もう少し一般化して, 有界線形作用素 \(T \colon H \to H\) がコンパクトであれば, 集合 \begin{align} \left\{ x \in H \colon \Vert Tx \Vert \geq \alpha \Vert x \Vert \right\} \quad (\alpha > 0) \end{align} に含まれる \(H\) の部分空間は有限次元である. 実際, もし無限次元であるとすると正規直交列 \(\left\{ x_n \right\}\) がとれて, \(\Vert Tx_n \Vert \geq \alpha\) となる. \(x_n\) は 0 に弱収束するから, \(T x_n\) は 0 に強収束することになり矛盾する.言われてみれば当たり前だが, この集合が有限次元にあるというのは知らなかった. この直後にコンパクト作用素の代数的な性質が議論されているが, これはコンパクト作用素のなす \(*\)-代数が有界線型作用素全体が作る \(C^*\) 環の中で両側 *-イデアルになっていることを表している. ちなみにコンパクト作用素は非可換幾何の定式化の中で「無限小」に対応している.
書き写すのが面倒なので省略するが, P.2 後半からの極分解の話が面白い.
\(|T|\) は \(T^*T\) の平方根, つまり多項式近似これを多項式近似とみなすのが面白い. \(C^*\)-環は非可換連続関数環とみなせるというのが非可換幾何の基本だが, それから考えれば確かにコンパクト作用素は多項式近似のような感じになる. これも非可換 Stone-Weisrstrass とかあるのだから当たり前のことではあったが, 改めて聞くととても新鮮で面白かった.
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