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2014年6月29日日曜日

【【数学科の人間はこう落とせ】これが噂の「数学的告白テクニック」7選】を解析系数理物理学徒の視点から検証する

Twitter で見かけたので.



せっかくなので 1 つ 1 つコメントしたい.
物理学科から数学科に進学した解析学徒のコメントなので, その偏りについては注意して読んでほしい.


1.数式を送ってみる。


女子「 \(x^2+(y-\sqrt[3]{x^2})^2=1\) を図化してください。返事まってます。」
男子「おっと」


図化というの始めて聞いた.
「グラフを描け」とか図示なら聞くが.
私ならまずそこで戸惑う.
そして図示するのめんどい.
何か簡単に図にしてくれるソフトもあるが, 使い方を調べるのもめんどい.
あと, 代数曲線っぽい感じが恐怖を感じるので本当にやめてほしい.



2.限りなく近づいてみる。


女子「あなたに限りなく近づきたい。」
男子「収束は僕の家でいいのかな?」


位相がわからないから収束先が一意かもわからない.
接近速度 (の時間変化) も気になる.



3.幾何学は目視から


女子「直感で相似だと思いました。」
男子「互いにね。」


まず「幾何学は目視」というのがまずやばそう.
何が相似で、そして互いに相似だと
(恋愛的に) どうよいのかが全く分からないので
各種定義がほしい.
数理物理学徒に対しては極めて難解で優しくない表現であり,
非常に印象が悪い.



4.誰でもわかる高校数学でも喜びます。


女子「何度やってもあなたと私の2次方程式の判別式は負になってしまうんです。」
男子「愛があるからだね。」


「誰でもわかる」というのが真実なら嬉しかったのだが,
そういう嘘はよくない.
極めて心象が悪い一言だ.
「あなたと私の2次方程式」というのも意味がわからないし,
何より計算のたびに結果が変わることを暗に主著している気もするが,
それ, 非常に困るのでは.
径数に乱数でも仕込んでいるのか.
それ, 高校の範囲か.



5.ダイレクトに伝えてみる。


女子「私とeのx乗を不定積分しませんか?」
男子「喜んで」



[eのx乗を不定積分]

スクリーンショット 2014-06-21 16.25.56
スクリーンショット 2014-06-21 16.26.54

[Sex]


スクリーンショット 2014-06-21 16.27.05

「いーえっくすたすしー」

「えくすたしー」


我々は英語や国語をやっているのではない.
数学をやっている.



6.果敢に新定理にチャレンジしてみる


女子「どんなに大きな数になろうと、600の区間に2つの素数が含まれている場合があるんですって。いつもは一緒にはいれないけど、いつまでも一緒んいたいです。」
男子「互いに素でもよろしければお願いします。」
※素数の間隔で新定理発見 極端な偏りなく分布


誰もかれも数論に興味があると思わないでほしい.
私自身, この辺はよくわからないのでまず定理の説明をきちんとしてほしい.
そして女子の発言, 前半から後半にどう繋がるのかわからない.
この女子, どこまでも数理物理学徒には優しくないらしい.
世界の厳しさを痛感する.



7.素数の組み合わせで思いを気づかせる。


女子「私が5ならあなたは11。私が7ならあなたは13。では私が191ならあなたは?」
男子「197でお願いします。」
※差が6の素数の組をセクシー素数と呼びます。(ラテン語で6は「sex」)


だから誰も彼も数論に興味があると思うなと何度言えばいいのか.
今日も社会は厳しかった.

追記


関係あるかどうか知らないが次のようなご意見を見かけた.



割と真剣に, 数学よりもっと役に立つこと, 法律や経済などを勉強した方がよいと思っている.

追記その 2


Twitter で鍵アカウントの幾何専攻の方からいい話を聞いてしまった.
低次元の図を描いてみて直感でホモトピー同値だと思ったというのは意外とあるかもしれないこと,
そして東大数理に古田幹雄先生という幾何の教官がいるのだが,
古田先生も低次元でもまずはなんとか絵を描いて見ることをよく推奨していたとのこと.


ホモトピー同値を相似というのも無茶苦茶だが,
一般向けに語ることを考えれば仕方ないのかもしれない.

2013年12月20日金曜日

ymatz さんも参加しているという Science Front に参加して適当に色々質問とかしてきて超楽しかった

ymatz さんも参加しているという Science Front に参加してきたが超楽しかった. ネタは次の 3 つだった.
  1. 「光電子分光法を通して観た"物性物理学"が見据える未来」
  2. 「図形の大域不変量とその局所化ー \(\mathrm{Spin}^c\) 多様体上の Dirac 作用素について」
  3. 「新粒子探索ーヒッグス粒子のその先にー」
光電子分光法の話, あまり光電子分光自体には触れなかったような感じがするが, 超楽しい. やはり何だかんだ言って物性が好きなことを再認識した. 熱電関係の話, ペルティエ効果と言ったと思ったが実際に装置を作ってきていて比較的すぐに効果が分かった. 「ペルティエ効果の実感が湧かないという人向けに昨日秋葉原で買い物してきました」とか言って装置を出してくるの, 超格好いい. あれ見習いたい.

幾何の話, Witten がやばい. タイトルから言っても分かる通り指数定理の話で, 指数を調べるのに Dirac 作用素を直接調べるという協力な方法についての話だった. Confined potential (ベクトル束上の section らしい) をうまく使って情報を potential が 0 のところに局所化して調べるとかいう豪快な方法を紹介していた. 格好よくて興奮した.

素粒子トーク, ヒッグスを実際に使って何かやろうという話だった. 標準模型でも説明できないダークマターなどがあるので, まだまだ未知の粒子があるはずだからそういうところにも Higgs をどんどん使っていこうということだったというように理解している. Higgs, 一旦あるというのは分かったが新規な実験に使っていける程度に扱いやすい粒子なのだろうか, というようなことを今さらながらに思った.

皆, ぎりぎり研究の話にも触れていて, 話を作るの大変だろうなと思う. 自分もまた何かやりたい. DVD もそろそろ第 2 弾作りたいし, 研究もしたい. したいことはたくさんある.
あと, 当日このブログを見ているという数学の人に出会った. 量子力学とか場の理論関係で参考にしているとかいうこと. 役に立っているなら嬉しい限りだ.

数学科内で話していると「物理で出てくる Hilbert 空間は必ず可分なのか」というような話もするらしい. そういえば「可分性とか使わない証明をつけたい」とか言っていた後輩がいたが, なかなかパンチ力ある. そもそも Hilbert 空間自体は可分なところしか触っていないので, 非可分だとどんな面倒事が起きるのかよく知らない. ただ, Hilbert 空間自体は可分でもその上の \(C^*\) 環 (特に CCR algebra, Weyl algebra) は非可分だったりはする. 作用素環だと普通, 基礎となる Hilbert 空間自体には可分性を仮定するので, Hilbert 空間自体を非可分にするととにかく面倒そうでやりたくないという程度の理解しかない.

ちなみに私が知る範囲の相対論を含めた場の理論ですら可分な Hilbert 空間しか出てこないので, 非可分なところ, 魔界というイメージある.

2013年10月21日月曜日

本文が 3 行, 5 行の論文があるという

かもさんのファンキーなツイートを見た.
本文がたったの 5 行の論文. http://forumgeom.fau.edu/FG2011volume11/FG201105.pdf
本文がたった 3 行 (参考文献を除く) の論文. http://forumgeom.fau.edu/FG2011volume11/FG201106.pdf
それぞれ, Jo Niemeyer の A Simple Construction of the Golden Section, Michel Bataille の Another Simple Construction of the Golden Section だ. 大体からしてこんなのが論文になるの, という感じすらあって衝撃を受ける.

2013年10月10日木曜日

Atiyah の From Quantum Physics to Number Theory という講演が YouTube に上がっていたので



Atiyah の From Quantum Physics to Number Theory という講演が YouTube に上がっていたようなのでとりあえず見てみた.
From Physics to Number Theory http://youtu.be/I1ftUA17MZg
適当に聞いていたこともあり, どの辺からどう Number Theory が噛んでいるのかとか, 何故 Atiyah が幾何ではなく数論の話をしたのかとか全く分かっていないが, Atiyah の講演を聞いたことがなくミーハー根性を満たすためだけに聞いたのでよしとする. 砂田先生の言かと思ったが Atiyah の英語は日本語でいうところの「べらんめぇ口調」に対応するらしい. 分かるような分からないようなアレだが, Atiyah の英語はかなり聞きやすかったので程よい英語の勉強にもなりそう. 去年くらいに撮った映像のようだが, さすがに Atiyah も 84 なので疲れるということか, 座りながらトークしていた.

あまり真面目に聞いていなかったが, 最後の方でおそらく Hilbert-Polya 予想に関するのであろう話が出ていた. 次のように書かれたスライドがあったのだ.
Zeros of Riemann zeta functions are eigenvalues of gravity Hamiltonian?
Hilbert-Polya 予想というのは Riemann の \(\zeta\) が適当な自己共役作用素のスペクトル (固有値の集合) で記述できるという予想だ. 元は重力の Hamiltonian に関する予想だった, ということなのだろうか. あまりきちんと聞いていないので分からないが. 量子力学 (非可換調和振動子) や場の量子論 (Fock 空間からの構成) については, 以前, それぞれ坊ゼミやささくれセミナーで少し触れた. Atiyah もこの辺に期待しているということだろうか.

あと最後に次の一文が出ていたので, 引用しておこう.
Without dreams there is no art, no mathematicians, no life.

2013年9月19日木曜日

Ricci フローと Poincare 予想を議論した Tian と Morgan のプレプリント, Ricci Flow and the Poincare Conjecture

比較的新しめの Ricci フロー勉強用のアレとしてこんなのがあるらしい.
Ricci Flow and the Poincare Conjecture
John W. Morgan, Gang Tian
This manuscript contains a detailed proof of the Poincare Conjecture. The arguments we present here are expanded versions of the ones given by Perelman in his three preprints posted in 2002 and 2003. This is a revised version taking in account the comments of the referees and others. It has been reformatted in the AMS book style.
本来の話として Poincare 予想の証明の詳述ということらしいが, Ricci フローに関する革命的な洞察が含まれているので結果的に Ricci フローの勉強にもなるらしい.
幾何やりたい.

2013年8月19日月曜日

満渊俊樹先生の『Kahler-Einstein 幾何の問題; Donaldson-Tian-Yau の予想の解決に向けて』という PDF が流れてきたので

Twitter で 満渊俊樹先生の Kahler-Einstein 幾何の問題; Donaldson-Tian-Yau の予想の解決に向けて という PDF が流れてきた. Kahler 幾何はスーパー格好いいと思っているのでとりあえず読んだ. 意味は良く分からない.

我らが小林昭七先生も深く関与している Kobayashi-Hitchin 対応, コンパクト Kahler というかなり限定された状況の話だろうにいまだによく分かっていない部分があるというの, かなり凄まじいと思う.

Ricci 曲率が正の場合の Calabi 予想が未解決というのも結構凄い. もちろん詳しいことは全く知らないのだが, 非負のところが比較的簡単 (解決済み) なのに正ができていないというの, どこが難しいのだろう.

Donaldson-Tian-Yau 予想, (偏極) 代数多様体なのに幾何解析系の人間の名前がついているというの, 代数幾何の闇を感じる.

幾何を全然知らないので何でも格好よく見えた, という感想を抱いて今回の記事を終える.