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2014年5月9日金曜日

第 2 可算公理を満たさない多様体の例を教えて頂いたので

呟いたら教えて頂いたので.



パラコンパクトでない多様体の例とか第2加算公理を満たさない多様体の例とか知りたい


@phasetr http://www.ams.org/journals/proc/1953-004-03/S0002-9939-1953-0058293-X/S0002-9939-1953-0058293-X.pdf


@eszett66 代数幾何恐るべし


代数幾何のかなりシンプルな構成で第 2 可算公理を満たさない例が作れるというの,
かなりリアルに戦慄した.
代数幾何, もうすこしきちんと勉強した方がいい感ある.
 
あと今回の例に限らず, ちょっとした例を例の本に入れてためていく.
https://github.com/phasetr/math-textbook
今回のももちろん文献と共に突っ込んでおいた.
いろいろな例を充実させるというの, 前からやりたかったことなので
今回のように教えて頂けるととても助かる.
実にありがたい.

2013年9月30日月曜日

Twitter で辻元先生の複素多様体論講義の言及があったので

Twitter で辻元先生の複素多様体論講義の言及があったのでちょっと呟いてみた.
辻先生の複素多様体論講義, 進度自体もめちゃくちゃだが話題の豊富さもやばい. きちんと読んではいないが. 勉強する本ではなくこんな進展があるのか, という感じで概観するのにはよさそうなというかそれしかない感. 引用されている Demaily の PDF とか読んだ方がいいのでは説
@phasetr なんのシリーズですか…??
@waheyhey サイエンス社のやつです http://www.amazon.co.jp/dp/B009M8UX94 Demaily のはこれ http://www-fourier.ujf-grenoble.fr/~demailly/manuscripts/agbook.pdf
@eszett66 @phasetr 小林複素幾何とはまた別のことが書いてある感じですか?
@waheyhey @eszett66 アレよりももっと解析的です. たとえば調和積分の楕円型作用素の話が書いてあったり L^2 評価式とか書いてあります
@eszett66 なるほどー. 今度書店か図書館でみてみます!
@phasetr か, 解析…
@eszett66 よ, 読んでみます
この本は複素幾何のトピック集みたいな感じもある. 分量の割にトピックが豊富なのでその分 1 つ 1 つの記述は薄いのでこれで勉強するのはかなりつらそう.

2013年8月19日月曜日

満渊俊樹先生の『Kahler-Einstein 幾何の問題; Donaldson-Tian-Yau の予想の解決に向けて』という PDF が流れてきたので

Twitter で 満渊俊樹先生の Kahler-Einstein 幾何の問題; Donaldson-Tian-Yau の予想の解決に向けて という PDF が流れてきた. Kahler 幾何はスーパー格好いいと思っているのでとりあえず読んだ. 意味は良く分からない.

我らが小林昭七先生も深く関与している Kobayashi-Hitchin 対応, コンパクト Kahler というかなり限定された状況の話だろうにいまだによく分かっていない部分があるというの, かなり凄まじいと思う.

Ricci 曲率が正の場合の Calabi 予想が未解決というのも結構凄い. もちろん詳しいことは全く知らないのだが, 非負のところが比較的簡単 (解決済み) なのに正ができていないというの, どこが難しいのだろう.

Donaldson-Tian-Yau 予想, (偏極) 代数多様体なのに幾何解析系の人間の名前がついているというの, 代数幾何の闇を感じる.

幾何を全然知らないので何でも格好よく見えた, という感想を抱いて今回の記事を終える.

2013年1月29日火曜日

大栗さんの講演「科学者の矜持」での疑問について Twitter で大栗さんに質問して回答を頂いた

昨日大栗さんの講演「科学者の矜持」が Youtube に上がっていたので見たで次のように書いたが, Twitter に大栗さんがいるので,ちょっと聞いてみたら教えて頂いたのでこちらにも転記しておこう.疑問自体は次の通りだ.
まず 26 分くらいで「超弦理論の余計な 6 次元は素粒子模型の構造の起源. 6 次元空間は複雑で距離さえ測れない.数学者でも無理」という発言があった. これで何を言っているのかが気になる. 
「数学者でも無理」ということは物理的な測定法という話ではないと思うのだが, そうなると何の話をしているのだろう. 6 次元というのは複素 3 次元の Calabi-Yau 多様体の話をしているのだと思っているのだが, これは Kahler (a にはウムラウトがつく) なので一応は計量がある. 現象を説明するのに適切な計量の存在または選択みたいな問題かと思ったが,その辺は良く分からない.
大栗さんからは次のようなお返事を頂いた.
@phasetr コンパクトなカラビ‐ヤウ多様対については、 計量テンソルが存在することは証明されているが、 その具体的な形がわかっていないということを噛み砕いて述べたものです。
Calabi-Yau 多様体はWikipedia をご覧頂きたい. どうでもいいといえばどうでもいいが,「しかし、他にも同値ではない多くの同様な定義がある」という記述にびっくりした. 同値な定義ならもちろん色々あるのは普通だが,非同値なのを挙げるというのも凄い. 「コンパクトなケーラー多様体が単連結であれば、上記の弱い定義と強い定義は一致する」ということなので, それでもいいと思う気持は分からないでもないが.

それはそれとして,いくつか説明を追記しておく. Calabi-Yau の定義は省略するが,まずコンパクトと計量テンソルを説明する.

コンパクトというのは「有界閉集合」のことだ. 有界というのは「無限には大きくない」または「必ず有限な大きさの球体に含まれる」という意味だ. Calabi-Yau が超弦理論で出てくる文脈では「小さい」と言っていいのかもしれないが, コンパクトだからといって「小さい」と言っていいわけではない. 「無限には大きくない」と言っておけば(今の文脈で)間違いはない. ちなみにここ「有界閉集合」といったのは Riemann 幾何の基本定理,Hopf-Rinow の定理を前提にしている. 本当は多様体の連結性を仮定しなければいけないはずだが,細かくなりすぎるのでやめておこう.

計量テンソルというのは多様体の曲がり具合を表す. 講演でも話があったし,一般相対論なりなんなりで「時空が曲がっている」という話があるが, この曲がり具合を指定するのが計量テンソルになる.

ここで大栗さんから「存在は証明されている」というコメントがついているが, その存在証明をしたのが Calabi-Yau の名前にある Yau だ. この業績で Fields 賞を受賞している. その元の問題であるCalabi 予想についてはここを参考にしてほしい. 大栗さんのコメントは,懸案だった大事な計量の存在自体は示されたが(一般に)具体的にどんな形かが分かっていないということだろう. 具体的な Calabi-Yau 多様体に対しては分かっているものはあるはずだが, 物理で出てくる全ての Calabi-Yau に対して分かっているというわけではないのだろう.

【追記】 n 次方程式で例えるとこうなる:「代数学の基本定理から n 次方程式に n 個の解があることは分かっているが, 具体的に解の値が何かというのはこの定理だけでは分からない」. こういう感じで適切な曲がり具合が何かあることは分かっているが, 具体的な曲がり具合が分かっていない.

ちなみに Yau の証明そのままかは知らないのだが,予想の証明自体は下記の本に書いてあると思う. 詳しくないので間違っているかもしれないが,それはご容赦願いたい.



また,この辺の問題は Einstein-Kahler (Kahler の a にはウムラウトがつく)計量の問題として今でもまだ色々な議論があるようだ. 中島啓さんの次の本にある程度まとまっている(と思う).



そういえば,中島啓さんも Twitter にいる. 最近は上記の本で議論されているような問題からは離れて代数的な表現論関連の話を研究されているようだが, 詳しくは知らない. 興味がある向きは詳しい人は Twitter 上にも色々いるので,そういった方々を掴まえて聞いて頂きたい.

2013年1月28日月曜日

書評:数学セミナー 2013 年 2 月号



毎号買っているときりがないので普段あまり買わないのだが,何となく今回は買ってみた. 昨年 8 月に亡くなった小林昭七先生の特集になっている. 気になった記事についてつらつらと感想を書いていきたい.

巻頭の coffee break は「数学者が紙と鉛筆を捨てる日」という記事だ. 数学者は紙と鉛筆さえあればいいというのは本当か,と尋ねられた吉永さんが 思ったことを書いている.

研究活動のコアな部分はもちろんなくてもいいが,研究全体ではないと困る,というところから始まる. 論文書きやら他の研究者とのやりとりでメールを書くなど,そうした部分で PC がないと困る, というところからノートを取ったり,論文を読むのにタブレット PC を使い始めた,という近況を 報告されている.

私も最近タブレットを買って,論文や本を読むのに便利なこともある,という感じだが, ノートを取ったり動画作成補助に使うというところでまだまだ使い慣れない. (無料)アプリの充実も含め,何とか状況を改善してほしい部分もある.

大沢先生による「ポアンカレとの散策」だが,Poincare (e にはアクサンがつく)の不等式について触れられていた. Poincare の不等式は偏微分方程式ではとても大事で,必ず学ぶ. その辺りに関する数理物理でも大事で,下記 BEC の文献では Poincare の拡張について議論があるくらいだ. BEC への応用上,拡張が必要になっているらしい. 私は読みたいと思いつつ全く読めていなくて悲しいのだが.

ここから小林先生追悼関係の記事をの話をしよう. あとで少し書くが,小林先生の写真,大体全部笑顔なのが非常に印象的だった. また皆に愛されたいた感のある記事ばかりだった.

まずは落合先生による小林先生の数学的人生についてまとめた記事だ. 矢野先生は「矢野」と書かれているのに小林先生を「昭七先生」と書いているあたりが萌えポイントだ. 昭和 7 年生まれだから「昭七」という命名だ,という噂は本当だったらしい.
弟の久志の証言によると,この結婚で昭七先生のキャラクターがものすごく変わり, 例えば写真に写る姿は何時も微笑み笑っているようになったとのことであり
という記述を見た上で各写真を見ると本当に笑っている写真ばかり上がっているのに思わず笑った.

幾何が本当に分からないので何とも言えないが,引用されている次の言葉が印象的だった. 引用は適宜中略するので,全部読みたい方は購入してほしい.
微分幾何は,数学に対する一つの見地(view-point)であり,方法である. 微分幾何の存在意義は,新しい見方や,有力な方法を提供する点にあるとと思う. それに幾何学的に意味のわかる概念とか方法は,自然なものだがら, あとで予想以上の発展をみせることが多い.
話が微分幾何という一つの閉じた世界で終わっているようなときには, 良い定理であっても私は感心しても特に興奮するほどの魅力を感じることはできない.
微分幾何のような分野で,ささやかでも自分のアイデアを伸ばす方が楽しいのではないか. メインストリームに身を浮かべなくても,メインストリームに流れこむ小さな流れの内に, 微分幾何の面白い問題を見つけ出すというのも,また楽しいのではないか.
数学を勉強するときにはぜひ数学史も一緒に勉強してほしいと思います. 『この概念はどうしてうまれたのか』といった歴史を知ることでより深く理解できると思う
最後の記述,このへんは私も何とかしたいと思っていて,色々考えている.

小林先生と全く関係ないが,落合先生というと日体大が何か不祥事を起こしたときに学長をしていて 謝罪会見を開いていたので,誰かと「落合先生が全国区の有名人になった」と大変不謹慎な 会話をしていたことを思い出す.

慶應の前田先生の曲面の記事だが,有名な『曲線と曲面の微分幾何』に敬意を払って, 幾何学入門を意図して書かれたらしい. 大分前に買って読んだのだが,あまり真剣に読んだというわけでもなかったため, 結局あまり頭に入っていない. 色々あって複素曲面に興味があるので,その辺を勉強するついでに読み直したいところだ.



野口先生の小林双曲性に関する記事だが,小林双曲性,名前は知っていたがどんなものなのかを今回始めて知った. 何をどう思ってこんなのを定義したのか全く分からないが,これがやばい. N が小林双曲的な場合の正則写像全体がいかなる M に対しても同程度連続になるとか衝撃の一言だ. コメントがあるが,Ascoli-Arzela が使い易くなるので強烈の一言. Ascoli-Arzela,条件が結構厳しいので面白いが(私がやっている範囲では)使いづらい定理という印象があるのだが, こういう使いやすそうな状況はあるのか,というところも面白い.

M がコンパクトな複素多様体なら小林双曲性と「整曲線 f:CM は定写像しかない」という ブロディの定理も凄まじい. タイヒミュラー空間上のタイヒミュラー距離が小林距離に一致するというロイデンの結果も, 「タイヒミュラー距離はタイヒミュラー空間上だけで定義されていたもので,いわば孤立していた」という記述を見ると, 小林擬距離の強烈さが分かるというもの. ちなみにタイヒミュラー空間は定義すら知らないが,良く聞く名前なので大事,または面白い対象なのだろうということくらいは分かっている. 野口先生の研究は代数幾何との関係がある感じのものが多いという感じだが,実際にそのあたりの話がいくつか 書かれていて,それも面白く,勉強意欲をそそる.

P34 の超笑顔の写真がまた印象的だった.

満渊さんの小林-ヒッチン対応の記事,これまた名前だけ知っていてどんなものか全く知らない話だったので,単純に楽しい. これもまた超強烈な話だった. Frankel 予想の「曲率から多様体の性質が決まる」という話,本当に意味が分からないが,微分幾何の王道っぽい強烈な予想だと思う.

何となく買ってみただけだが,名前しか知らなかった話がいくつか強烈な結果とともに解説されたいたので思っていた以上に楽しい号だった.一通りは眺めたが全く身についていない小林先生の複素幾何の本もしっかり読み直したいと思わせる内容だった.