2013年2月25日月曜日

Twitter まとめ:数論についての簡単な紹介


先日, 次のようなあまりにもアレな RT が流れてきた.
数論って初心者がやるにしてはハードル高いと思うし、マイナーすぎると思う
最初「また頭がおかしい人か」と思って次のようなツイートをしたが, どうやらそこまでアレでもなかったようなので, 簡単にプロデュースしてきた. これはその記録である.
http://tinyurl.com/bz88vkr 【数論って初心者がやるにしてはハードル高いと思うし、マイナーすぎると思う】 前者については話題の選択で十分どうにでもなる(と思っている)し, 後者に至っては気が狂っているとしか思えない
連投したツイートは次のような感じ.
@KleinSurface 色々コメントがきているかもしれませんが,数論は数学の中でも最高に有名な部類で,研究者もファンも多いです. また応用に乏しいというのも致命的に間違いで,例えば暗号理論で活躍しています. 暗号は通信の安全性にも深く関わるのでネットに触る人は日々使っています 
@KleinSurface 念のため言っておきますが,暗号に使う部分の数学は非常に専門的です 
https://twitter.com/KleinSurface 数学科志望でこのIDの人でも数論がマイナーに見えているというの, 凄く面白い. 何というか内部から見ている世界と外部から見える世界は違うのか, と思ったが物理学科の頃から数論の地位みたいなものは知っていたことを想起した 
何も見ないで脊髄反射でRTしてしまったが, 何となくまともな人っぽいので反省している 
@KleinSurface 鬱陶しいかと思いますが,数論がどういうものかいくつか説明します. まずガウスの言葉で「数論は数学の女王」という言葉があります. とりあえずそういう感じだと思って下さい. あと東大数理は高木貞治の類体論以来,基本的に数論が強いです 
@KleinSurface ご存知か分かりませんが,先日京大の望月さんのABC予想の話がTwitterでも話題になりましたが, ABC予想も数論の話です. フェルマーの最終定理も見かけは数論関係なさそうですが,数論との関わりが極めて深いです. また見かけ簡単でかつ未解決の問題も多いです 
@KleinSurface あと関連する数学が極めて広いことも特徴です. 細かく言うとあまり関係ない分野もあるでしょうが,いわゆる代数,幾何,解析すべて関係あります. 名前からして解析数論,数論幾何,代数的整数論というのがあります. 
@KleinSurface 最後のは「代数的(整)数」に関する理論であって代数的な整数論ではない,という話もありますが. 関連する分野まで少なくとも後一つ応用があります. 数論幾何は代数幾何という数学(のある種の拡張)を使うのですが,代数幾何は符号理論という応用があります 
@KleinSurface 符号理論については前簡単な動画を作ったので,ご興味あればどうぞ http://www.nicovideo.jp/watch/sm10684363 この動画自体では線型代数しか使っていませんが,代数幾何を使い始めると死ぬほどハードです
「数論が初心者向きでない」という部分が弱いのでいくつか追記しておこう. 異論もあるだろうが, 非常に大雑把にいって「数論」といったとき, 本当に初等的な意味で「数」といった場合には 2 つの大きなテーマがある. それは素数の理論と超越数の理論だ. 「数論」というと大体素数の方の話になり, 超越数の理論は主に解析数論の話題になる. 解析数論は超越数の話ばかりしているわけではないのだが, 大事な分野だ.

代数的整数だとか p 進数など色々な「数」があるので, あまり適当なことをいうと怒られてしまう.

素数の理論についていうと, 時々「今知られている中で最大の素数」と言った話題が出てくるが, 例えばこんなのは分かりやすかろう. ちなみに素数が無限個あること自体は古く Euclid の頃から知られている. ただ, 知られている中で最大の素数を見つける (記録を更新する) というところで, 永遠にアタックできる, 誰にでも分かる問題になる. また現代の暗号理論は適当に大きい素数をうまく使うという話なので, 大きな素数を見つけることは応用上も大事なのかもしれない. この辺は詳しくない.

他には有名な理論について具体的に計算しまくることができたりする. そういうのをひたすら計算するだけでもかなり楽しいという人もいる. 興味がある向きは次の本を読んでみると楽しいかもしれない.


超越数論については, ある数が超越数であるかを調べる理論だ. 超越数というのは整係数代数方程式の根とならない数のことだ. ここで整数 (または有理数) 係数というのがとても大事.

超越数の例としては πe22 などがあるが, 証明はどれも簡単ではない. 22 に至っては Fields 賞クラスの問題だ. いまだに π+e や πe が超越数かどうかということも分かっていない.

もう少し単純な「ある数が有理数か無理数か」という問題もある. こちらは比較的簡単に証明できる数もいくつかある. 有名なのは「 2 は無理数になる」という話だろうか.

0 件のコメント:

コメントを投稿