2013年6月29日土曜日

市民メモ:この間, 構成的場の量子論や代数的場の量子論, 超弦理論について宇宙賢者と話したことを記録する

この間とある機会に宇宙賢者と話すことがあって, 少し言われたことや話したことがあったので, それをついでにここにまとめておく.

細かい部分を覚えていないこともあり大幅に細部を省くが, 立川さんの話として, (Araki-)Haag-Kastler の代数的場の量子論はやや古い内容であること, ストリングの方でも物理として基本的な所が結構抜けていてやっている人もいないので むしろそういう方をやってくれる人がいないか, というような話があった.

直接関係ない部分もあるが, 代数的場の量子論や構成的場の量子論で私が興味ある部分について改めて書いておきたい. 素粒子の方はさっぱりなので間違っている公算も高いが, 特に超弦の方は相対論的場の量子論の適用範囲外のことをしていると思っている. ここでポイントになるのは, 例えば QED で普通の理論物理の話では, 超弦レベルのエネルギースケールの話と全く関係なく成立しているということだ. 他にも非相対論的場の量子論, 統計力学の結果は非相対論近似が高い精度で成り立っている. こういうのを「物理の階層性」と言ったりする. 興味がある向きは清水さんの熱力学の本などを読んでみよう.



物理の階層性からすれば, 超弦に頼らず相対論的場の量子論や非相対論的場の量子論が展開できるはずで, そこを正確に把握したい, というモチベーションがある. 相対論的場の量子論からいうと, QED は数学的には存在しない (物理的には漸近的自由ではないから) と言われているが, 一方で QCD のレベルならゲージ理論は閉じるだろう, という物理的見立てがあると聞いている. QED では理論が絶対に閉じないか, というのも私には興味ある問題だし, QCD に行けば本当に閉じるか, という問題も物理の階層性からすれば大事な問題だ.

また非相対論的場の量子論からすると, 紫外切断にまつわる問題がある. 普通, 非相対論領域だと紫外の対象になるような高エネルギー領域は人工的にカットして構わない, ということになっている. ただ, 紫外のカットを外したときに非相対論で理論が閉じるか, というのは大きな問題で, こういう観点から研究をしている人もいる. 例えば物質の安定性などは古典論では議論できず, 量子論で議論しなければならない問題だが, そもそも量子論だからといって本当に証明できるかは全く分からない. これについては本当に数理物理が先行している話で, しかも Lieb 周辺の数理物理の人間しか研究していないと聞いている.

知らないのだが, この辺を物理として真っ向から議論している人, どのくらいいるのだろうか. 素粒子なんて放っておいても勝手に興味を持つ人間たくさんいるのだし, こちらに人をよこせ, と思っているくらいだ.

素粒子は大勢の人間が切磋琢磨して 1 つの目標に向かって進んでいくというイメージがある. 一方, 代数的場の量子論・構成的場の量子論界隈は物理としては圧倒的に地味だ. 代数的場の量子論は数学的にはかなり格好いい話だが, 構成的場の量子論に至っては数学としても死ぬ程地味で, 私が興味ある統計力学の問題も負けず劣らず地味だ. 地味だが (学術的には) とても深い意味のあることなので, 少人数であろうともこの血脈を絶やしてはいけない.

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