2013年3月26日火曜日

埼玉大での坊ゼミ:Evabow1 さんとブルブルエンジン兄貴のトーク内容のまとめ


坊ゼミでの他の講演者のトーク内容を記録しておくのを忘れたので, 今日はそれを書く. 

Evabow1 さんとブルブルエンジン兄貴がトークした. パン耳パイセンはまさかのスピーカーの欠席という非常事態であった. 何の話をするか楽しみだったのだが.

それはそれとトークの内容である. Evabow1 さんは 1 階の偏微分方程式についての話だった. 前半で特性曲線による解法について話し, 後半でそれを非粘性 Burgers 方程式に応用するという構成だった.

1 階の偏微分不等式 (偏微分方程式ではない) に関する議論が原・田崎の Ising 本でも出てきたが, まともに学んだことがない話だったので実にためになった. 一般論は何がなんだかよく分からないが具体的な話だと何をやっているか分かりやすくなるといういつものアレだった. 自分が話すときにも気をつけたいと改めて思う.

Burgers 方程式の話は最後に衝撃波の話が出てきて, これが面白かった. あまり流体の話をまともにやったことがなく, 衝撃波も名前だけでよく知らなかったので, 勉強になる. 具体的に解けてその解の様子がはっきり見られるというのはやはり面白い. このくらいの目に見えることについては, もっと数値計算やシミュレーションの話を数学科でもやっていいと思う.

もう一つ, ブルブルエンジン兄貴のパン耳パイセン向けであったという, 非単位的非可換環に対する極大イデアルの存在条件に関する話だった. 選択公理と同値なことで高名な Krull の定理から始まり, 単位元の存在と可換性を落としつつ, 単位元的なものはある状況からどこまでそれを落とせるか, という感じで進んでいく. 最後, left semicentral idempotent (lsi) が存在するところでの極大両側イデアルの存在定理でしめくくられた.

「代数の話だが作用素環に使えるから解析と強弁する」という兄貴の話だったが, 結局, 非単位的で factor でない非可換 von Neumann 環なら中心の射影が lsi になるから確かに作用素環への応用を持つことが分かった. Factor (中心が自明な von Neumann 環. 歴史的な事情によって von Neumann 環論では factor, 因子と呼ぶ) のときにどうなるか, また一般に射影を持つとは限らない C 環ではどうか, という問題が残る. 一般の環というわけではないのでどうにかなりそうだとは思っているのだが, 適当なことを言っていると足をすくわれるし, それ以前に関係各所から致死量の攻撃を受けるので気をつけていきたい.

しゅそくさんいわく, パン耳パイセンは優秀な学生だと聞いているので, パン耳パイセンの調査を待ちたい.

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