはメールアドレスも載せてあるので, そちらに投げて頂いても構わない.

2014年1月16日木曜日

Lieb-Loss Analysis の 11 章を読むセミナーを東京近郊の大学で 2 月頃にやるので興味がある向きは問い合わされたい

yuki_migo さんとセミナーをしようという話があるので, とりあえず告知的なことをしていきたい. 下記の本, Lieb-Loss の Analysis, 11 章の始めから 11.14 くらいまでをやる予定. 2 月のどこかで東京近郊のどこかの大学でやる予定なので, 興味がある向きは問い合わされたい.



Schrodinger 周辺の話だが, 量子力学の知識は特に仮定しない. 物理に関して必要なところは補足する.

解析系の数学科学部 4 年くらいなら十分理解できる内容で, 本来の想定としてはそこに向けて話す. ただ, 本質的に使うのは微積分の計算であってあと大事なスパイスとして関数解析の基本定理を酷使する. 参加者の学年次第だが, 学部 1-2 年の学生が Lebesgue 積分や関数解析の応用面を知り, そこへの学習のモチベーションになるようにもしたいと思っている. ちなみに Lebesgue と関数解析と作用素論のセミナーを 3 月にやる予定なので, その前哨戦と言ってもいい. こちらについても参加されたい方は問い合わされたい.

基本的には本に沿って話をするが, 私の専門が作用素論方面ということもあり, 量子力学に関する作用素論展開と実解析的展開の物理的な見方的なところも多少話す. イントロでは, 確率論との関係や, 量子力学の他の話題, 幾何との関係なども多少話して, 分野的にこの辺の宣伝もする予定だ. 本には書かれていない点でいくつか面白いところは適宜補足していくので, 量子力学周辺の数学に興味がある向きは是非参加してほしい.

2013年4月7日日曜日

Lebesgue 積分がよくわからなくて困った話を思い出した

どのツイートか忘れたが, Twitter で誰かが Lebesgue 積分の話をしていた. 学部 3 年くらいで独学で勉強したのだが (物理学科にも関わらず Lebesgue 積分の講義があったが, 結局身につけるためには自分できちんとフォローしなおさないといけない), そのときに困っていたことを思い出した. こんなところで困った人がいる, というのを記しておくのも意味があることだろうと思うので, 我が身の恥をさらしておきたい. ちなみに何故 Lebesgue 積分をやろうと思ったかというと, 量子力学の数学をきちんとやろうと思って, 量子力学の数学的構造を読んだら Lebesgue 積分をきちんと勉強した方がよさそうな印象を受けたからだ. はっきりと言っておきたいが, Hilbert 空間論を学んだところで量子力学が分かるようになるということはない. 理論面をクリアに理解する上では確かに大事なのだが, それなら線型代数を勉強すれば十分だ.

 
Lebesgue 積分というか関数解析全体として, はじめは Kolmogorov-Fomin を読んでいた. 安かったし, 洋書を読んでみたいというのがあったからだ. 詳しいことは覚えていないし, 他にも吉田耕作の Functional Analysis を読んで挫折したり色々な経緯を辿りながら, 結局一番きちんと読んだのは伊藤清三の本だった.

  
今になって思うとかなり間抜けな感じもあるが, この本を読んでいて, Lebesgue 測度以外での議論がどうなるのかよく分からなかった. 測度を取り替えたときどの議論がどう変わるのか, 本のメインの部分はきちんと使えるのかというのが分からなかった. こう書いてしまうと当時の自分の疑問をきちんと表現できていないので, 色々アレだが, 色々な測度に変えたときにどうなるのかという部分で色々ともにょっていたのは間違いない. そこで色々な測度を持ち出して議論するということなので丁度いいかと思って, 確率の本を読んでみた. これだ.


(確率の本として) いい本なのかどうかは今でもよく分からないが, かなりすっきりした本であることは間違いない. 確率への応用が主眼なので, 位相と測度みたいな話はほとんどない. 単調収束定理に主眼を置いた積分論の構成・展開はなかなかいい. 正直なところ, この本を読んでみても結局のところ当時は疑問が解消されなかった. 実際に使いつつ慣れていくことで, いつの間にか疑問は解消されていた, という感じ. 解消された疑問について分からなかった当時のことを思い出すのはなかなか難しい. そもそも疑問自体を曖昧で感覚的なレベルに留めていて, はっきりとさせていなかったことが拍車をかける. 何がいいたいのかよく分からなくなってくるが, 要は分からなくてもずっとやっていると自然と疑問が解消されることがあるので, 「この辺が何かよく分からない」というレベルでもいいから, 分からないことがあるということだけきちんと意識して先に進んでしまうことも大事, というようなことがいいたい.

最後だが, 伊藤清三の本はとてもよい. Amazon の書評では古臭いとか書かれているが, その部分がよいのだ. 昭和の古い教官が「まあそんなあくせくせずに, お茶でも飲みながらのんびりやってみたらどうですか. ところで Lebesgue 積分にはこんな素敵な話があるのですよ. 焦って急ぐことはない. ゆったりやろうじゃありませんか」みたいな感じがある. また議論自体は非常に丁寧で, これで Lebesgue 積分が分からないなら多分何を読んでも駄目なのではないか感ある. 問題はある意味でその丁寧さで, 上に書いたのんびり部分だ. そのせいで本題の Lebesgue 積分の定義に辿り着くまでが長い. ただ, 川又先生の代数多様体論も, 代数多様体の定義に辿り着くまでに 60 ページくらいかかっていた覚えがあるので, ある程度になると定義するだけでも大変になるのも仕方がないのだが.


ただ, 測度と位相の絡みなど, 古典的な数学の綺麗なよくできた部分が書かれているのが, 正に Lebesgue 積分の定義までが長くなる原因で, そして私が思うよいところになる. 私としてはこの辺の話が好きなので, のんびりやってほしいと思うのだが, 昨今の風潮を見ると数学でまで効率を求める雰囲気があるようだ. 確かに無駄に非効率な勉強をさせるのは最悪でそれは断固として反対したいが, ここでの「非効率」はむしろそれが美点となるのだ. 逆に最近の本だとあまり触れられていない印象があるので, 余計にそう思う. 数学科の学生くらいはもっとのんびり数学やってほしい.