2013年7月31日水曜日

悲しみの数学公式集

Paul_Painleve さんのツイート をこう色々と引用する. 最近こういうのが多い気がするが, 面白いし記録しておかないとあとで引き出せないから.
院生から数学公式集について聞かれた. 「今は何を使っている? 」「・・・」「まさか岩波か? 」 「ええ, あれの 3 巻を」「ど素人め! 」「 (絶対そう言われると思った) でも, あれ軽いしぃ」というやり取りは, どう思い直してもマスハラだが, 特殊函数を専門にしてる学生なんだから反省はしない. 
プロ向きの数学公式集なら, 何はなくても Erdelyi, Higher Transcendental Functions の 3 巻本. 今はhttp://en.wikipedia.org/wiki/Bateman\_Manuscript\_Project から pdf がダウンロードできる. 古典解析やるなら必須でしょう. 
やや応用向きなら, Abramowitz-Stegun が定番で, 合衆国政府印刷局が出していたこともあり, コピーは自由である.http://www.cs.bham.ac.uk/~aps/research/projects/as/book.php 今では NIST Digital Library に進化: http://dlmf.nist.gov 
正直, Bateman Manuscript3 冊を持っていて, http://dlmf.nist.gov/ をブックマークしてて, それでも足りないという専門家は, もう特殊函数ヲタクくらいである. しかし, そんなヲタク心をくすぐるのが例によってロシア人である (続く) 
@dif_engine ペーパーバックなので, 殴っても案外大したことは・・・ 
@aleo724 元々出版局が出した理由も, 公式集を安く刷って全米の科学の発展に貢献したいというものでした. 今の日本政府にも見習ってもらいたいのです, 無理だろうけど (笑). 詳しい説明は http://www.cs.bham.ac.uk/~aps/research/projects/as/project.php 
ロシア語公式集と言えば, 大槻プラズマ教授が翻訳した丸善・数学大公式集. その後, 室谷義昭・翻訳, 大槻義彦・監修「新数学公式集」もあるが, いちおう別物である. 前者は Ryzhik-Gradshteyn http://www.amazon.co.jp/dp/0123736374 の古い版の翻訳と思われる.
室谷訳のほうは, Prudnikov-Brychkov-Marichev "Integrals and series"5 または 6 巻本 (?) の最初の 2 冊を翻訳したものでしょう. 現物を全部見たわけではなく, 第 6 巻は多重積分らしいが未見. 
ロシア系の公式集で, 数学者にとって役に立ちそうなのは, Brychkov, Handbook of Special Functions http://www.amazon.co.jp/dp/158488956X のように思う. 以前, 城西大に異動された O 島さんに教えていただいた. 変な公式がたくさんある. 
日本語の数学公式集は, 岩波の 3 冊以外にも, 共立や朝倉からも出ているが, 専門家向けというよりも, 大学生や技術者向けのように思う. Jeffrey の翻訳も非専門家を意識したものである. でも, 共立数学公式 (泉信一ら) はほとんど役に立たないが, 嫌いじゃないんで手元にはある. 
@OTgeek 昔の Morse-Feshbach とか, 物理系の公式集はたくさんあるようですが, 私の関心からはややはずれることが多いようです. 分野ごとに使える式が違うので, 違う立場から公式集が作られるのでしょう. Erdelyi はあんまり役に立たないという人も多いと思います.
ただで手に入れられる文献もあるようだから, 興味がある向きは保存しておいてはどうだろう.

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