phasetr さんのコメントは非常に正しいと思うが、一カ所 「数学の本質は…証明の厳密さとその美しさにあります」という箇所に「あくまで現代から見れば」だ、 と反論する箇所は問題があると思う。 かつてそうでなかったとしても、現代において合理的に再解釈した結果そうなっているのでは>前RT
歴史的な経緯と、現在における正当化のルートが違うのは、数学に限らず、いろいろな分野でそうなんだと思います。
まともな返答になっているとは思えないのだが, 何を思ったかというのを書いておきたい.
『線形代数と群の表現 II』P316 からプリンキピアでの月の軌道運動に関する記述がある.
私自身はプリンキピアを読んでいないのだが, 平井先生によるまとめを少し抜き出しておこう.
この命題の証明がすごい (英訳書, pp.803-805). まず, ニュートンは, 当時分かっていた観測値, 測定値を挙げる.
(中略)
すると, 公式 (18.10) によって, 月にはたらく遠心力が単位質量あたりFcf=v2/R として求められる. この遠心力をうち消すには, 同じ強さの力が, 月を地球中心に向かって引っ張っていなければならない.
(中略)
これは, 地球からの万有引力によるはずである.
(中略)
他方, 上述のホイヘンスの秒振り子の糸の長さℓ1 の測定値を使って, 公式 (18.8) により, 重力加速度g を計算のその作用によるパリでの最初の 1 秒間の落下距離は,12gt2|t=1=12g , である.
(中略)
月の軌道運動から算出した値と地上で観測した値とは, わずかに39 lines の差があるにすぎない. かくて, ニュートンは, 「天上の月をその軌道にとどめている力は地上に至ると我々が重力と呼んでいる力になる」ことを厳密に論証できたとして, 誇らかに次のように述べている.
正確には数学ではなく物理の話にはなってしまうが, 異常なまでに力強い「証明」であり, はじめて読んだとき感銘を受けた. 何で読んだのか忘れてしまったのだが, Rolle の定理の「証明」も具体例をいくつか出しただけだったという. 今の時代ではこんなことは怖くて誰もできないとは思うが, このおおらかさ, 力強さはとても気に入っているし, 少なくともニュートンの「証明」は「エレガント」と感じた.
こういう私の感覚を元に, 下記のような発言を「何だとこの野郎」と思ったのが正直なところだ. ちなみにあまり理性的な対応だとは思っていない.
数学の本質は計算にあるのではなく、証明の厳密さとその美しさにあります。 これは科学や哲学、”全ての体系”に反映されるべき美しい特質です。
書いていて何の話か自分でも分からなくなったが, 件のコメントを見返して愛と怒りと悲しみを覚えたことだけ最後に記しておきたい.
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