2013年7月12日金曜日

現代数学であっても結構簡単に世界で 2-3 番目くらいに詳しくなれるテーマは結構ある

Paul_Painleve さんのちょっと心を打つツイートがあったので共有したい. これ だ.
意外に, 現代数学であっても, 今からあれとそれを読めば修士でも日本で二番目か三番目くらいに詳しくなれるようなテーマはけっこうある. 私も学生にはそういうテーマを与えることが多い. 世界に追いつくまではたやすいが, 問題は世界を超えられるかどうか. 
@Paul_Painleve パンルヴェ方程式を研究テーマに希望されるなら, 4 年の時に岡本さんの本と野海さんの本と 2 冊読んできてくれればと思っているが, あの 2 冊 (昔なら岡本の序説) をある程度学部の時に読んでたのは金子さんくらいだな.
「現代数学」ではなく数理物理になるけれども, 場の量子論, 量子統計界隈では日本どころか世界でもトップクラスになれる. もちろん, 世界を越えられるかどうかというところが同じように問題になる. 物性まわりだと, 物理的にはほぼ確定しているが数学的には全く手が出せていない, という問題ばかりなので, その辺に突っ込めば, 人口の少なさも相まって世界でオンリーワンでナンバーワンになれる. ただ, 難して手が出なくて誰も出来ていないという問題ばかりなので, つまり世界を越えられるかが問題になる.

あと ここからはじまる分 も引いておこう.
それは要するにあの 2 冊を読むくらいの基礎的な実力はつけてこいという意味ですね. RT @Paul_Painleve: @Paul_Painleve パンルヴェ方程式を研究テーマに希望されるなら, 4 年の時に岡本さんの本と野海さんの本と 2 冊読んできてくれれば... 
@kyon_math あの 2 冊を読めるだけの函数論なり常微分方程式論なり, 群論 (というほどではないが) なりをどれも 4 年の前半くらいでわかってる学生は, 実際のところさほど多くないですからね. その上であの 2 冊を読もうとする学生は貴重なんです. 
@kyon_math ただね, 「今まで見てきた漫画家になれない人たちの言い訳」 http://togetter.com/li/298110 じゃないですが, 「僕は○○をやりたいです」と熱心に語る反面, その○○に関する勉強を全然してないで院に来る学生は困る. 書いた論文の一本でも見せろとまでは言わない 
@Paul_Painleve 確かに, ぜんぜん勉強しないで「これやりたい」と言っても, 本人が何をやりたいのか分かってるかどうか不明ですね. 分かってないものに賭けることができるってのも若さの特権ではあるが. 
@kyon_math 歳とって下手にものを知り過ぎる(実は知ったつもりになってるだけの老人)と、 先が見えた気がして手を出さなかったりしますしね。 実際に飛び込んでみると深くて面白かったり。 ただ「僕は○○をやりたいです」と口で言うだけなら、知ったかぶってる老人と精神が変わらない。
数理物理で言うなら, 物理と数学をピンポイントでもいいから修士程度のことを知っている必要が出てくる. 物理に関してもは学部程度でいいこともよくあるが, 物理の人と議論しようと思うと, やはり修士くらいはあった方がいい気がする. 当然, 私自身はそこまでできておらず涙を禁じ得ない.

あと, 私に関していうなら, 興味があった相対論的 QED の代数的場の量子論について, 物理サイドから AQFT をしていることを知っていた Gottingen の Buchholz にどんなのを読んだらいいか, とメールを投げたことがある. 実際に文献を教えてくれた.

こんなことを書くと Buchholz に失礼な気もするのだが, 頑張って読んだのだが教えてもらった論文 3 本, どれもさっぱり分からなかった. 一応卒論が終わったあとの 2 ヶ月くらい, 修士が始まるまでの間くらいは頑張って読もうとしたことをお伝えしておく. ここであまりに基礎的な数学力が足りていないことを痛感したのでもう少し読みやすい文献を読み進めて力をつけよう, ということで新井先生の本への本格的なアタックを始めた. 何かあるたび AQFT にアタックしようとしてそのたびに跳ね返され, というのを繰り返して AQFT はほとんどやれずに学生生活が終わった. 元々量子統計にするか場の理論にするかはずっと悩んでいて, そちらとより繋がりが深い CQFT (Conformal ではなく Constructive) に行ったのは良かったとは思っているが, 苦い思い出と言えないこともない.

実際 AQFT, (私には) とても面白いので勉強はしてみたいとは思っている. 冨田-竹崎理論が始めから空気のように現われつつ獅子奮迅の活躍をするというハイパー素敵な領域だ. あと何度聞いても Reeh-Schlieder property とか名前も格好よければ性質的にも超クールな話もある.

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