ちなみに Freeman Dyson は QED で有名な Feynman-Schwinger-Tomonaga-Dyson の Dyson だ. 私が始めて Dyson の名前を意識したのは正にStability of matter に関する話,Dyson-Lenard 論文なのだが, しばらくこれが上の Dyson と同じだと思っていなかった. 正確には,Dyson は物理学者であって,数理物理の人だと思っていなかった.
Dyson は数理物理でも決定的な結果がいくつかある. 私が具体的に知っているのは自分の領域に近い物質の安定性に関する上記の先駆的な結果と Dyson-Lieb-Simon の反強磁性ハイゼンベルグモデルの相転移の存在証明しかないのだが, 数論などにも重要な結果があるようだ. 興味がある向きは日英双方の Wikipedia をご覧頂きたい.
そこまで勉強が進む前に修士が終わってしまったので全然勉強できていないのだが, スピン系はきちんと勉強したいと思って,古典系ではなるが田崎さんと原さんのイジング本 の査読に参加している. 上記の Dyson-Lieb-Simon だが,集中講義のときの田崎さんが「数理物理の三人の神々」と呼んでいた. 実際そのレベルの化け物だ. 私は論文を読めていないが,集中講義の記憶によれば「reflection positivity を使った物理的には訳の分からない変態的な証明」ということらしい. 最近まどか☆マギカのために世間でも相転移が話題になっているが,Dyson-Lieb-Simon クラスで よってたかって全力を振り絞り,何でもいいからとにかく物理的にシャープな結果を叩きだそうとして やっとの思いで証明できた結果がハイゼンベルグモデルの反強磁性程度なので, 人類レベルでの相転移の(数学的)理解というのもなかなか切ないものがある.
ふと Simon や Lieb,Froehlich の業績リストを思い出したが,何でこの人達こんなに多産なの,ということを想起した.
この辺,専門なので色々書きたいことや勉強したいことがある. 今回はこのくらいにしておこう. Togetter でも少しまとめた覚えがあるので,興味がある向きはそちらも参考にされたい.
0 件のコメント:
コメントを投稿